姫条家のつばめの朝
はじめて周りの人に怒ってくれたのは友達の二人だけだった。
でも、あの時は彼も怒ってくれた同じようにコンプレックスをもっているとわかっていたからだと思う。
最初は倒れていた彼を家に連れていき医師にみてもらい、目が覚めたときは安堵した。
でも、彼のとつとつと語るのを見て止めないとって思った。
だから、ここにいられるようにお父さんに頼み込んでみたら許可をもらえてうれしかった記憶がある。
ほっとけなかったというのもあるのかもしれない。
同じ学校に通い、いじられているわたしのために秋くんは怒ってくれた。
まだ燃え滾る炎があるのにもそれを抑えてから出て行く彼を見て追いかけなくちゃって思った。
それから彼に抱き着いて一緒に泣いてそれからちょっとずつ進展していき、付き合うようになった。
お父さんはこれも予想していたのかお母さんの遺影に話しかけていたよ。
かなり嬉しかったんだろうな~。
「うああああああああ!!」
という声が上の方から突然聞こえてきた。
わたしは慌てて秋くんの部屋に向かい、トビラをあける。
「大丈夫、秋くん!?」
「つばめ・・・やっぱり聞こえた・・・?」
わたしの問いに彼は少し困ったような顔をしていた。
「そりゃ聞こえるよ!あんな叫びをしたら・・・」
「・・・だよね・・・ごめん、今は大丈夫。ただちょっと、昔の夢を見てね・・・」
そう言いながら秋くんは謝罪するけど、やはりわたしとしては心配なわけで。
「はぁ・・・やっぱり消えないもんだね・・・」
「・・・本当に大丈夫なんだね?」
「大丈夫だって。少なくともつばめ・・・そして当夜と美琴たちがいる限り」
心配そうに見ているわたしの頭を優しくなでてくれる秋くん。
「ふにゃ~」
「ふふ」
秋くんに頭を撫でてもらうとすごく安心するのはやはり彼氏だからかな?
もしそうならうれしいかもしれない。