虹とお菓子と後日談
本日は連続更新になります。
『魔法少女は魔法武術大会に出場しました 7 』からお読みください。
「魔武会は団体戦で負けましたが、とても楽しかったですわ!」
「「楽しかったね~」」
魔武会から三日後、私の所属する三日月の会ではお茶会が開かれていた。
生憎の雨模様だけど、温室だから関係ないよ。ビバ、部費が潤沢な部活!!
「私たちの代の魔武会が派閥関係のない自由な物で良かったですね、エリザ。派閥関係を滅茶苦茶にしてくれた方に感謝したいです」
「そうですわね、バルミロ。おかげで今年は学内で比較的自由に振る舞えますわ」
「そうね、わたしも同感です」
「うんうん、変に威張った奴が減ったもんね。 サーニャ」
「闇討ちする面倒が減ったよね、サーリヤ」
そっか、今年は何時もより派閥争いがマシなのか。派閥滅茶苦茶にしてくれた人に感謝だね!
「それにしてもカナデさんがいない間のお茶会はつまらなかったです。お菓子を出してもエリザベートとバルミロでは碌な感想がもらえないのですから」
そう言って憂いの表情を浮かべるガブリエラ先輩。黙っていれば深窓の令嬢だよね!!言っている事はナチュラルに酷いけどさ。
「あっはは……今日のお菓子も美味しいです。このマカロンたちが着色料を使っていないのに鮮やかな所とか、ガブリエラ先輩のこだわりを感じます」
「そうなのです!ああ、やはりわたしのお菓子を理解してくれるのはカナデさんだけです。カナデさんの持ってきてくれたクレープもとても美味しいです」
「光の国のお店で売っている期間限定ものですよ!この店のクリームと生地の甘さとフルーツの酸味が絶妙なんです!!」
「確かにこれは黄金比……勉強になります。カナデさん、光の国に行った時に寄りたいので詳しいお店の場所を教えて下さい」
「もちろんです!!」
ガブリエラ先輩のためにお店の住所を書く。
そう言えば……お菓子について不思議に思っている事があるんだよね。
ガブリエラ先輩なら知っているかな?
「あの、ガブリエラ先輩。このマカロンとかクレープとかって何所で生まれたんですか?」
おかしいと思っていたんだよね。異世界なのに地球と同じお菓子が存在していて、名前も地球と同じだなんて。
「お菓子文化はここ100年ほどに急速に進化しました。例えばこのマカロン。これはマカロン伯爵という人物が夢に見たお菓子が元となっています」
何そのサンドウィッチ伯爵と某神父の話を足したような展開!?
「そしてこのクレープの起源は判りませんが、ある同時期に人間領のあらゆる地方で同時に生まれたそうです」
「なんですか、それ……」
「菓子職人の間では、お菓子の神の天啓もしくは神秘と呼ばれています。そしてカナデさんは現代に舞い降りたお菓子の神と密かに信仰されています」
「色々ツッコみどころが多すぎるよ!!」
「「やーい、やーい、お菓子の神~」」
「ギッシャーー!!!」
「「きゃぁ~カナちゃんが怒った~」」
サーリヤ先輩たちを威嚇しつつ、お菓子の神について考える。
神様なんて信じていなかったけど、異世界だし本当にいるのかもね。
「お菓子の神に感謝ですね、ガブリエラ先輩」
「ええ、本当に」
雨が上がり、今までに見たことのないような虹の橋が空に架かる。
温室に虹色の光が差し込む……なんて幻想的なの。
「まるでお菓子の未来を祝福しているようです!!」
「そうね!!」
「美しいですわね」
「そうですね」
「「そんな事よりも何か遊ぼうよ!!」」
「サーリヤさん、サーニャさん。貴方達二人にはお説教が必要のようです。お菓子の神を蔑ろにするなど……祟られますよ、カナデさんに」
「私に振らないで下さい!!」
「「ボクらを食べるの……カナちゃん」」
「誰が食べるかぁぁああああ」
私の学園生活はそれなりに平和です。
これにて連続更新終了!!
あんまり誤字を確認していないのでいっぱいあると思う。
後で修正しますね。
魔法武芸大会編は終了です。
カナデはまだ7歳の発展途上のため、無双な感じではなかったですね。
次話からはカナデ15歳に戻ります。
時系列的には魔王編直後のお話。
タナカさんと人外な保護者たちと王太子&宰相補佐、それと第五王子が出ます。
魔武会編ほど長くはならないと思います。
それでは気長にお待ちくださいませ!




