釣書
メヒテルト・ベールは一応普通の女の子である。
恋愛にあこがれ、結婚を望み、幸せな家庭を作りたいと思っていたが、気がつけば23歳独身、警備隊三番隊副隊長になっていた。
どうしてこうなったかメヒテルトの過去を見てみる。
0歳、大商人の五人兄弟の末子に生まれる。
3歳、剣術道場にかよいはじめる。
15歳、警備隊募集の話を聞き試験を受ける。
23歳、今ここ。
確実に3歳からの剣術道場かよいが原因だろう。
末っ子は兄たちを見て興味をもち、なまじ才能があり、体格にも恵まれ、家族も末っ子に甘かった。
そして将来の夢を考えたとき警備隊の募集を見つけてしまった。
募集の内容は、女性が受けることを考えていなかったので
・15~18歳
・健康
・犯罪歴がない
とシンプルなものであった。
新入隊員訓練は3ヶ月間の入寮生活だが、メヒテルトは残念ながら女と気がつかれなかった。
体力は道場に行っていたため、同期の中でも上位に入り。
教養は商人の家でしっかり学んでいた。
女とばれるどころか、将来有望な新入隊員であった。
そんなメヒテルトが女と知られたのは訓練期間ももうすぐ終わる頃、家族が寮に訪問した時だった。
メヒテルトの父が警備隊に食料を差し入れてくれ、教官と話していた。
「うちの子はよくやっていますか。」
「ベールさん、息子さんは将来有望ですよ。剣術、体術も上位、基礎学力も高い素晴らしいですね。」
「うちのメーちゃんは女の子ですが。」
「へっ?」
上に下に大騒ぎになった。
上の幹部たちは未来の幹部候補に考えていた新入隊員が女だったことにまず驚き、今後の処遇に悩んだ。
下のメヒテルトの同期隊員は女の子の前でナニの身長比べたり、飛距離競っているところを見られたことに落ち込み。
それを見て大笑いしていたメヒテルトを思い出し女の子への幻想がふきとんだ。
当の本人は職場で父にメーちゃんと呼ばれたことに照れていた。
話し合いの結果、合格して訓練に耐えきれるならいいじゃないと総隊長の鶴の一声でメヒテルトは無事警備隊初の女性隊長となった。
入隊数年がたち気がつけばいきおくれ。
誰か嫁にもらってくれないだろうか、メヒテルトはため息をついた。
何が悲しくて嫁の斡旋ばかりしているのだろう。
性別が女だから友人知人は女性が多い。
友人らの性格を考慮し、同僚を紹介したら成婚率の高いこと高いこと。
すっかりご祝儀貧乏だ。
そして今日も友人に同僚を紹介する予定だ。
うまくいけば、めでたく50件目となる。
さあこの二人はどうなるか。
なんだかんだいって、幸せになる二人が見たくてやっていることである。
メヒテルトはお人好しであった。
~利用者の声~
20代男性Bさん
メヒテルトとは警備隊で一緒に勤務していて、嫁を紹介してもらった。
感謝している・・・。
うん妻はかわいいし優しい。
家に帰るのが楽しみになったし、仕事に張り合いが出た。
いいことだ。
(´・ω・`)
でも嫁が
「ねえあなた、私職場にお弁当持っていってもいいかしら?メヒテルト様に差し入れしたいの!」
とか
「剣術訓練とか見学できない?メヒテルト様の勇姿・・・キャー!」
俺よりもメヒテルト愛なんだ・・(T_T)
嫁よ俺との結婚偽装じゃないよな・・・orz