表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/10

もしもつぐみん家の朝で京里がいたら

つぐみは懐かしい夢を見ていた。

それは中学を卒業するときの夢であった。

京里に言われて中学の屋上でつぐみは待っていた。

つぐみはじーとグラウンドを屋上から眺めていた、いろいろあったことを思い出しながら。

時には時計を気にしながらだが・・・。


『ごめん、つぐみ。遅くなって』


『ううん、それより用事ってなあに?』


そんなつぐみに声をかけてきたのは幼馴染の宮野京里である。

階段を駆け上がってきたのにもかかわらず息が乱れていないようである。

卒業式が終わったら話があるといわれて屋上でつぐみは彼を待っていたのだ。

話とはなんなのか気になるつぐみに対し、京里は緊張しているのがわかる。


『ケイくん、どうしたの?』


『ごめん、緊張しちゃったみたい。 大勝負だからかな』


彼が緊張する理由がわからず小首をかしげるつぐみに苦笑する京里。

まあつぐみだから仕方ないと思った彼は深呼吸をしてまっすぐつぐみをみすえた。


『つぐみ。 変化球じゃ通じないだろうから剛速球でいかせてもらうよ』


『ケイくん?』


真面目な彼を不思議そうに見つめるつぐみ。

そして彼は京里は覚悟をきめて、切り出した。


『つぐみ。 僕は君を一人の女の子として好きだ。 だから、僕を一人の男として見てほしいのと僕と恋人として付き合ってほしい』


『・・・・・???』


一瞬思考が追い付かず混乱しているつぐみだが、しだいに京里のいってることを理解し、顔がほてってきていた。

そこでやっと気づいたのだろう、彼の言葉の意味を。


『け、ケイくん。 あ、あたしなんかじゃ釣り合わないよ』


『それはつぐみが自信ないだけで、僕の告白を断る理由にはならないよ』


おろおろしているつぐみを見て話す京里。

彼の意思はとてつもなくかたいようであった。


『あたし、そんなにいいこじゃないよ? わがままだし』


『つぐみはわがままじゃないよ』


手を握りしめて話すつぐみをまっすぐ見つめる京里。

素直に彼の告白を受け取りたい自分と受け取れない自分がせめぎあっていたつぐみ。


『わがままだよ。 すごくわがままだよ』


と、つぐみが言った瞬間に時計が鳴り響き、夢から現実に戻ってきた。

つぐみのゆっくりと瞼をひらくと、夢を思い出してぼひゅっと顔を赤らめてごろごろとベットで恥ずかし悶えていたら笑顔の京里がのぞきこんでいたことに気づいた。

その笑顔はとても優しいあたたかなものだった。


「おはよう、つぐみ」


「おおおお、おはよう、ケイくん」


笑顔で言う京里に慌てた様子で挨拶をかえすつぐみ。

そして、名残惜し気に布団から出てパジャマに手をかけてから、ふと我にかえり。

冷気にさらされたことで熱がさめ、なぜここに京里がいることに疑問を持ったのだ。


「って違う!! な、ななななななんでケイくんがあたしの部屋にいるのおぉぉぉぉ!!?」


と、大きな声を朝からだしてしまった。


「つぐみの寝顔かわいかったよ♪ あと、悶えて恥ずかしがってるところもね」


「ふみゅう////!?」


が、それを気にしない様子でつぐみに追い打ちをかける京里。

爆弾発言にぼひゅっと湯気があがりつぐみの顔がみるみるうちに赤くなっていく。

いや、赤黒くなっていると思ってもいいだろう。


「今日も朝ご飯の審査、お願いするね」


そう言いながらにこにこ笑顔でつぐみの部屋を出て行く京里。

扉がしまる音で我にかえり、猫パジャマから制服に着替え始めるのであった。

髪を櫛でキレイにといて大きめなリボンをとり、ポニーテールにして、準備完了。

ふと、写真たてに視線をうつし、指でなぞると小さく「お母さん・・・」と寂しそうにつぶやいた。

そして頬をぱちん、とたたいて意識を切りかえるのだが、痛かったのか涙目になりつつも、部屋を出て行くのであった。


階段を下りると、高校教師の父が笑顔で出迎えてくれた。

ちなみにつぐみの母は女優だったりするらしい。

だから、女優やモデルのときの写真もよく飾られていた。

隣には京里がおり、一緒に料理を並べているのがわかる。


「お父さん、いつもいつもケイくんに起こさせるのやめてよ。 恥ずかしいよ」


「ん? でも、いつかは結婚するんだし早めになれといた方がいいだろ?」


椅子に座りながら抗議すると彼は笑顔でにこにこと笑っていた。

それから一緒に食事をとり、美味しいと言うと嬉しそうな京里の笑みに視線を慌ててそらしてしまう。

そのあと、早めに彼女の父は家を出て行った。

高校の教師なので忙しいのに、それでも料理も頑張っているようであるがつぐみにくらべればまだまだである。

雨宮史郎:高校教師でつぐみたちの通う学園に通っている。


雨宮葉留佳:有名な女優でモデルもしていたことがある。

主な職業は女優をしていた、まだ若輩のときはモデルをしていたらしい。

突然の病かなにかで倒れて病院に運ばれ死亡。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ