異世界
「ユ…さん …ユウリさん!」
薄い意識の中で、僕のことを呼ぶ声が聞こえ、まだ寝たいと思っている頭をたたき起こし目を開けると。
「やっと目が覚めましたね。」
「…えっと、ここどこ?」
「あっ!すいません。説明が遅れました。ユウリさんの居た世界とはまた別の次元の世界の地球に近い星です。まぁ地球ほど発展はしてませんが。」
と苦笑を浮かべながら、説明してくれた人の顔もしっかりと目視出来ずにいると、
「ユウリさん大丈夫ですか?まだ状況が飲み込めていないような顔してますよ。」
その人の、言葉は真実で、意識のまだ完璧ではない頭では、全然話が飲み込めなかった。
だから頭を働かせる時間を稼ぐために、いくつかの質問をすることにした。
「えっと質問いいですか?」
「いいですよ。」
「え―貴方は誰ですか?」
その質問をしたらおそらく女性である人は、えっ、と驚いたような声を上げ、その後頭を落とし声のトーンを一段階下げ少し悲しさを浮かべた声で
「あの天使ですよ!ユウリさんがこの世界に来る時に誘った、あの天使です。
ユウリさんが誘ったのに…。」
その言葉を聞き、どこかであったとのことなので昔の記憶を遡っていると、少しづつ頭が働くようになってきて、思い出した!
あの人か、天国?らしきところで会った天使さんか。
そう思うと、失礼なことをしてしまったな。
やっぱり謝った方がいいのかなと少し悩んでいると。
「まぁいいですよ。 改めましてユウリさん。私の名前は、エイラです。これからこの世界でよろしくお願いしますね。」
天使さんいや、エイラさんは顔にまるで天使のようなほほえみで僕に自己紹介をしてくれた。
僕が、その様子に見惚れていると、記憶の中の、エイラさんと違う見た目になっている事に、気が付いた。
記憶の中の、エイラさんは、金髪だった気がするのに今のエイラさんは、全然違う落ち着いた感じの黒髪になっていた。また作り物のような顔も変わって人の絡みやすい人間らしい顔になっていた。
まぁ美人なのは変わってないけど。
「その髪は、どうしたんですか?」
「あ、気づきました?」
「はい。あの綺麗な金髪がもったないなと少し思ってしまいました。」
「この世界では、金髪が目立つので、黒髪にさせて貰いました。ユウリさんの願いは、目立ちなくないとの事だったので、地味な黒髪にしました。
似合ってませんか?」
ユウリさんは、その場でくるりと回り、僕に聞いてきた。
もちろん黒髪も似合っているのだけど、女性との交際経験がないためどう褒めれば良いのかが分からなかった。
「えっと似合ってますよ。」
「ありがとうございます!」
僕の、何の変哲もない褒め言葉に喜んでくれるエイラさんがとてつもなく可愛く見えた。
僕が、またエイラさんに見とれている間にもエイラさんは、僕の方に背を向けていたが、顔に手をやりほっぺたをむにむにしていた。
「まぁ状況が分かったところで住む場所の案内をしますね」
「お願いします。」