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はじめに

青空に祝福の鐘が響く。

はにかむ新郎、笑顔の新婦、お祝いの言葉を贈る参列者。

幸せ一杯の空気にふれると自然と笑みが浮かぶ。

メヒテルトは新郎新婦を見てほほえんだ。


「これもお前のしわざか?」

「しわざなんて無粋なこと言わないで下さいよ、コーレイン隊長。」


メヒテルトは隣に立つ男に言う。

エリア・コーレインは3番隊隊長をつとめる32歳、独身。大事なことなので2回繰り返す、独身である。


「私は男女の出会いの仲立ちをしているだけですよ。」

「いきおくれのお前がお見合いばばぁとは、笑えるな。」


メヒテルト・ベール、3番隊副隊長23歳。女性が16~18歳で結婚する世の中でメヒテルトは独身。

立派ないきおくれである。

幸せな空気が霧散し、剣呑な空気が立ち込める。

メヒテルトは背の低いエリアを見下し、笑う。


「ああ、エリア・コーレイン3番隊隊長申し訳ありません。下級貴族の四人兄弟3番目という尊き血筋と、ささやかな身長、密偵に向いている容姿のおかげで女性はよりどりみどり、独身を楽しんでいらっしゃるところに、結婚話など無粋。

私の知人も隊長の話をすると"私にはもったいない"と口をそろえるんですよ。」


皮肉に皮肉を乗せいいはなつ。

エリアが激しく怒るかと待っていると


「俺は平均だ、小さいわけではない。」

それだけを返してくる。


エリアはメヒテルトを見上げ、お前がデカイんだとつぶやく。

それきり押し黙ったエリアを見てメヒテルトは言い過ぎたと反省し、かわいい子紹介してあげようと決意する。


エリアは確かに背が低く、地味な顔立ちだが32歳で警備隊の隊長であるし、剣の腕も立つ。一応貴族だが偉そうな態度は取らないし、身の回りのことも自分でできる。

彼氏に向かないが夫にしたい男であろう。

それなのに32歳まで独身とはよっぽどモテなかったのか。

メヒテルトはエリアの肩に手をおき、憐れみを込めて言った。


「コーレイン隊長、かわいい女の子紹介してあげますから、部下の結婚を祝って下さいよ。」

「・・・お前次の剣術訓練覚えてろよ。」


おかしい隊長の機嫌がなおらない。

メヒテルトは首をかしげた。



●●●



雨が屋根をたたく。

軒下で少女は男に手を握られ見つめられる。

整った顔立ちの若い男で、雨にあたったのか、髪から水滴が落ちる。


「私を信じて下さい。」


男は少女の顔を見上げ嘆願する。

男の手は大きく冷たいのに、握られた手が熱い。


「何をですか?」


少女は怯えた声を出す。

見知らぬ男に警備隊といえいきなり手を握られたのだ。

いろんな意味で動悸が速くなる。

男は握った少女の手を己の胸に持っていく。

手に感じる柔らかさ。

男の胸は柔らかいのね。

少女は自分の考えに違和感を持った。


「私は女ですよ。」


目の前の男こと警備隊3番隊副隊長メヒテルトは少女に微笑む。


「雨宿りしてもよろしいですか、お嬢さん。」


少女の顔が朱に染まった。


「ベール副隊長またですか。」


一緒に警らしていた部下がナンパはやめてくださいよとぼやく。

メヒテルトは首をかしげる。

自分はナンパなどしていない。

急に降りだした雨をよけるため軒下に入ったら住人の女性がでてきた。

不安げな顔をしたので、性別と理由を答えただけである。


「女性を不安にさせては警備隊の名折れだろう。」


もっともメヒテルトが一目で女とわかればこんなことにならないだろう。

メヒテルトは背が高い。

この国の男性平均身長より高い。

体つきも豊かな曲線でなくさびしい直線である。

顔つきも中性的。

極めつけは警備隊の制服だろう。

女性はメヒテルト一人で女性用制服などない。

すべての要素が集まると優男風警備隊員のできあがり。

メヒテルトは巷で警備隊の王子様とよばれ、警備隊で一番女性人気が高かった。










~利用者の声~

10代女性Rさん

メヒテルトさんに警備隊の男性紹介してもらって結婚できました(^-^)v

ありがとうメヒテルトさんm(__)m

いまとっても幸せです(*´ω`*)

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