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プロローグ
「私はね、普通の恋ができないんだよ。」
急になにを言い始めるのかと思えば。
私はなにも言わず、ただ静かに課題のレポートをパソコンに打ち込む。
「いや、恋だけじゃない。行動も普通じゃないんだ。」
そんなの1番わかってる。
私は顔を上げ、静かに一点を見つめた。
そんなのお構い無しに、また声が聞こえる。
「ねぇ、そんな私の小説を書いてよ。書けるでしょ?」
私はため息を吐いた。
こうなったら、もう彼女は言うことを聞かない。
レポートを保存し、私は手帳を出す。
執筆する時だけは、私はアナログ派の古い人間に戻る。
そして声を逃さぬよう、スマホのボイスレコーダーを起動させた。
それを見た彼女は満足そうに話し始める。
「私はね、普通すぎる人間なんだよ。」