お屋敷にてー1ー
ボクっ娘で行くことにしました。
可愛いから良いよね!
薄いピンク色の壁紙と赤い絨毯がひいてある少し広い部屋。
天蓋付きのベットの上で少女は目を覚ました。
「う、うぅーん」
長く寝ていたせいか体が少しだるい。
体を起こして周りを確認してみると、ベットから少し離れたところに椅子があり、その上で白衣を着た男の人が何か本を読んでる。
「お、起きたみたいだね、体の調子はどう?変なところはない?」
椅子に座ったままパタンと本を閉じて男の人が声をかけてきた。
声に反応して思わず声が詰まってしまう。
「お、おはようございます?」
「はい、おはよう。何かあれば早めに言ってくれ。」
「は、はい」
ウンウンと頷くと男の横で控えていたメイドの人が声を出した。。
「では旦那様お嬢様のご用意が終わり次第お食事にいたしますので一旦ご退室をお願いいたします」
「ん、じゃあまた後でね」
そう言って男は部屋から出て行った。
残されたのは僕とメイドさんだけだ。
メイドさんは黒っぽい服に白いエプロンしていて赤い髪をしている。
この人もさっきの男の人と同じ赤い目をしていた。
「ではお着替えの準備をさせていただきます。こちらへおいでくださいませ」
「は、はい」
ベットからおりてメイドさんに着替えを手伝ってもらった。
赤いドレスと黒いドレスどちらがいいですかって聞かれたけど上の空でお任せします、っていっちゃった。
※※※※※※
着替えが済んで食堂への扉をくぐるとそこは20人以上は余裕で座れそうな大きな机が中央にあった。
それなのに椅子は2つしかなく片方はすでに先程の男の人が座っているとするとその反対側にある椅子が僕の席なのかな・・・遠くない?
「おお、素敵な服装だね。」
「あ、ありがとうございます。」
「では旦那様。お食事を始めさせていただきます。」
「ああ、彼女もお腹が空いているだろうから話は後にしよう。」
初めての食事がこんなに豪華でいいのだろうか・・・。マナーとかわかってないんだけど・・・。
食器は外側から使うんだっけ?内側だっけ?正面の男の人の動きを真似すればいいのかな・・・。
「ああ、マナーとかは気にしないでもいいよ。美味しく食べてくれればそれでいい。」
「ご、ごめんなさい。」
「いやいや、謝る様なことじゃないよ。」
不安そうに見てるのがバレたのだろうか男の人が優しい言葉をかけてくれる。
「旦那様もいい加減なところがあるのであまり真似をなされない方がよろしいですよ。」
「え、そうなのですか?」
メイドさんがネタバレをしてくる。この人は話しやすいのかもしれない。
話しやすいこの雰囲気のまま、世界のことや今の状況についての話を切り出したいけどどうしよう。
「大丈夫。状況の説明とかもきちんと後でするからね。」
「お嬢様、お食事の後でお時間を用意いたしますのでご安心ください。」
「そうそう、不安そうな顔しないで今は食事に集中していいよ。」
やっぱり顔に出てしまっていたらしい・・・。
お腹も空いていることだしお言葉に甘えて食事に集中させてもらおう。
※※※※※※
「食事も終わったようだし、色々と話をしてもいいかな?」
「は、はい。お願いしまっす。」
食事が終わって僕が寝ていた部屋に移動した。
僕はベットに座らされてその正面にいる男の人、もとい旦那様がいる。
やっぱりこの人の前だとなぜか緊張してしまう。
「まずは自己紹介から、私の名前はナビ=ナーヴァス。君の製作者だよ。」
「わたくしはトリーと申します。これからよろしくお願いいたしますね。」
「は、はい。よろひくお願いしみゃす」
緊張のあまり噛んでしまった・・・(泣)
「フフフ、お嬢様ったら」
「で、でも製作者ってことはナビ様は僕のお父様ってことですか?」
トリーさんに噛んだことに突っ込まれる前に疑問についてとりあえず聞いていくことにする。
「ん〜確かにそうとも言えるんだけど、どちらかといえば君の「ト:旦那様はあまりにも女性に対してのハードルが高いといいますか、特殊なのでお嬢様を結婚相手として作成なさいました。」
「えっ、僕はナビ様と結婚するのですか?」
トリーさんがお父様の言葉にかぶせて説明をしてくれた。
お父様はそれを気にしてない様子で更に説明を続ける。
「うん、当初の目的はそうだったんだけどまずは世「ト:お嬢様は旦那様を結婚するという選択肢があるに過ぎません。お嬢様は自由です。
この世界は広く様々な人や物があります。まずはご自身のその目で耳で、この世界をお楽しみくださいませ」
あ、お父様が肩を落として諦めた顔になってる。
トリーさんは自信満々でフフン、って音が出そうな顔をしてる。
「ま、まあとりあえずそのことは一度置いておいて君のことを話すね。トリーかぶせないでくれ。」
「畏まりました。」
お父様が持ち直して説明をしてくれた。
まず私はお父様とトリーさんの体の一部を使って作られたって事。
名前は『ミナ=ナーヴァス』お父様の姓を名乗って欲しいんだって。
2人は吸血鬼って種族で、世間では吸血鬼は絶滅したと言われる存在であること。
吸血鬼とは血を吸うことて長生きができて、魔法が得意で体を霧やコウモリ狼に変化させることも出来るらしい。
僕も吸血鬼ではあるけれど、イデンシクミカエ?をして魔法に特化させた存在であること、だから特徴は人間に近くて変身はできない代わりに血を吸わなくても良いらしい。
お父様は結婚相手として僕を作る予定だったけれどトリーさんが体の一部を提供する際に色々条件を出したこと。
条件については秘密ってことで教えてもらえなかったけれど、僕はこれからお屋敷から出て好きに活動してもいいらしい。
僕がお父様の結婚相手候補って言うよりも決定権はこちらにあって、お父様が僕の結婚相手と候補ってことらしい。
「事情について話せるのはこれくらいかな、あとはこの国と周りについてかな」
トリーさんが地図を持ってきてそれを見せながらお父様が説明をしてくれた。
この世界は3つの大陸からできていて『∇⚪︎⊿』こんな形だった。
王様は『人王』『獣王』『竜王』『魔王』がいて左の大陸を上下に分けて『人王』と『獣王』が、中央の大陸を『竜王』右の大陸を『魔王』が支配しているんだって。
今いるのはグリーニアって国で人王が支配している国でそこの端っこにある大森林の中が現在地らしい。
お父様は人王が吸血鬼を保護という名目でこの大森林に追いやったせいで研究が進まなかったって怒ってたけど、トリーさんは大森林が過ごしやすくて住みやすいって言ってた。
各国の主要な都市とその毛色を教えてもらって頭の整理をしているとトリーさんが嬉しそうにこちらを見つめていた。
「お嬢様は生まれてまだ2日目、ですが魔力についてはすでにわたくし達を超えてらっしゃいます。
お嬢様が旅立たれるまで魔法や身のこなしなどに関しましてはお教えできるかと存じます。」
あ、やっぱり僕旅立つことは決まってるんだ。
「旅立つのはこの屋敷で色々身につけてからになるだろうからね。」
「わ、わかりました。よろしくお願いします。」
「大丈夫ですよ、教育に使用できるお時間はたっぷりございます。」
「はい。頑張ります。」
この時の僕はまだ知らなかった。トリーさんの教育がどんなものかということを。
(⌒-⌒; )長く書けない。