ウルトラ怪談
ボ:ボケです
ツ:ツッコミです
ツ「元気ないな。どうした?」
ボ「ちょっと弟の引っ越しの手伝いで疲れてて」
ツ「お前の弟って、このまえマンション買ったばっかりじゃなかったか?」
ボ「あの部屋は売ったそうです」
ツ「え!? 何で?」
ボ「実は……出たらしいんですよ。宇宙人の霊が」
ツ「は? 今なんて?」
ボ「宇宙人の霊」
ツ「宇宙人の霊なんているわけねーだろ」
ボ「じゃあ、霊はいると思います?」
ツ「まぁ、写真とか目撃談とかメッチャあるしな」
ボ「じゃあ、宇宙人はいると思います?」
ツ「まぁ、写真とか目撃談とかメッチャあるしな」
ボ「じゃあ、宇宙人の霊だっているはずでしょ?」
ツ「いや、写真とか見たことねーし、目撃談とか聞いたことねーよ」
ボ「いやいやいや。多分ね、多分ですけど、気づいてないだけ」
ツ「は?」
ボ「だって、心霊写真ってピンボケが多いでしょ? だから宇宙人の霊か地球人の霊か区別が出来ないんです」
ツ「まぁ確かに」
ボ「よくある目撃談の中でも、もしかしたら宇宙人の霊かもって話があると思うんですよ」
ツ「あるかな?」
ボ「これ、知り合いの宇宙人から聞いた話ですけど」
ツ「待て!」
ボ「何?」
ツ「お前、宇宙人に知り合いおるの?」
ボ「いないですけど、そう言った方が信憑性増すかなと思って」
ツ「増すか! 嘘はやめろ」
ボ「じゃあ、知り合いの地球人から聞いた話ですけど」
ツ「待て」
ボ「何?」
ツ「お前、宇宙人なの?」
ボ「地球人ですが?」
ツ「わざわざ地球人って言う必要ある?」
ボ「嘘は言ってません」
ツ「嘘とかじゃなくて面倒くさい。普通に知り合いから聞いた話で始めてくれ」
ボ「しょうがないですねお客さん。サービスですよ。他の人には内緒にして下さいね」
ツ「誰が客だ!」
ボ「え~~知り合いから聞いた話ですけど、ある蒸し暑い夏の夜、タクシー運転手が山道を走ってたんですって」
ツ「本当によくある話だな」
ボ「そこの山には出るって有名なトンネルがあったからドライバーは怖いなと思いながら運転してたんですよ」
ツ「それで?」
ボ「そしたら、そのトンネルの前で手を上げてる人がいましてね、運転手は嫌だな~~と思いながらタクシーを止めたんですって」
ツ「確かに嫌だな」
ボ「ドアを開けるとその人はタクシーに乗って来たんですけど、運転手がバックミラー越しに観察すると、どうも普通の人間と違う」
ツ「どう違うの?」
ボ「まず、目がすごく大きい」
ツ「それで?」
ボ「あと肌の色が銀色と赤色の2色で、」
ツ「ちょっと待て!」
ボ「どうしました?」
ツ「もう分かったからそれ以上言うな」
ボ「では、正解をどうぞ」
ツ「勝手にクイズにするな。それに、その宇宙人は現実に存在しなてない奴!」
ボ「マジで!?」
ツ「お前は小学生か? って言うか今のは、霊かと思ったら宇宙人の霊の話じゃなくて、宇宙人かと思ったら宇宙人の霊の話になるだろ」
ボ「それはカレーライスとライスカレーは違うってクレームつけるようなものですよ」
ツ「カレーライスとライスカレー?」
ボ「本来、カレーのルーとご飯が別になっているのがカレーライスで、カレーのルーがご飯にかけられているのがライスカレーなんです」
ツ「これ何の話?」
ボ「済みませんでしたクレーマーの人。じゃあ次は霊かと思ったら宇宙人の霊の話しますんで許して下さい」
ツ「誰がクレーマーだ」
ボ「これ、あなたの知り合いの弟から聞いた話ですけど」
ツ「俺の知り合いの弟って誰?」
ボ「私の弟です」
ツ「いい加減にしろよ」
ボ「先日の夕方、人通りのない道を弟が帰っていますと何やら視線を感じたらしいんですよ」
ツ「無視かよ」
ボ「振り返っても誰もいない」
ツ「またさっきと同じベタな話だな」
ボ「弟は気持ち悪いなと思いながらマンションの13階にある自宅に帰りまして」
ツ「ふ~~ん」
ボ「部屋の中に入っても視線を感じたそうです。しかも窓の外から。弟はそんなバカなと思ったそうです。何しろそこは地上から40m。不審者がいたとしても登ってこられるはずがない。弟が恐る恐る窓のカーテンを開けて見てみると、なんと、窓の外に巨大な人型の靄のようなものがこちらを見ていたそうです」
ツ「待て。それが本当に巨大な霊だったとして、なんで宇宙人の霊だと決めつける?」
ボ「そりゃ、身長40mの地球人なんていないでしょ?」
ツ「巨大な妖怪の霊かもしれんだろ」
ボ「頭大丈夫です?」
ツ「お前に言われたくないわ! 絶対いない特撮の巨大宇宙人の霊とかよりも、でーたらぼっちとか、巨大妖怪の霊の方がまだ説得力あるって話だよ」
ボ「ちょっと待って下さい! 今、もう一つの可能性に気付いてしました」
ツ「もう一つの可能性?」
ボ「巨大な宇宙妖怪の霊の可能性です」
ツ「もういい加減にしろ」
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「笑いの方程式」
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