夢見る店長
「飯島店長!飯島店長!大丈夫ですか?45才の店長が17才の女子高生を見て何考えてるんですか!」
小姑社員の小松が呆れた顔をしてデスクに着いている自分の元に歩いて来る。
「気のせいですよ」
「ならいいんですけど」
小松は喫茶店の控室から出て行った。
俺は視線を戻した。
長い黒髪を揺らしながらロッカーを閉め、女子高生の箕輪楓がこちらにやって来る。
箕輪の髪がふわっと揺れている。
―――――太陽に照らされた校舎。
俺は制服姿で教室で自席に座っている。ネームプレートには飯島と書かれている。
斜め向かいには高校の制服を着た箕輪。
俺は箕輪を見つめている。
「楓!行くよ!」
箕輪はクラスメートに呼ばれどこかに行ってしまった。
俺はいつも通り机から小説を取り出し、小説の続きを読み始める。
ふと外に目をやると、運動着に着替えた箕輪がグラウンドに友達と居た。
部活の100m走の練習?それともリレーの練習かな?
箕輪は颯爽に駆けていた。
清々しい。
あんなにも早いのか。
俺は小説に目を戻し読み進める。
しばらくすると、箕輪が制服姿で帰って来た。
「早かったね」と喉元まで出かけるが俺と箕輪は話す中ではない。
箕輪と目が合い、お互いに目を逸らす。
かたや陸上部のエース選手。かたや文学部小説家志望。
どう考えても交わることはないだろう。
見ているだけで本望だ。
―――――喫茶店の控室。
長い黒髪を揺らしながらロッカーを閉め、女子高生の箕輪楓がこちらにやって来る。
「店長、シフト書きました」
箕輪は小さな手紙を渡す。
手紙には「月・水・木・金・土・日出れます。あと、火曜日の店長の誕生日は一緒にお祝いさせてもらえませんか?」と書いてある。
「火曜日祝ってくれるのか?」
「だって!店長の誕生日ですから」
箕輪の頬が赤く染まる。
人生はどこで交わるのかわからない。
人生って不思議。




