中学生カップルの日曜日
まったく、あの姉達は……。
出掛ける前のことを思い出しながら待ち合わせ場所の駅に着くと、集合時間十分前にもかかわらず凛先輩が立っていました。私に気付いて、片手をあげます。
「……こんにちは」
両手を重ねて会釈をすると、凛先輩も「こんちは」と返してくれます。
「家にいたら高校生の兄貴がうるさくてさ、つい早く来ちゃったよ」
「……そうなんですか」
私も似たようなものです、と付け足そうかな。でも、キスされそうになったとか言ったら引かれるかも。
「次の電車が来るまであと五分くらいだからさ。ホームに行こう」
「あ、はい」
そう返すと、凛先輩はクスリと笑みを零す。知らず知らずに変な反応をしてしまっただろうか。
「あぁ、ごめんごめん。今の言い方が、高校生の兄貴にソックリで、思い出し笑いしちまった」
改札を抜けながら、凛先輩が笑みを向ける。
「そうなんですか」
その笑顔にほっと一息したのも束の間。
「あと、相変わらず、七星は電話だと饒舌だな、って思ってさ」
うぐ、と顔が熱くなる。
「すいません。顔を見て話すのは、やっぱり苦手で……。でも嫌いなわけじゃ……」
「あはは。分かってる分かってる。ていうか、そのギャップも惹かれた理由の一つなんだしさ」
凛先輩の斜め後ろ、俯きながら階段を上っていく。階段があってよかった。俯いていたら、とりあえず顔は見られないだろうから。
「とりあえず街に出て、昼飯はあそこなんてどうかな。駅から少し歩くことになるけど、新しくオープンした……」
その言葉を聞きながら、家でも思ったことが、また頭に浮かんだ。
やっぱり、私達は似たもの姉妹だ。