第3話 初めての街と“神童”扱い
俺、カイル。現在十歳。
――村一番の“問題児”から、“神童(?)”に格上げされた……らしい。
まあ実際、魔法は大人顔負けだ。無限魔力&無詠唱っていうバグ性能のおかげで、魔法の基礎ならほとんど使える。
ただし、制御は相変わらずガバガバ。ちょっと緊張すると爆発オチ。
そんな俺に、ついに転機が訪れた。
「カイル。十歳になったことだし、一度、街で冒険者ギルドを見学してみなさい」
父さんの一言で、俺は人生初の“街デビュー”を果たすことになったのだ。
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「わー! すごいすごい! カイル、あれ見て! 馬車だよ馬車!」
隣では、もちろんミリアがはしゃいでいる。
俺と同じく十歳。今ではすっかり“相棒”ポジションになっていた。
……ただ、保護者感は相変わらず。
「こら! よそ見して歩かない! ほら、人にぶつかるでしょ!」
「いや、それ俺のセリフだからな!?」
街は思った以上に活気があった。露店が並び、商人が叫び、子供たちが走り回っている。
村とは全然違う、賑やかな空気に俺の胸も躍る。
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そして――冒険者ギルド。
「わー……すごい人だね……」
石造りの建物に入ると、筋肉ムキムキのおっさんや、武器を背負った女戦士たちが談笑していた。
俺はその雰囲気に少し圧倒される。
(これが……冒険者の世界か。いいな、カッコいいな)
そんなとき。
「おい、坊主。ガキが何の用だ?」
大剣を担いだ冒険者のおっさんが声をかけてきた。
どうやら、完全に“子供の冷やかし”だと思われているらしい。
「い、いや、俺はただ――」
「カイル、魔法見せてあげなよ!」
……ミリア、余計なことを言うな!?
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「へぇ、魔法? ガキができるわけねぇだろ」
周囲の冒険者も笑っている。
くっ……ここで逃げたらカッコ悪い。
「じゃあ……見せてやるよ」
俺は手をかざし、指先に小さな火の玉を浮かべた。
ギルド中が一瞬で静まり返る。
「お……おい……無詠唱だぞ……」
「しかも……あの火力、普通じゃねえ……」
冒険者たちの目がギラギラ光り、次の瞬間には――
「坊主! 弟子にしてくれ!」
「いや俺を! 俺を弟子に!」
「お前は将来すげぇ魔導士になるぞ!」
ギルド中が大騒ぎになった。
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「ちょ、ちょっと!? カイルはまだ十歳なんだから!」
ミリアが俺の腕にしがみつき、必死にかばう。
その姿は、どう見ても“恋人を守るヒロイン”にしか見えなかった。
(あれ……? なんか今のシチュエーション、ラブコメっぽくね?)
俺は心の中で妙に意識しつつ、冒険者たちに囲まれるのを必死にかわした。
――こうして俺は、街デビュー早々「神童」と呼ばれ、妙な注目を浴びることになったのだった。
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