幕間003 レディース【ラブリーイツキ同盟】四天王、出撃準備と自己紹介
2022/9/25 内容を一部修正
ついに伊月の居場所が判明した! 腐剣の話では「天界マーキュリー」にいるそうだ。
神々が見守る 八天界(もちろんすべて平面世界で球形ではない) 一般的には惑星として名前は公開されている。
天界マーキュリー (水星)
天界ヴィーナス (金星)
天界ガイア (地球)
天界マルス (火星)
天界ジュピター (木星)
天界サターン (土星)
天界ウラーノス (天王星)
天界ネプチューン (海王星) の8つの世界だ。
以前は九天界だったが、天界プルート(冥王星)が原因不明の消失をしたため、現在に至る。神々の住む世界は ”サン(太陽)” ”神々の山嶺” などと呼ばれるが、こちらについては真偽不明だ。
なお、天界ガイアより行き来の出来る世界は、天界マーキュリー、天界ヴィーナス、天界マルスの3世界のみだ。この事実に立花は安堵の吐息をもらす。
「だが立花、伊月に会うためには厳しい道程だ。せめて転移先が天界マルスだったら・・・と思うよ」
別の意味のため息を吐くはるか。
天界マーキュリーは、はるか昔に天変地異があり、以降国交が途絶えていたそうだ。そのため、あちらの世界の住人は既に滅びており、いずれ天界プルートに続き崩壊するのでは?と囁かれていた。
今回は伊月と腐剣のおかげで、今だに文明が存在していることが判明したのだ。
ただし、腐剣の話では伊月のいる場所は世界の端、出入り口となる世界樹からは大分距離がある。
・・・腐剣が迎えに来てくれるらしいが、とても不安だ。
「まあ、それはなんとかなるわよ。それよりもっと困った問題があるのよ、はるか」
「???」危険地帯の移動以外になにが?
「今回の件で、伊月に色々な世界があることを知られるのよ。異世界転移で今頃は【冒険者になって世界を冒険しよう!】とか喜んでいそうな所に【さらに6つの世界がある!】なんて知ったら・・・」
「このままだと、生涯冒険者になりそうだね〜」
まあ、それならそれで悪くはない。立花は財閥の後継者だから厳しいかな?
ただ、こちらに戻ってきても、伊月にはあの計画に巻き込まれることが確定しているので困る。
「甘いわよ。他の世界に伊月を放り込んだら、きっと大混乱よ。いや!天界マーキュリーでは既にしてるわ!絶対よ!!しかも、法律というタガが外れた状態で」
同意だねwww 正解だが国と正面切って抗争しているとは思ってすらいない二人だ。
「ふふふ、再会が楽しみだよ、もしかしたら新しい幻獣が生まれているかも」
「!?」幻獣と聞きソワソワしだす立花。
こいつの幻獣好きは病気だな。だが世界で確認されている幻獣は3体のみ。そのうち2体が身近に生活して、しかもかわいい。興奮するのも分からなくもない。
ちなみに、立花いわく残りの1体は可愛げのかけらもないらしい。
「・・・楽しみだけど、戻ってきたらそれはそれで大変な事になるんだし」
「人工メシア計画ね」非常に頭の痛い話である。
天界ガイア(地球)は神々との契約で、崩壊の危機が訪れる度に神界よりメシアが人として派遣される。
公認されているメシア・イエントを始め、非公認ながら偉人にはメシアが多い。
だが、前回派遣されたメシアは黒人だった。その結果、白人至上主義の愚かな教会に目の敵にされ何度も暗殺された。だが死なず(さすがメシア?)、最終的には深海(マリアナ海溝が有力)に生きたまま沈められたそうだ。殺されても死なないが寿命はあるので、もう存在はしていないだろう。
そのため、二度の世界大戦を止められず、ドイツから偶然手に入れた情報を元に慌てて世界政府を樹立して戦争による崩壊を抑えているのが現状だ。もちろん契約違反のため今後のメシアは見込めない。
なら自前で用意しようぜ!ってことで、第一候補に挙がっているのが、幻獣を2体所持する我らが総長、山本伊月である。
「うちの総長をメシアにしたら、ムカつく輩はみんなボコしてキレイにはなりそうだけど・・・最終的に面倒になって滅ぼすわよ」
「伊月は自由気ままに冒険をさせてたほうが、世界は安全だね」
「まあ、マーキュリーを満喫して帰国した伊月が、手に余る存在に成長しているのは間違いないので大丈夫じゃない?」
「それはそれで、面倒そうだわ」世界の一端を担う財閥の後継者は大変だ。
「あなたは参謀なんだから、巻き込まれ確定ですわよ」あらら。
今日は世界政府の幹部との会談だ。普通は簡単に会えることはないのだが、うちには財閥令嬢で筆頭後継者である六神立花がいるし、さらに相手は伊月のお友達らしい。
まあ、伊月の奇妙な友人関係は考えても無駄である。ちなみにかわいくない幻獣の未来の主でもあるそうだ。
「斎宮内親王、お久しぶりです」
お友達は日本皇室の内親王だった。伊月、どうすれば皇族に友だちが出来るんだ?
「立花!久しぶりですね。ただ、ここでは局長で頼みます。こちらでは世界樹管理局長の役職なので」
「それはありがたいわ!わたくしもあなたの名前を呼びたくないので(なんでこいつにイツキって付いてるのかしら)」
「たまには遊びに来てくださいな、うちの玄武も待っ・・・てないわね。うちの幻獣もタツキちゃん位かわいければね〜」
「ええ!まさにそうですわ!!!」
「でも伊月はすごいですわよ!あの玄武と戯れてましたから。玄武が公務以外で甲羅から出てくるの初めてみたもの、今度伊月と一緒に来てみたらどう?」
「かならず行くわ!!!」
「二人共!幻獣の話はあとで!大事な話が先です!」
「「・・・はい」」
このはは相変わらず伊月のことになると怖いな。その時体中に現れる黒い靄がまた・・・ね。このおかげで密かに黒いオーガなんて呼ばれてる。
「端的にいいますと、伊月を天界マーキュリーで発見したので、私達に渡航許可を!ですわ」
「それは・・・どのように確認したのですか?」
「はるか!説明!」・・・え〜私が説明するのか、あの腐剣の話はしたくないな。
私は仕方なく就寝中に現れたホモ大好きな聖剣の話をする。
「・・・聖剣もか?」そう思うよな、ん?も?
「もしや草薙の剣も?」この話題は危険だ!これ以上の介入はやめよう。
「話は分かりました。あなた達なら実力もあるし大丈夫でしょう。今聞いた話で文明調査チームを派遣することになりますから、それに同行なら許可出来ますわよ?」
「それが最善ですわね、お願いしますわ」
「分かりました。許可書は明日の午前中には出来上がりますので、受付に取りに来てください」
よし、準備ができ次第、世界樹にあるポータルに出発だ!
世界樹政府の統治拠点都市「ポホヨラ」 世界樹の麓にあり、気候は温暖で季節による気温変化はないが、世界樹による保水効果で湿気が異常に高く、常に濃霧に包まれている。
そのため、施設は主に地下に設置されている。霞が関のような官庁街であり建物数自体は少なく(サイズは大きい)、基本住民は存在しない。
各国からポホヨラへの移動は、すべて転移施設を利用しており、それ以外の移動手段はない。世界樹の周りにはホログラムがあるし、それを超えると濃霧が進行を阻むためだ。
ならなぜそこに設置出来た?と思われるだろうが、現在も経緯は分かっていない。なぜならここが遺跡であり、ここを発見したのが第二次世界大戦中のナチスドイツだからだ。大昔の遺跡を流用している事以外は不明。なお、建物自体は世界政府が建て直している。
第二次世界大戦が終結したことで、ナチスドイツが収集した未知の秘匿情報がドッサリ出てきたのだ。しかし情報の出元は一切不明、戦後執拗にナチス幹部を追い回していたのもこの一環だ。
慌てた主要国は世界政府の前進「ユグドラシルプロジェクト」を創設。その初仕事は資料を元にホログラムを突破して、ようやく視認することが出来た世界樹を見て驚愕することだったがwww
以降、すべての解明に最低100年は掛かると思われる膨大な秘匿情報を研究&検証しながら、メシア不在による世界の破滅を阻止すべく世界の行く末の延命調整している。
あ、戦後始まった宇宙への進出は、世界樹の監視と秘匿資料の研究資金の捻出です。日本も10年程前より天皇陛下が主要な地位に就くことになり、宇宙開発という名の資金の捻出に力を入れている。
この都市で唯一の宿泊施設、その3階に六神財閥の専用区画がある。
そのゲストルームの一角に、伊月を信奉する四天王が勢ぞろいして額を寄せ合い打ち合わせの真っ最中だ。
「世界樹までの道のりは問題ないそうだ。まあ、あちこちの世界に忍びを送っているそうだし、さすがに道程は整備するよね」
【軍師】三席:近藤はるか(茶髪で黒目の小柄でスレンダー)が確認内容を説明する。
このレディースにおいて計画及び遂行準備はすべて【軍師】が取りまとめている。元々神童と呼ばれるほどの秀才で、試行錯誤しならが緻密な計画を練り、それがハマったときのスリルや感動が忘れられなくなった。そして中学3年時に「魔天使」と呼ばれ、恋慕と畏怖されていた山本伊月に手を出したが、用意周到に準備した計画をあっさり砕かれ敗北、全く予測の出来ない行動をする伊月に惚れ込み、今に至る。
両手に十手を握り、投擲武器を交えた高速戦闘を行う。
ただ、崇拝しつつも「いつか伊月を出し抜く」と機会を狙っている。実はチーム名の件(伊月はチーム名をただの【同盟】と思っていた)で出し抜いた事にまだ気付いてない。
「ふむ、それなら本番は天界マーキュリーに行ってからか。状況は分からんが、伊月不在のこのメンツでは私は防御に徹したほうがいいかもな」
【忠犬】四席:湊さくら(黒髪で茶瞳の大柄でスタイル抜群)が落ち着いた声で返答する。このレディースの特攻担当だ。さくらの実家は最近横綱を排出した相撲部屋【鬼熊部屋】その長女だ。幼少より相撲が大好きで部屋の弟子と共に体を鍛え続け、小学6年生時には所属する当時の大関【鬼童丸】と相撲で互角の戦いをしていた。だが小学6年末期から急に胸が育ち、背もすくすく伸びていわゆるボン・キュッ・ボンな体型に。こうなると性欲真っ盛りの弟子たちとの勝負は出来なくなり、強者を求め勝負を挑む事に切り替える(この話をすると、ロリな立花が怒る)。
そして中学1年時に、最強との噂があった、山本伊月と相撲スタイルで対戦したが敗戦。以降3年間負け続け、高校入学時にレディースの勧誘に乗り今に至る。戦闘は相撲スタイルで力技が主体、器用で武器も使用可。
レディース入隊以降も伊月と相撲勝負を行っているが全敗中だ。ただ、本人は非常に嬉しそうにしている。
「そうね。【天界マーキュリーで人類発見】で調査隊が結成されるわ、今回はそれに同行する予定よ。攻撃については問題ないでしょう。ただ、私とこのはの2人は足手まといになるでしょうから、世界樹印の武具を見繕ってみますわ」
【女帝】次席:六神立花(赤髪で紫瞳のロリ体型)体型に合わない知的な声で返答する。六神家では代々【紫瞳】の人物が当主になると決められている。太古の天界ガイアでは魔法が在り、膨大な魔力を所持している【紫瞳のモノ】が一族を率い守護していた、との伝説があるためだ。滑稽な話と思われるが、発見された秘匿資料で「魔力の存在は事実」と判明している。まあ使えないので宝の持ち腐れの状況だ。ロリ体型で体術等の資質も皆無な立花は「なら、最高の人材をスカウトしますわ!」と、自前の特殊部隊を組織する。そしてその隊長として山本伊月に目をつけ武力を交えた勧誘をするも全敗。中学3年時に近藤はるかを巻き込み、特殊部隊も総動員し総力戦を伊月に挑むも敗戦、その際に幻獣タツキに助けられ、その可愛さに射抜かれる。「なら、潔く部下になりますわ!」と、伊月が快適に暮らせるように心を砕くようになり、今に至る。レディースの創設者。戦闘は銃による射撃。
レディース結成後は、はるか(特殊部隊の隊長扱い)と共に特殊部隊を使いつつ、最近動向の怪しい世界政府への牽制に忙しい日々を送り、時折タツキに餌付けして癒やされている。
「ううっ〜 私も武器を使いこなせれば・・・みんな、いつもゴメンね」
【ちわわ(黒オーガ)】筆頭:綾瀬このは(黒髪で黒瞳の小柄だがメリハリスタイル)甘ったれたような声で返答する。このはも伊月と同様に子供の頃から周りに嫌われていて、学校ではイジメの対象になっていた。原因は感情が高ぶると発する謎の黒い靄なのだが、本人も周りも知り得ない。時折近くを通りかかった伊月に助けられており「いつか、伊月ちゃんに声を掛けて友達に!」と決意するも、念願成就したのは高校入学時だ。その際、喜びのあまり黒い靄が暴走し、タツキを食べてしまう事件が。常にみんなの役に立ちたい!と思いつつ、雑務しか出来ずで今に至る。戦闘力皆無、ただ伊月が絡むと黒い靄が・・・ 伊月には(中学時点で)自分と同等の強者と思われているが、本人は知りもしない。
レディース結成後、伊月周りの雑用担当の認識で入隊していたが、気がつけば四天王筆頭に。変更を懇願するも、みなに目をそらされ続けているが、気立てがよく皆に好かれている。意外ではあるが、レディース入隊以降は、他勢力からの勝負には負けたことがない。
勝負前に相手が必ず伊月を罵倒するからだ・・・黒靄最強!
「それは仕方がないわ、その時に自分の出来ることをしっかりやればいいのですわ!」
「「そうだ(な)(ね)」」
「・・・うん、そうする!」
その後も、色々と話し合いながら、夜が更けていくのであった。