第4話 ツンデレ令嬢と神童
ギルドで魔法を披露したその日。
俺は「神童」と呼ばれ、冒険者や街の人たちにやたらと注目される羽目になった。
……目立たず平和に暮らしたいのに、どんどん逆の方向に行ってる気がする。
「ほら見てカイル! あのお店、すっごく美味しそうだよ!」
「いや、俺の話聞けよ!? 俺もうギルドで顔覚えられちゃったんだぞ!?」
楽しそうにはしゃぐミリアを横目に、俺は人混みの中でため息をつく。
と、そのとき――。
「……そこの子。あなた、さっきギルドで魔法を使っていたわね?」
すっと前に現れたのは、長い金髪を結い上げた美しい少女だった。
年は俺たちと同じくらい。でも服装は明らかに庶民じゃない。
上等なドレスに、護衛らしき騎士を従えている。
(おお……漫画とかでよく見る“貴族令嬢”ってやつだ……!)
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「え、えっと……」
俺が返事に困っていると、少女はふっと微笑む。
「名乗りが遅れたわね。私はリリアーナ・フォン・グランツ。グランツ伯爵家の娘よ」
「は、はぁ……」
(お嬢様オーラすげぇ……!)
「先ほどの魔法……無詠唱だったわね?」
「え? あ、まあ……」
「無詠唱魔法は高位の魔導士でも難しい技術。あなた、いったい何者なの?」
鋭い視線で問いかけられ、俺は思わずたじろぐ。
(やば……下手なこと言ったら、絶対めんどくさいことになる!)
「え、えーと……ただの村の子供です」
「ふふ……隠すのね。でも、あなたは嘘が下手よ」
リリアーナは意味深に笑う。
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「ちょ、ちょっと! カイルはただのカイルなの! 勝手に巻き込まないで!」
ミリアが俺の前に立ちふさがった。
まるで庶民ヒロインVS貴族ヒロインの構図である。
(え、これ……完全にラブコメ三角関係の始まりじゃん!?)
「まぁいいわ。カイル……いえ、“神童カイル”。また会いましょう」
リリアーナは優雅にドレスの裾を翻し、護衛を連れて去っていった。
残された俺とミリア。
ミリアは頬をぷくっとふくらませ、むすっと俺をにらむ。
「な、なに?」
「……ああいう女の子に、簡単に名前呼ばれて嬉しそうな顔しないでよね」
「し、してないって!」
(してたかもしれないけど!)
俺は心の中で全力でツッコんだ。
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こうして俺は、幼なじみに保護されつつ、ツンデレ令嬢にも目をつけられるという、ますます平和から遠ざかった立場に追い込まれていったのだった。
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