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011話 総長、進化するってよ〜

ヌメヌメの中を通過したような不快な感覚が治まると、薄暗く閉鎖された空間にいた。

「周囲に危険なものはなさそうだね、広さは・・・10畳程かな?狭いね」・・・広くて端が見えない!?とか期待したけど、現実的な広さだ。

「何かしらの異物がないか、みんなで調査しようか。ムースは魔法でこの空間を再現出来るか調べてみて」

『『『了解ー(なのじゃ)(でござる)』』』

まあ、それほど広くないので捜査はすぐに終了。その後現れたホモ剣がうるさくて時間を取られたが・・・


壁は触っても感触が全く感じられない、押しても微動だにしない・・・謎だ。唯一の発見は入り口らしいものを見つけただけだった。

「ここ開く?」『だめじゃ!ビクともしないのじゃ〜』

ふ〜ん、やっぱり出るのはすぐには無理か・・・うゎ!?

入り口と思われる部分に両手をかけ、広げるイメージで手を動かすと簡単に開いた!・・・外の景色も見える。飛び込んだ場所と一緒のようだ。

『母様!?どうやったのじゃ』

「いや、普通に広げてみたんだけど?」

『・・・相変わらず非常識、まあそうだと思って飛び込んだからね』

「もしかして、魔力がカギなのでは・・・扉だけにwww」

『『・・・・』』

ああっ、娘達が冷たい・・・反抗期の娘を持つ父親ってこんな感じだろうか?


「・・・ムースは開けられるかな?」

気まずくなり、空間を調査中のムースに声を掛ける。入り口を調べ始めたムースは『魔力は相当消費されるけど・・・開けることが出来るでござる』

開閉は可能とのこと・・・私、魔力使ったかな?

あとは「空間作成はどう?出来そう?私の感じだと入り口は影をベースにした暗黒魔法だと思うけど」これが一番の課題です。

『たしかに!ただこの空間の作成方法と維持が分かり申さぬ』やはりすぐに解析とはいかないか?


「なら、この空間そのまま使っちゃいましょう!・・・広さは後で検討するとして、アイテムボックスは1つあれば十分だし」

みなの了承を得たのでアイテムボックスはとりあえず保留、あとはかねてからの課題を解決しよう!

そして外に出て、早速先程頂いた貢物をすべて収納する。


「タツキ、こんな誰にも邪魔されない素敵な空間を得たので、アレやろうか?」

『???なんのことじゃ?』・・・タツキさーーーん!お忘れですか〜!

「タツキ・・・安全のため保留してたけど、成人になったら氣に体を完全になじませるっていってたでしょ!」


そう、私は世界一の氣使いでは有るが、氣の濃度が濃すぎるらしく体に負担があるそうです(タツキ・アリス談)自覚はないんだけどね。

自覚がないのは、発氣を全力で使ったことがない、という事情もある。二人に禁止されてたし。

それなら成人した段階で完全に馴染ませちゃおうよ!と決めたのだ。


私的には、冒険者になる前に世界政府の関連施設を借り受けて行う予定だったけど、予定外の異世界転移があったので、邪魔の入らないこの空間を利用しようということ。

『そうじゃった!そうじゃった!私が進化したのが嬉しくて、すっかり忘れてたのじゃ〜』

・・・あんな厨二病進化がそんな嬉しいのだろうか?嬉しいんだろうな〜

「ぞれじゃ、さっ『お待ち下さい、母上!』ん、ムース?どうしたの?」

『母上の体には同様の理由で魔力を馴染ませることも必須でござる!母上の魔力量と濃度は常軌を逸しておりますので』

二人の話を聞くと魔力も氣力は、基本うっすら色がつく程度らしいが、私はどちらも銀色だ。目立ちたがりの力とは思うが、この濃度がなければ二人は生まれなかったので、それには感謝している。

『なら、両方馴染ませちゃおうか!片方ずつだと面倒だし・・・イツキなら問題ないよ』

「うちの長女が、母親に対してゾンザイな対応なんだけど〜」

と怒るも『イツキならそう考えるでしょ!面倒だからと』と言われればその通りなので黙る。


やり方は、氣力・魔力の濃密な空間を用意して、そこにしばし入っていれば、きれいに漬かるそうだ・・・わたしは漬物か!?

念の為、外から氣力と魔力の供給もしたほうがいいよね?異空間の入り口を開き、そこに天使の輪っか?をはめ込む。うん!これで外気からのエネルギー供給はOKだ!


『無茶苦茶するよね〜』『『・・・(コクコク)』』

まずは外氣の応用で卵型の外殻を作成。ここにむっちゃ濃いドロドロの水分(濃縮100倍果汁)をイメージした氣力を右手から、同じく濃縮イメージをした魔力を左手から、それぞれ外殻に流し込む。

「・・・ねえ、お二人さん?氣力は金色で魔力は黒?濃紫?今までの色と全く違うんだけど!大丈夫なの!?」

『『・・・』』

さらには、その2つの力が混ざるとなぜか真っ白に!?この法則無視の液体に漬かって・・・本当に大丈夫なのだろうか、私。


<幻獣【タツキ】サイド>


タツキは唖然としていた。こちらに来て母様の髪や目が金色になったし、如意宝珠を貰ったことで自身の色も金色にはなった。

しかし、タツキの根幹に流れる伊月の氣力は銀色のままだったはずだ。それがなぜ純金を水にしたような濃密な金色に!?

しかも、氣力の化身である幻獣タツキですら致死量になるのでは?と思われるほどの濃密な氣力だ。

タツキは失望する。如意宝珠を得て力も増加し、母様のお役に立てる力を得た!と今まで上機嫌だった自身に。

タツキは歓喜する。自分が得た力はまだ微力、氣力を体現した幻獣といえどもまだ知り得ない力がある!母様と共に進めばその頂にいつかたどり着ける。その確信が!

・・・タツキはちょっと嫉妬する。母様と一心同体に近い存在のアリス姉様に!私も尊敬する母様といつも一緒に居たいのに〜

複雑な感情を抱きながら、伊月の出す氣力に言葉も発する事も出来ず、ただただ見惚れ、感嘆する。


<幻獣【ムース】サイド>


ムースは唖然としていた。こちらに来て母上が魔力を得た(実際には元から魔力は得ており、この世界で初めて知覚した)ことで自分は生まれた、漸くではあるが、生まれた自分が誇らしかった。

ムースの根幹に流れる伊月の魔力は昔から銀色だった、私も銀色なのはそれが要因だ。それがなぜ限りなく黒に近い濃紫に!?

紫は高貴な色と言われている。賢者クラスの魔力は薄い紫なので、過去に地球に魔力が存在していた証でもある。なのに母上は銀色で不思議に思ったものだ。

しかし今は、魔力の化身である幻獣ムースですら致死量になるのでは?と思われるほどの濃密な濃紫の魔力だ。

ムースは失望する。母上の魔力の化身と自負していたが、実際には紫ですらない(実際には微量の氣力が混ざって銀色だった)微小な魔力で生まれたのか!と。

ムースは歓喜する。母上の濃紫の魔力を十全に受け入れられたら自分はすごい存在になると!そして母様と共に進めばその頂にいつかたどり着ける。その確信が!

・・・ムースはちょっと嫉妬する。母様と一心同体に近い存在のアリス姉様に!地球に居た頃は自身は謎の力で抑え込まれていたのに、そういう影響なく生まれたタツキ姉様に。私も地球で生まれていれば、さらなる進化が出来たのに〜!と。

複雑な感情を抱きながら、伊月の出す魔力に言葉も発する事も出来ず、ただただ見惚れ、感嘆する。


<幻獣【アリス】サイド>


アリスは羨望していた。伊月との出会いは図書館だった。その後は脳内管理を任され伊月の意識体と一心同体として楽しい日々を過ごした、妹のタツキやムースも可愛く、可愛く、可愛く、大事〜な存在、もちろん新たに生まれたムースもだ。

しかし、伊月と一心同体の自分は戦闘では役には立たない。いや、戦闘の効率化や支援等役には立っているという自負はある。でもタツキやムースと共に伊月のために体を張って戦うことは出来ない。

今までとは段違いの濃密な力を目の前にして、タツキ、ムースは先を見据えてさらなる進化をしていくだろう・・・だが自分は?

脳内管理という進化の望めぬ自身は?何処かの時点でみなに置いていかれるのではないか?という不安も少しはある。

でも、アリスは歓喜する。二人の妹は伊月を追い進化を果たしていくのだろう、だが私は伊月には頼らず独自の進化を目指すのだ!伊月とは対等であるがために!


『はーい!アリスちゃ〜ん、そんなのママが許しませんよ〜』

『アリスちゃんが妹可愛さにストーカーに進化すると困りますからね』

『・・・イツキじゃあるまいし!』

『あっれ〜?さっき「妹たちかわゆす!!!妹のためなら死ねる(キリ)、ママ大好き!」なんて思考がダダ流れだったけど〜』

・・・アリスはちょっと嫉妬する。妹達ならここまで思考を読まれないよな〜と、意識体の幻獣として伊月と一心同体も時と場合によっては・・・思考管理強化の進化をしようかな?


『そんな悩めるアリスにママからの指針を!戦闘では賢者になろう!そして情報はすべてを制す!妹たちのために情報収集力の獲得だよアリス!』イツキは全く・・・


『私が力を発動してから外からの探知がものすこいでしょ!?でもその分向こうの事もよく見える。多分向こうがこちらを凝視してるから見えるんだよ・・・世界樹の上、あれが神の座?ならあそこの空間には・・・あそこ知識の匂いプンプンでしょ!?』

・・・私のやり『まずは鑑定スキルの獲得だよ!異世界では必須のスキルだよ!』

私がやろうとしていた事だけど、伊月に言われるとな〜 萎えるな〜


<伊月サイドに戻る>


卵型の外殻に溜まった白い液体、ちょっとキモイが意を決して飛び込もう! いつも一緒にいるアリスとも離れる。

「みんな、しっかり漬かってくるね!」と液体に飛び込むと・・・呼吸は問題ないが、あまりな心地よさに意識が薄れてく。


伊月が謎の液体に飛び込み、意識を失うと同時に卵型の外殻から金糸が湧き出し、アリス、タツキ、ムースの3人を拘束『ストーカーはやっぱりイツキの方だ〜!』との叫び?を残し、それぞれ繭に包まれ、みな意識を失うのだった。


・・・

・・・

・・・


伊月はぼんやりと考える、戦闘中は・・・あのアニメが・・・あのラノベが・・・四天王は・・・娘達は・・・・と。

進化までには、もうしばらく時間が必要なようだ。




『うじぇあーーー!!! ママ、マむ、ははよ〜 こげなばっかな力なに〜!いきなり準備ながさえあ、わっしは困るで〜よ』

すっかり忘れられて、準備無く規格外の力の本流に放り込まれた【絆】よ・・・無事に生き抜けよ!



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