8話、囲まれてダンジョンへ
今回も短いです。
俺は今、レベルアップの確認からまた1時間ほど歩いて、少し開けた場所に出た。
開けた場所から空を見たら、
「やっぱり異世界なんだな」
太陽が見える。そこは地球と同じだが、太陽以外に、見るからに月では無いと分かるほど大きい星が近くに2つ浮かんでる。
あれから、敵とは会っていない。
少しその事に感謝しながら少し休憩する。
かれこれ転生して2時間半ほどしたが、まだ食べるものはおろか、飲む物も確保できていない。
さすがに、ゴブリンの死体を食べる程飢えている訳では無いが、近い内に何か飲む物食べる物を探さないといけない。
開けた場所は直径200m前後の円のような形をしていた。
更に中央に大きな穴が斜めに開いており大人が余裕を持って2人横に並べるほどの大きさの洞窟になっていた。
「これは何の穴だ?」
ピロンッ
《ここは迷いの森の中央に存在する漆黒のダンジョンです。》
ダンジョン?
いわゆるレベル上げや宝箱を探しに入っていくゲームで定番のあのダンジョンか?
しかし、今は森を抜けたいのだ。名前からして危なそうなダンジョンになんか、入る理由が無い。
流石にダンジョンの入り口の近くで休憩するのは嫌だったのでダンジョンと森のちょうど真ん中あたりで休憩をする事にした。
30分ほど休憩しただろうか?
少し枝の擦れ合う自然の音では無い音が聞こえた気がした。
すぐに警戒を強めて、耳を澄ます。
今度はしっかり聞こえる。
「グゲゲゲ」
「グギギッ」
この声は先ほど倒したゴブリンだろうか?
しかし、今度は数が違う。
少しして森の木々の隙間からゴブリンが見え始めた。
全ては見えないが200体、もしかしたら300体以上いるかもしれない。
中には、一回り大きいゴブリンや、所謂オーガのような奴もいる。
更にゴブリン達はダンジョンを囲む様に全方向から歩いてくる。
ダンジョンを囲む様にという事は、俺も囲まれているという事だ。
もしかしたら、最初の2匹を始末した時から誰かに付けられていたかもしれない。
こんなに開けた場所では今更隠れても意味が無いだろう。
ここで休む事にした過去の自分を恨みながらどうするか考える。
闘うなんて数の差がありすぎて話にならない。
逃げるにも4重5重に囲まれているから、ここまで接近されてから動いても袋叩きになる、だからこれも駄目だ。
答えは1つしか無かった。
闘うも無理、逃げるも無理
なら、もうダンジョンに入るしかない。
行き止まりだったら確実に死ぬ。
だが、このまま残っても、どの道死ぬだろう。少なくともダンジョンの通路なら一気に全部のゴブリンと闘わなくていい。
そうして、俺はダンジョンに入った。
次回は少し長くなりそうです。(想定)