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転生したらオークって  作者: 阿寒湖まりも
第1章 はじまりはじまり
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1、現状を把握しよう

「うごごごご、どうしてこうなった」


 その場でゴロゴロと転がり身悶える。いかん、事態が重すぎて受け止めきれん。

 自分が置かれている状況はなんとなく理解できる。あれだ、異世界転生ってやつだ。ただの転生ではなく異世界転生と考えるのはもちろん俺の見た目だ。現代にこんな豚人間はいない。

 それに今いる場所もそうだ。うっそうと茂った森林によくわからん獣の鳴き声と見たこともない遺跡のなれの果て。これだけならまだ人類未踏の地かっ!と思えたかもしれないがそこにこんなモンスターが加わればもうここはファンタジーな世界なんだと思わざるおえない。


 それにオークは俺だけじゃなかった。


 そもそもなぜ俺が一人で川のほとりで悶えていたかというと気が付いた場所が俺の理性では耐えられなかったからだ。

 短すぎる人生に幕を下ろしたかと思ったらいつの間にか感じる風の流れと様々な音が混ざった環境音。

 天国にでも来ちゃったかと目を開けた俺の視界に飛び込んできたのは化け物だった。

 凄まじい巨体の豚人間がのそのそと歩き、寝そべり、中には殴りあってるやつらまでいた。そんな光景を目の当たりにした俺は一目散にその場から逃げした。うん、人生最大のパニックだった。

 一心不乱に走り、気が付けば目の前には小さな川が広がっていた。そして俺はそこで初めて自分の姿を見たのだった。


「ぶひぃ~~……」


 おい、今の溜息か。かっこ悪すぎるだろ。


 川で見てしまった自分の姿にノックアウト寸前まで打ちのめされたがお陰で頭が冷えた。

 おそらく、いや、間違いなく俺は一度死んでいる。そして俺は生まれ変り、転生した。であってると思う。たぶん。

 しかしあまりにもひどすぎるでしょう。

 オークって。

 

 って言うか転生につきもののチートは?プレゼントをくれる神様は!?なんもなし!?人間どころか魔物って!ハードモードにもほどがあるだろう!!


 とにかく現状把握だ。死ぬほど嫌だが元の場所に戻ろう。おそらく俺が目を覚ました場所はオークの集落?みたいなものだったんだろう。死ぬほどみすぼらしかった気がするが。


「これからどうなるんだマジで」


 重い足を引きずるように俺はのそのそと自分が走ってきたであろう道を引き返していった。

 

 






 ここどこぉ?



◇◇◇



「つ、ついた……」


 無我夢中で逃げ出し俺は自分が今いる場所が全く分からず半泣きになりながらも思いのほか早くオークの集落に辿り着くことができた。

 折れた枝や踏まれ折れ曲がった草、柔らかい土に残った自分の足跡を時間をかけて見つけ出すことで何とか、といったところだったが。


「うへぇ」


 改めてオークの集落を見て酷いと思った。

 だって文明の香りが何もしないんだもん!家どころか雨風凌げそうな場所すらないって。うっそだろお前。

 少し開けた野晒しの小さい広場。そこに数えて12体ほどのオークが居た。

 それぞれにごろ寝したり獣の肉らしきものを生のまま齧りついたりと好きなように暮らしているようだ。


「ぐっ、臭いが……」


 獣臭い。それはもう獣臭い。こりゃたまらん。

 オークだもんなぁ。風呂とか入ってなさそうだもんなぁ。それに洗ったことなんてなさそうな薄汚れた腰みの一丁のいでたち。俺もだけど。

 ぼよんぼよんの肥満体系にきったない腰みの姿の二足歩行の豚。

 そう、今の俺のことです。


「現実が……つらい」


 早くも挫けそうです。

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