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ホワイトデー

「”レイナ、ホワイトデーとはなんですか?”」


「い、いきなりだね」


香はレイナと一緒に特別教室におり、彼女に聞いた。

人生の先輩ともいえる彼女だからこそだろう。

レイナといる場合はフードを被った状態で制服を着た姿でいる。

これもレイナのなせるわざなのかもしれない。


「うーんと。 バレンタイデーのそのお返し……みたいなもんかな」


「”……希林とレイナがあのわんこからもらっていたのもそれなんですか?”」


頬をかきながら言うレイナに香はじっと彼女を見つめていた。


「想いのお返しみたいなもんだからね」


「”義理でも返すもんなんですか? それとも想いがあるから?”」


レイナを見ながら問いかける香に顔を赤らめる。

きっと希林がいてもこんな事態になるだろうことは目に見えている。


「た、たぶんね!」


「"だとしたらそうとうのたらしですね"」


レイナが苦笑すると香は渋い面をしてから本を見る。

彼女がこの教室から出ることはない。

レイナが連れ出さないかぎりは絶対に………。


「香はあげたの?」


「”理解不能です。 なんでわたしが見ず知らずの人にあげないといけないんですか”」


レイナが笑顔で問いかけると彼女はあきれたように顔をあげて渡す。

それもそうだろう。

彼女が渡すとしたら友チョコばかりである。

といってもレイナには手渡し、ほかのみんなにはレイナからの手渡しである。

それもすべて受け取り、香には渡している。

その時の彼女の顔は無表情ながら嬉しそうに見えたのはきっと事実なのだろう。


「そうだ、ホワイトデーなんだから洋服でも買いに行こう! 他のみんなも誘ってさ!」


「”嫌です。 レイナだけなら問題ないですけど”」


笑顔でそう語りかけるレイナに嫌そうな顔を見せるが無表情にしか見えない。

これには困り果てるレイナ。


「だ、段ボールにかぶってていいから行こうよ」


「”………。 わかりました”」


レイナに言われて渋々と承諾する香。

それに安堵するレイナ、せっかくかわいいのだからおもいっきりかわいくさせたい。

それがレイナにとってのしてみたいことである。

嫌そうに見えても実は楽しんでいることも長年の勘というものでわかるらしい。


「それじゃ、行こう!」


「”仕方ない先輩ですね”」


香は段ボールにいれられるとそのまま持ち上げてレイナに連れ出される。

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