帰宅路にて
2019年冬の日のこと。
いつものように夜の軽く渋滞している帰り道をバイクでかえっている時。
対向車線から猫が突然飛び出してきて、僕の前を走っていた車に撥ね飛ばされた。
そしてその猫は中央線付近に横たわって動かなくなってしまった。
動物の死骸は何度も見たことはあったものの、事故を目撃したことはなかった僕はそのショッキングな出来事を見過ごせなかった。
すぐにバイクをその場で停止させ後続車両をせき止め、猫に近づき、拾い上げた。
その猫は僕の大きな防寒手袋から少しはみ出る程度の大きさで、身体は既に死んだように動いていなかったことをよく覚えている。
あんな車道の真ん中にいたらすぐに車に轢かれて無残なことになってしまうだろう。
せめて歩道においておけば猫の形のままの身体で息絶えらえる。もしかしたらなんとか生きていけるかもしれない。
というようなことを考えていた。
僕は獣医ではない。この猫がどういったところにどのくらいの怪我をして致命傷をおってしまったのかなにもわからなかった。
ただわかっていたのはこの猫の身体は死んだように硬直していること、しかし現状生存していることは胸が動き呼吸をしていることだけだった。