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東方開拓圏  作者: Minsk
国内騒動編
8/11

国家改革計画①

「よし、来たかアレクセイ、それと良く来てくれたね『スヴォーロフ』」


「いえ、こんな私をお呼びくださってありがとう御座います」


「いやいや、むしろ君だからこそだよ」


イオが呼んだ彼はイオが即位する前に勧誘して来た人で、元々地方の経済学者である噂で有名だったのを、イオが噂を聞き付けて秘密に会っていたりしたのだ。


「それに正直この国は内部が大分腐敗していたから君みたいな革新的な考えが必要だったんだよ」


主にイオの父親やその先代、その周りにいた貴族達だ。だがしかし、今回の反乱のお陰で反乱分子達を撃滅することが出来たからスヴォーロフを呼ぶ事が出来たのだ。


「あの…スヴォーロフ殿は経済学者と言いましたが、どのような社会にすれば良いと考えているのですか?」


「ええ、そうですね…例えば農民は個人で穀物や野菜をそれぞれの農地を耕して、その農作物を『地税』として納めていますよね」


「当然ですよ。その農民がそこで取れた農作物をそれぞれの領主の領地を『借りて』農業を行いますから」


他にも国家に納めないといけない『国民税』や遺産相続等の『相続税』等や街道の関所や他貴族の領土へ移動するための通行税等もろもろあるが、ここでは説明はしないでおこう。


「他にも製鉄所や金属加工で銃や大砲等を作る重工業等は特にバラバラに散らばっていますよね」


「それに今回使った銃や大砲も製造所によって口径や鉄の質、特に大変なのはネジの直径が銃ごとで違うんだよね訓練もしずらかったし」


「あ、反乱軍との戦いで銃を出し渋ったのはそういうことだったのですか」


「本当は全部運用したかったんだけどな」


 この国はともかく、他国ですらまだマスケット銃の数は多くて200~300丁程、所有していない国すらいるのに対し、カレリア大公国では不良品を除いても1000丁も所有している。しかもこれはイオの親衛隊だけしか運用していないのだ。これはイオが即位するまでの三年間で遥か西にいる先進国から購入し、その製造法をイオが設計した図面をいろんな鍛治士に渡して製造を進めた結果なのだ。国土は広いが中身がスカスカなカレリア大公国ではかなり無理矢理推し進めた成果なのだ。


「なので農業の段階的な集団化をして、話していたのですが…まともに貴族達に相手にされなくて、実家に戻って畑を耕そうかと思っていた所でイオさんと出会ったのです。」


そしてここまでにいたる。


「でもイオ様、何で私なんかがこの話し合いに…」


「…この国の舵取りをする者は他に陸軍大臣と裏切り者の魔法大臣と外務大臣がいるが、まともに経済の話が出来る者はいるか?」


「あっ…そうでしたね」


地味に内政が苦手な人達が集まっている。

 

「特に魔法大臣と外務大臣は首を跳ねたばかりだからそう簡単に信用できないしね」


イオは少し深呼吸をした後、再び話し始めた。


「話がそれたね。僕としてはただ農民達を集団で農業をさせるべきではないと思うんだ」


「!?それはどういうことですか…?」


「要は集団化させて農民達は本当にしっかり働くかという事だよ。今の納税システムのまま集団農業させると絶対働かない奴等が出てくるからだよ」


イオは紙とペンを取り出して説明し出した。


「まず今の納税システムだと少なくとも直轄地では個人の農地のサイズ、そこでとれる量を計算して納めさせるようにしているんだ。」


イオが紙にいくつかの四角を描いてそこに1人ずつ人を描いた。

そしてもう片方は一つの大きな四角の中に複数の人を描いた。


「集団化させるメリットもとうぜんある。例えば病気で1人農作業が出来ないとしよう」


そうして1人バツをつけた。


「そうすると他の人が休んでいる分を補ってくれるというメリットは当然ある。」


そしてもう一つ新しい四角を描いた。しかし、そこには1人は働く人とその隣で寝ている人がいた。


「手も逆にデメリットでもあるんだ。農地を見てまとめて納めさせるから1人が働かなくて良いと考えて働かなくなってしまうんだ。だから貴族達は反対したんだよ。収入が減るからね」


(…まあこれは前世で実例があったしね)


そうイオが言うとスヴォーロフが唖然としていた。


「だからこうすると良い。集団で農業をしている人達をチームごとに分けるんだ。そしてそのチームの中で専門に小麦を作るチーム、ジャガイモを作るチームとかに別れてノルマを達成出来なかったチームは連帯責任を負わせるんだ」


「え…でもそれでは同じではないのですか?」


「アレクセイ、良く考えるんだ。連帯責任だから1人納税できなかったらチーム全体が罰を受けなければならないからね。もし1人が納税出来なくて罰を受けたら連帯責任で罰を受けた人の怒りはどこにいくと思う?」


アレクセイの隣にいるスヴォーロフがイオの言葉に閃いた。


「…!なるほど!そういうことだったのですね!つまり納税出来なかったら仲間から迫害されたりする可能性があるから心理的に働かせようとするのですね!」


「まあ、そういう事だ。これで農業の方は良いだろう。後は工業と…前の貴族達の尻拭いだな」


まだまだやることはたくさんあると思ったイオであった。


やっと内政のところまで持ってこれた…

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