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女魔法使いは魔族領へ旅行に行きました 2

 色々な意味で阿鼻叫喚だった闘技場から、運営者らしき魔族に連れられて来たのは、どこかの控室だった。高級そうなソファに座らされた私は、和菓子に抹茶、膝の上にルルと至れり尽くせりだった。私の背後にルルパパが恨めしそうに見ているのは気にしない。


 しかし何かね、このVIP待遇は。


 疑問に思いつつも、ルルとまったりくつろいでいると、3人の魔族が現れた。一人は獅子魔族(顔面がライオンだから判りやすい)と、人型魔族(種族は不明)の2人だった。特に人型魔族の2人はかなりの美形の男性に見える。そういう種族なのかな?


 その3人の魔族たちの中央に居た金髪眼鏡の人型魔族が私を見る――次の瞬間、姿が消えていた。

 

 瞬間移動、さすが魔族!と感心していると、下から声がした。



 「お願いします、カナデ様。私たちを導く王になって下さい」



 土下座だった。


 私は心底、同情した。いい大人が可哀相……。


 そして私は、出来るだけ優しい声で返答する。



 「嫌です」


 

 NOとハッキリ言える勇気、これは大切だと思うの。



 「お願いします!!お願いします、見捨てないでくださぁぁあああいいいいい。私の土下座だけでは足りないと、でしたらカナデ様の靴を舐めます、舐めさせてくださぁぁあああいいいい」


 「気持ち悪いわ!!」


 「ぐふぁぁあああ」



 土下座姿勢からカサカサと移動し、足に縋りついてきた金髪魔族を私は万能結界で弾き飛ばした。そして金髪魔族は壁にめり込んだ。これは、正当防衛。私は絶対に悪くないからね!!


 しっかし、金髪魔族、本気で靴舐めようとしてた……!



 切羽詰まり、プライドをかなぐり捨てた大人に、私は恐怖を抱いた。


 こんな大人にだけは、なりたくない……。



 「アシル……氏族長なんだから、もう少しスマートにいかなきゃ。レディ、僕のために女王様になってくれないか?」



 私の目を見つめながら、人型の青髪魔族が言った。




 「はぁ!? ふざけるな、私は変態じゃない。嗜虐趣味なんてないから!! 可愛い幼女の情操教育に悪いでしょ、別の場所で勝手にやってよ。それとも、何も知らない幼女に聞かせて反応を楽しむつもり……? この特殊性癖持ちのド変態!!」


 「ぐさぁぁっ」



 私には赤いピンヒール穿いて、鞭で豚を打つ趣味なんてないから!



 変態発言をした青髪魔族が吐血しながら床に倒れた。

 邪魔だし、目の毒だよ。



 「おねえちゃん、じょうおうさまなの?」


 「違うよ。お姉ちゃんは清らかで善良な心を持った、ただのお姉ちゃんだよー」



 膝の上に乗せたルルを撫でながら、私は心を癒した。


 その様子を見ていた獅子魔族が、私の前に仁王立ちしながら見下ろす。て言うか、私が立って相手が座っていても見下されると思うな……だってこの魔族身長3・4メートルあるし。



 「ふん。所詮は色香に頼る事しかできぬ貧弱魔族よの。おい、人間の雌よ。我の命令を聞け」


 「嫌です」



 それが初対面でお願い事をする態度かよ……まあ、金髪魔族みたいに初対面で土下座も嫌だけどさ。



 「それならば、力ずくでいう事を聞かせるまでだ」



 そう言って乙女の顔に容赦なく鉄拳を振り下ろしてきた。



 「ひうっ、おねえちゃん!!」


 「何すんだ、このネコ科生物がぁぁあああああ」



 私は左手で脅えるルルを支え、右腕にありったけの魔力を注ぎ、渾身の右ストレートを放つ。



 「ぐふぁぁぁあああああ」



 拳と拳がぶつかり合い、メリメリと嫌の音を立てながら獅子魔族は吹っ飛ばされ、金髪魔族と同じように壁にめり込んだ。尤も、壁に咲いた鮮血の赤い花から、獅子魔族のほうがダメージが大きいのは一目瞭然だ。



 「世界の宝である、可愛いルルが怪我をしたらどうすんの!? 万死に値する愚行だね」


 「おねえちゃん、かっこいい!!」


 「ありがとう。ルルもとっても可愛いよ」


 「えへへ、おねえちゃんダイスキ」


 「私も大好きだよ!!」



 がしっと抱き合う私とルル。

 それを見て、焦ったようにルルパパが問いかける。



 「ルル! パパは、パパは大好きか?」


 「パパは……すき?」


 「ルル、私の事は?」


 「ダイスキ!!」


 「お父さん。娘さんを私に下さい」


 「ぬぅあっ。お父さんと呼ばれる筋合いは――ってお前ら女同士だろ!!」


 「あっはは。まあ、冗談はさて置き。これは何でしょうか、ルルのパパさん」


 

 私の雰囲気が変わったのが伝わったのか、ルルパパは真面目な顔になり私の質問に答えてくれた。



 「こいつ等は、獅子魔族、淫魔族、吸血鬼族の氏族長だな」


 「それって……もしかしなくても、偉い人なんですよね?」



 マジかよ。権力者ボコボコにしちゃった……ひとりは勝手に吐血して自滅したけど。



 「そうだな。まっ、気にすんな。こいつ等が弱いのがいけないんだからな。何よりルルに怪我がなくて良かったぜ」


 「同感です。それにしても、私に一体何の用だったんでしょうか?」


 「それは私からご説明いたしましょう!!」


 「あ、復活したよ」



 金髪眼鏡の魔族がいつの間にか私の隣に立っていた。不気味だ。



 「申し遅れましたが、私は吸血鬼族の氏族長アシルと申します。どうか気軽にアシルとお呼び下さい。以後お見知りおきを」


 「はぁ……カナデです」


 「早速ですが、私たち魔族の仕組みについてご説明いたします。我々は魔族と言っても、一括りではありません。様々な種の魔族がいるのです。そしてそれらは、それぞれに集団を作ったり作らなかったりしているのです。例を言いますと、我々吸血鬼族や淫魔族、獅子魔族はそれぞれに集団を作り、暮らしています。そしてカナデ様の膝にのせている人狼族は集団でいる事を好まず、家族や個人単位で生きております。まあ、魔族は種によって個性があり、好き勝手に生きていると言う事が判って貰えれば」


 「国という分類があるけれど、根本的には同じ人間である人族と、魔族は違う……ということですか?」


 「理解が早くて助かります。流石は、死神のお孫様」


 「あの、気になっていたんですけど、死神の孫って何なんですか……?」



 私は思い切って、ずっと気になっていた事を聞いてみる事にした。



 「なんと……かの死神が起こした災厄の数々をお知りではないと。いいでしょう、不肖ながら私がご説明しましょう。あれは150年ほど前です……」



 なんか長くなりそう……。



 「あの日も今日と同じ御前大会の日でした。そこの伸びている馬鹿しし――ではなくて、獅子魔族長が大会に優勝しました。こいつ、戦闘力だけはあるので……」


 「アシルさん、この獅子魔族長が嫌いなんですか?」



 私の何気ない問いに、アシルさんはニッコリと笑っただけだった……それは肯定したのと一緒だと思うよ!



 「では続けますね。優勝して調子に乗っていた馬鹿の元に、黒色のマントを纏った人間が現れたのです。そしてその人間は馬鹿を瞬殺し、優勝を掻っ攫ったのです。あれは爽快でした……」


 「だから死神と呼ばれているんですか?」


 「いえ。その後の事が死神と呼ばれる要因でしたね。人族が優勝した事を認められない魔族たちが襲い掛かり、それも返り討ちにして闘技場が一面血の海に。そして馬鹿を倒す前に予め自分に全財産を賭けていたのか、彼は賭けで一人勝ち。その多額の金に目を付けて近づいてきたサキュバスやら吸血鬼やらの魅了魔法を弾き返し、逆に惚れさせ一日でハーレムを形成。彼女を寝取られた男は数知れず。それと――」


 「まだ、続くの!?」


 「ええ。どこから持って来たのか、質の良い魔道具と素材を大量に市場に流し、経済を未だかつてない混乱に落としれました。経済が回復するまで20年ほどかかりましたね。そしてカナデ様の祖父は、出会ったら最後な死神と恐れられるようになりました。彼の起こした事象は、後に死神の災厄と呼ばれるようになり、現在にいたります」


 「う……何やってんの、御爺ちゃん……」



 実家に大量の魔族貨幣があったのは、このせいか……。

 しかもハーレム形成とか……本命が居たくせにアホか。本当に身内として恥ずかしいっ。よく刃傷沙汰で死ななかったね。むしろ、よくティッタお姉ちゃんに殺されなかったね!!



 「そう言う訳で、ほとんど交流のない人間領から死神の訃報の情報が流れた時は、大変驚きました。信じられなかった者たちが事実確認に人間領に潜入もしました。そしてその時、死神の孫であるカナデ様の事も知ったのです。あの死神のすべてを受け継いだ孫がいると……恐怖に脅える者、武者震いをする者、反応は様々でしたね」


 「ちょっと待ってください! もしかして私、御爺ちゃんの代わりに闇討ちされるかもしれないって事ですか!?」


 「大丈夫です。魔族は基本的に正面から戦いを挑みますから。吸血鬼族の氏族長の魅了魔法が効かず、獅子魔族の氏族長を壁にめり込ませたカナデ様なら大丈夫です!」



 全然大丈夫じゃないから!



 「あの、アシルさん。私が死神の孫として意図せず有名なのは判りました。それで、アシルさんが出会って早々に土下座したのはどうしてです?」


 「それは……カナデ様に魔族を統べる方になってもらいたくてですね……」


 「そもそも私は魔族じゃなくて人間です。前提から無理です。まあ……祖父の事もありますし、話ぐらいは聞きます」


 「本当ですか! 我々を助けて頂けますか!!」



 ちょ、足に纏わりつかないで! 本当に残念な美形だな!!


 取りあえずアシルさんの顔面を蹴り飛ばしておいた。正当防衛だからね!



 「助けるなんて確約はしていません。勘違いしないで下さい!!」


 「おねえちゃんをこまらせちゃ、めっ」


 「はぅ、可愛いなぁ。ルル、ほら飴ちゃんお食べ」


 「わぁ! ありがとう、おねえちゃん」



 私は亜空間から飴を取り出し、ルルに渡す。

 やっぱり、けもみみ幼女は癒しやで……。



 「アシルさん説明の続きを」


 「はい。先程話した通りに、魔族は一括りの存在ではありません。ですが、それを人族たちは知らないのです」



 確かにそうだろう。魔族領と人間領は魔王が現れるまで、表向き関わりが無かったのだ。御爺ちゃんは本当にイレギュラーな存在だったに違いない。だからもちろん、魔族領の事を理解している人間などいないだろう。

 


 「先日、人間の国から使者が来まして……その、我が国と交易せよと。その他色々な要求をしてきたのです。魔族全体の意見を求めてきたのです。魔族は人間領に多大な被害をもたらした、故に要求を飲めと遠回しに言って来たのです」


 「何ですか、それ? 確かに魔王は魔族だったけど、それを影から操っていたのは人間でしたよね? あの男がいなければ、魔王軍の被害はここまで大きくならなかったはず。それに魔王に関しては魔族の総意ではなく、一部の魔族の独断というのは有名です。実際に魔王討伐の時、魔族たちは、諜報活動や情報提供をしたりして協力してくれました……戦場になった人間領に魔族は入る事を許されませんでしたから」


 「はい。仰る通りなのです。ですが、魔王討伐してやったのだからと……この書簡を押し付けられたのです」



 私はアシルさんから書簡を受け取り、内容に目を通した。


 そこには自分勝手な要求が書かれていた。

 しかし、人間領の国と明記されているだけで、国名は書かれていなかった。



 「このふざけた書簡を持って来た国はどこです?」


 「判りません。あくまで人間領の国だと……」


 「嘗められていますね」


 「私もそう思います、カナデ様」


 

 私とアシルさんが神妙な顔をしていると、獅子魔族長が起き上がった。



 「ならば、気に入らないヤツは殺せばいいのだ!!」


 「黙れ」



 私は氷の塊を獅子魔族の頭にぶつけ、再び気絶させた。



 「このように、短慮な馬鹿どもがいるのです。そしてこの馬鹿どもに限って力が強いのです」


 「使者はあくまでも使者。死んだところで痛手にはなりませんからねー。殺せば相手の思う壺です。魔族領に対する大義名分が出来る訳ですし。魔王討伐に参加した国以外は、被害の大小はありますが、絶賛復興中です。こんなバカげた策略を巡らす暇なんてないはず」


 

 そうなると、この書簡を寄越したのは魔王討伐に参加した、空・風・大地・光・雪のいずれかの国になる。空の国は除外だけど。あの王太子がこんな馬鹿らしい事をするはずないし。



 「魔族領は、人族が来るには少々厳しい場所です。それに国境には魔法がかけられていて、人族も魔族も惑わしますから……魔法の解除方法を知っている魔族しか本来、国境を越えられないのです」



 そうだったのか。私は空から入国したから普通に入れたんだね。



 「つまり……魔族領への入り方を知る国か。そうなると、光の国かな。捉えた魔王軍参謀を引き渡したのは光の国だったし」


 「ほう……魔族を利用した人族は光の国にいたのですね」



 アシルさんから怒気が伝わってくる。

 魔王軍侵攻は、脳筋で有名な獅子魔族の若者を陽帝国への復讐のために参謀の人間が利用したのが原因だ。アシルさんが怒るのも無理はない。


 まあ、魔王の件は人族も魔族も双方が悪かったのだ。どちらかが悪いなんて言うのは筋違いなのである。国単位で考えるとまた違うけど……それは魔族も一緒だし。



 「アシルさんは、人間の国に詳しい私に助言……あわよくば使者との会談に出席して欲しいって事?」


 「はい、そうですぅぅ。それと、力ばっかりで頭がスカスカな奴らが勝手な事をしないように押さえて欲しいといいますか。いっそ、私たちの王になって導いて欲しいのです。大丈夫です、死神の孫であるカナデ様なら、魔族に受け入れられますから!」


 「魔王になれって事? 嫌だよ、汚名しかない王の名を名乗るなんてさ。そもそも、私は魔王討伐の時に魔族を殺しているけど……そんな人間を本当に受け入れられるの?」


 「それは大丈夫です。魔族は弱肉強食。弱かった者たちが悪いのです。むしろ魔族全体に不利益をもたらす存在が消えて良かったと感謝しています」



 魔族ってある意味判りやすいね……。ちょっと引いた。

 まあ、命がけで戦った訳だし謝るつもりも無かったから、正直有難いね。



 「何にしても魔族の長にはなりません」


 「今回は魔族としての総意を示さねばなりませんし、嘗められたままではいれません。魔族たちに纏まりがない今、頼れるのはカナデ様だけです!!」


 「いや、内政干渉とか嫌だし」


 「そこを何とか……助言だけでも。脳筋魔族どもを私では抑えられないんですよぉぉおおお」


 「はぁ……だったら、魔族をまとめる組織でも作ったら? ほら、魔族の有力者が集まって決めればいいと思いますよ。そこでは決して力押しはしてはいけないとか決まり事作って」


 

 そう思うと、魔王とその下に参謀と四天王を置いた魔王軍は、中々いい組織構造だったよね……トップが脳筋じゃなくて、参謀に野心がなければ、だけど。



 「そうなると七人ほどですね。そこには、ロイドも入りますよ」


 「なんで俺が!」



 今まで退屈そうに私たちを見るだけのルルパパが反応した。



 「貴方は、人狼族最強の戦士ですから。獅子魔族と魔族最強の地位を争う人狼族が組織に居なければ話になりません」


 「俺は面倒だから何もできねーぞ? お前に全部任せる事になるだろうし」


 「それがいいんです! 余計な事しかしない馬鹿よりマシです」


 「ルルのパパさん、頑張って!」


 「他人事だと思って……」


 「だって他人事だもん」


 「パパ、がんばって?」


 「おおう、がんばるぞルル!」



 チョロすぎだろ、人狼族最強……。

 でも私もルルに頑張ってと言われたら承諾しそうだ……ルル、恐ろしい子っ!



 「そうなりますと、根回しが必要です。カナデ様、お願いです。私と一緒に付いてきてください!!」



 そう言って再び足にまとわりつくアシルさん。

 この気持ち悪さ、どうにかして!!



 「はぁ……まあ、御爺ちゃんがやらかした分は頑張るよ。ところで、使者との会談はどこでやるの?」


 「決まっておりません。魔族は種ごとに好き勝手やっていますので……人間領の国のように首都や総合施設がないのです。この闘技場も我ら吸血鬼族の持ち物ですから」


 「ふーん。だったら人間を脅すついでに、私が城を造ってあげよう」



 城はその国の力を示すからね。国力がよく判る。

 いっちょ馬鹿な事を考えている人間国の度肝を抜きますか!



 「本当ですか!」


 「本当だよ。ついでに城の隅に私の家を建ていい?」


 「どうぞ、ご自由に!」



 よっしゃ、言質は取った!

 これで土地と家の問題は片付いた。ついでに城の建設費と一緒にお金を貰おうっと。


 ちゃっかり策を巡らす私を知ってか知らずか、アシルさんは泣きながら土下座をしている……気にしたら負けだよ。



 「あっ、そう言えば……アシルさんはどこで土下座なんて覚えたの?」


 「? 土下座は100年ほど前から使われている魔族独特の謝罪方法ですが」


 「そっか。それと、この国の料理って独特だよね」


 「ええ。元々魔族はほとんど料理をしなかったのですが、100年程前に人間の旅人が伝えたとされています」


 「そっか。ありがとう」



 人間ね……。人間領に日本食なんて存在しなかった。それに、どうして人間領のお菓子と魔族領のお菓子は……前世と同じなのか。中身だけじゃない、名前も……日本語と同じ読み方。


 これじゃ、まるで――――



 「転生者がいたみたいじゃない……」



 私が特別なんて事は無いだろうし、他に転生者がいてもおかしくはない。


 だけど100年前か……人間だったら普通は死んでいるよね。御爺ちゃんみたいに長生きするのも有り得るけどさ。


 あーもう、考えるのはやめよう。結論何て出ないんだから。



 「おねえちゃん、どうかした?」


 「何でもないよ、ルル。 それじゃ、一緒に行こうか」


 「うん!」


 「ルル、パパと手を繋ごう」


 「やだ、おねえちゃんがいい!」


 「ぷっ、振られてるよ。どんまい、パパさん」


 「ルル……パパと結婚するって言ってたのに」


 「それ多分、記憶改ざんしてるよ?」


 「そんな事ないぞ!」


 「ふふ。では、案内します。カナデ様」 



 私は胸にしこりを残しながら、アシルさんについて行く。



 獅子魔族と淫魔の氏族長が寝たままだけど……まっいいか。






今回は繋ぎの回なので、急展開はなしです。

魔旅編は後日談も含め、残り2話で終わる予定です。


次回は、城建設と使者との対談です。休暇中も結局仕事している気がします。

ではでは、次回を気長にお待ちくださいませ!



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