魔法少女は魔法武芸大会に出場しました 4
「「 話は聞かせてもらった!! 」」
「サーニャ先輩、サーリヤ先輩!?」
悩める私たちの前に突然、三日月の会の先輩である2人が現れた。最近は突然湧いて出るのが流行っているのかな!?びっくりだよ!!
「「ボクらが団体戦メンバーになってあげるよ!」」
「始めまして、カナデの友人のロアナ・キャンベルですわ」
突然の先輩たちの登場にも驚かないロアナさんマジパネェ!
「カナちゃんから話はよく聞いているよ。ボクはサーリヤ」
「アタシはサーニャ」
「先輩方がカナデに協力する理由を聞いてもいいですか?」
訝しみながらロアナが先輩たちに尋ねた。
「「そんなの去年武芸の単位を落としたからに決まってるよ!」」
「誇らしげにいうことじゃないと思うよ」
思わずツッコミを入れてしまった。
「魔法武芸大会は四年に一回。これに出場する事が単位取得の救済措置だからね」
授業の時に行っていた単位の救済措置が魔法武芸大会出場か。1年生にはきついなぁ。四年に一回だし……たぶん大人の都合なんだろうけど。
「だからボクもサーニャも魔法武芸大会に出場しなきゃなんだ。個人戦とペアは武器を使うのが必須だからヤル気でないし、団体戦に出ようと思ったんだよ。そうしたら空の国の王子とカナちゃんが争っているし、ボクらも便乗しようかと思って」
「そうそう。派閥とは関わり合いたくないからね。アタシらと同じ完全無所属のカナちゃんと一緒なら面倒にならないし」
「完全無所属って何? 教えてロナえもん!」
どぅるるっるっるる~と腹から不思議道具を取り出す猫型ロボット風にロアナの事を呼んだら睨まれた。どうやらお気に召さなかったらしい。かく言う私もカナえもんとか呼ばれたら確実に怒るね!
「変な仇名で呼ばないで!……完全無所属って言うのは国や特定派閥の影響を一切受けない個人主義の生徒の事よ。実際無所属の生徒はある程度いるけど、自国や家の派閥の関係で本当の意味で影響を受けない完全無所属の生徒は学園内にごく少数しかいないわ」
「ほほう。それはつまり私の事だね!」
平民のお気楽身分で自国の王子と仲が悪い、どこにも組しない流離の魔法少女とは私の事さ!
「ちなみにわたしも今は完全無所属ね」
「ボクらも国籍のない旅芸人だし」
「父親はこの国の公爵だけど、一切関係ないしね」
「あっちは認知したいらしいけど……」
「「絶対に嫌だよね!あはははは~」」
相変らずノリ軽いな!
「それではサーリヤ先輩、サーニャ先輩、協力してもらえますか?」
「「もちろんだよ、カナちゃん! それにロアナちゃんもよろしくね!!」
「よろしくお願いいたします」
ロアナは深々とお辞儀をした。やっぱりロアナは他の貴族たちと違ってイイコだよね!さすが私の嫁(お世話してくれる意味で)!!
先輩たちの加入で絶望的な戦況に光明が差したぞ!
「これで他の完全無所属の人を取りこめば……どうにか大会に出場できるかもしれないね、ロアナ!」
「先輩方、他の完全無所属は居るのでしょうか?」
「いるよーとびっきりなのがね」
「そう、とびっきり凄くて変なのが!」
「「二年の首席のサルバドール・ガランだよ!!」」
「ほ、他には……」
「ロアナちゃん、完全無所属っていうレアキャラがいっぱいいる訳ないじゃないか!」
「アタシらとサルバの5人しかこの学園にいないよ!」
「「おもしろくなりそうだね!!」」
手を繋ぎクルクルと回る先輩たち。何というか、快楽主義だよね。普段見てて思うけど、物事を面白いか面白くないかで判断しているよね、この双子は。しっかしサルバ先輩か……誘拐事件から私は会っていない。風の噂では真面目に毎日トイレ掃除の罰をこなしているらしい。という訳で高級食材の提供など残りの罰も順次こなして貰いたい所存である。
「はぁ……あれでも学年主席らしいですし、了解しましたわ」
そして私たちはサルバ先輩を勧誘しに行った。
♢
「いいぞ、メンバーになろうではないか」
サルバ先輩はロアナに足蹴にされ、サーリヤ先輩たちに顔を落書きをされながら平然と了承した。ちなみにコレには訳がある。出会いがしらに『解析させてくれ~』と私に飛び掛かって来たのだ。コヤツ反省しておらん。私が防御結界をはってサルバ先輩を弾き、倒れたサルバ先輩が再び暴走しないようにロアナが足で押さえつけたのだ。何で足とかはツッコんじゃいけない。命が惜しければな!
「やけにあっさりだね、サルバ先輩。貴族なのに完全無所属っておかしくない?」
「月の国出身の学生は私だけだからな。それに派閥争いなどと言う無駄な労力を使う暇は私にはない。」
「へぇ……それでサルバ先輩はどうして協力してくれるの?」
「メンバーに入ればカナデと魔道具を共同開発出来るじゃないか!」
それが目的ね、わっかりやすーい。でもね、一つ言わなくちゃならない事があるんだ。
「私は魔道具作れないけど?」
「ええ、そうなの!?」
ロアナが本気で驚いている。御爺ちゃんに魔道具の作り方なんて習わなかったし。
「錬金術はできるけど、魔道具は無理だよ」
「はぁ……そんな事だろうと思ったわ。錬金術、錬金術ねぇ……」
「錬金術か! それは新たな魔法陣の構想に役に立つかもしれん。今すぐに見せ――」
「お黙り、サルバドール!!」
「ぐふぁぁあああ」
「……イチャついていないで私の話を聞いてくれるかな?」
さすがに友達のSMプレイは見たくないといいますか……大体サルバ先輩が悪いんだけどさ。
「イチャ……イチャついてなんかにゃいわよ!」
噛み噛みのロアナに思わず萌えた。うちの嫁は世界一ぃぃいいいい。
「魔道具作りがあるってことはメンバーは戦闘員以外もいるって事?」
私の質問にサーリヤ先輩たちが答えた。
「そうだよ。人数の上限は15人で実際に戦闘に参加するのは10人まで」
「武器や防具、その他の道具もぜーんぶ自分たちで作らないといけないから役割分担することが多いみたい」
おいおい、それって5人で足りるのか!?足りないよね!でも他に増援は見込めないし……ああもうっ、腹をくくろう。
「全員で分担して行うしかないでしょう。幸いにも天才がおりますし、きっと何とかなりますわ」
「「きっと大丈夫さー♪」」
「開発……解析……」
「そうしたらリーダーを決めなくてはいけませんね」
「「ロアナちゃんだね」」
「ロアナだな」
「ロアナがんばれ~」
ロアナの問いに全員が同じ答えを出した。まず幼女な私には無理だし、サーリヤ先輩たちはリーダー向きじゃない。もちろんサルバ先輩は論外だ。残りは……しっかり者のロアナしかいない。満場一致だね!
「ちょっと……」
「そうしたらチーム名決めなきゃだね、サーリヤ」
「何がいいかな、サーニャ」
「「ねえ、カナちゃんはなにか良い案ある?」」
ロアナの反論を許さないサーリヤ先輩たち……中々の策士だな!そして私も便乗するぜ。
「マジカルレンジャーとかどう!?」
5人いるなら、やっぱ戦隊モノだよね!私は断然ミステリアスなブラック希望だよ!クールなブルーも捨てがたいけどね。
「「ええ~なんかダサい」」
「どういう意味か判らないわね」
「ん?私はどんな名前だろうと気にしないぞ」
えっ……不評なの!?
戦隊モノの良さは異世界共通じゃないの!?
皆、もっと熱くなろうぜ!!!
サブタイだけじゃ判りにくいかなと思ったので、章ごとに分けました。
ご確認ください。
伝わっていないようなので書きますが、マティアスは今の所カナデに恋愛感情は抱いていません。生意気で気に入らない奴という認識です。それからベルナもカナデにそう言った感情は抱いていません。今のカナデは7歳ですから、7歳。私の文才が無くて判りづらくてごめんなさい。
※この小説は逆ハーにはなりません。基本コメディーですが割と裏がドロドロしています。
以下キャラの年齢&学年(魔法武術大会編)
■1年生
カナデ 7歳
ロアナ 12歳
マティアス 9歳
ベルナール 14歳
■2年生
サーリヤ&サーニャ 15歳
サルバドール 12歳
■3年生
エリザベート 18歳
ガブリエラ 17歳
■4年生
バルミロ 20歳
次回はライバル登場と戦いに向けての準備です。すべては単位のために(笑)