第5話 初めてのチート戦闘!?
街の見学もそろそろ終わり、俺とミリアは帰り道を歩いていた。
人混みを抜けて、ちょっと寂れた路地を通り抜けた、そのときだった。
「へへ……いいモン持ってんじゃねえか、坊主ども」
――出た。テンプレその一。ならず者。
薄汚れた服を着た三人組の男が、俺たちの行く手をふさいだ。
「か、カイル……」
ミリアが俺の腕をぎゅっと握る。
護衛もいない俺たち子供にとって、これはピンチ……のはずだった。
(いやいやいや……俺、無限魔力チート持ちだぞ? ここはむしろ初実戦チャンスだろ!)
---
「おい坊主、持ってる金置いてけ」
「お金なんか持ってないよ!」
俺はそう返しながら、内心では魔力を練っていた。
詠唱はいらない。イメージすれば即発動。
だが……。
(やべ、何出すか決めてなかった!)
焦った結果、俺の手から飛び出したのは――。
「にゃああああ!!」
――火の玉……じゃなくて、炎に包まれたネコだった。
「な、なにィ!?」
「猫ォ!? 燃えてる!? ……いや燃えてねぇ!!」
男たちはパニック、ミリアは目を丸くする。
「カイル……なんでネコ……?」
「わ、わかんねぇ! イメージが暴走した!」
だがそのネコ、なぜか男たちに襲いかかり――。
「ぎゃああああ!! 爪が熱い!!」
「服が焦げるぅぅぅ!!」
数十秒後。
ならず者たちは黒コゲになって地面に転がっていた。
---
「……カイル」
「は、はい」
「すっごい強いけど……すっごい間抜け」
「う、うるさい!」
俺は顔を真っ赤にしながら叫ぶ。
でも――。
初めて人相手に魔法を使ってみてわかった。
俺のチート、戦闘にもバッチリ使える。
(……これ、俺、マジで最強かもしれない)
そう思った瞬間――。
「さすが神童カイル様ですね」
背後から涼やかな声が響いた。
振り返ると、そこに立っていたのは……リリアーナ令嬢だった。
「また会ったわね」
彼女は優雅に微笑む。
ミリアは俺の腕をさらに強くつかんで、ものすごいジト目を向けていた。
(……おいおい。俺、完全にラブコメ修羅場コースに乗ってないか?)
こうして俺の異世界ライフは、戦闘チートと恋愛フラグで、ますます平和から遠ざかっていくのだった。
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「今後どうなるの!!」
と思ったら
下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。
面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!
ブックマークもいただけると本当にうれしいです。
何卒よろしくお願いいたします。