第2話 幼なじみは保護者ポジ
俺はカイル、五歳。
――無限魔力と無詠唱魔法を持つ、異世界転生者である。
が、そんな大層な肩書きとは裏腹に、村じゃただの“問題児”扱いだ。
だって、魔法の制御がまだできないんだもん。
「カイルー! また畑を吹き飛ばしたでしょー!」
幼なじみの少女――ミリアが腰に手を当てて俺をにらんでいる。
明るい茶色の髪を三つ編みにして、いつも元気いっぱいな女の子。
俺と同い年なのに、なぜか完全に保護者目線で俺を叱ってくるのだ。
「いや、違うんだよ! 俺、ただあくびしただけで……」
「そしたら火の玉が出たの!? あんた、畑のニンジン返しなさいよ!」
「ニンジンは返せないだろ!? もう炭だよ!!」
くっ……魔力が無限ってだけで、なんでこんな生活苦を背負わなきゃいけないんだ。
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でもまあ、村の大人たちは俺を追い出すわけじゃない。
父さんは苦笑しながら木こりの仕事に戻り、母さんは「元気でいいわねぇ」なんて言ってる。
――つまり、みんな俺に慣れきっている。
「カイル、魔法は便利だけど、制御できないと大変なことになるわよ」
「わかってるけどさぁ……どうやって練習すればいいんだよ」
ミリアは呆れ顔でため息をつき、俺の手をぐいっと引っ張った。
「村の外の丘でやればいいじゃない。ほら、あそこなら畑も家もないし」
「おお……ミリア、意外と有能」
「意外とって何よ!?」
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そんなわけで、俺とミリアは村の外れの丘に来た。
見渡す限りの草原に風が吹き抜け、遠くに森と山が見える。
……絵に描いたようなファンタジー世界。
「よーし、じゃあ魔法練習!」
「本当に大丈夫? また爆発したら――」
「いや、今度は慎重にやるから!」
俺は深呼吸して、手のひらに集中する。
イメージするのは、手のひらサイズの火の玉。
(落ち着け、俺。小さく、控えめに……)
――ぼふん!
次の瞬間、サッカーボール大の火の玉が爆誕した。
「ちょ、ちょっと!? それ小さいの!?」
「ちょっと暴走しただけだって!」
必死に火の玉を消そうとする俺。だが――。
火の玉はどんどんでかくなり、最終的に――
――ドカァァァン!!
丘の上で盛大に爆発した。
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数分後。
丘に転がる俺とミリア。髪はボサボサ、顔は煤だらけ。
「はぁ……はぁ……カイル。あんたって本当に……」
「……ごめん」
「でも、なんでか知らないけど……ちょっと面白いわね」
ミリアは苦笑しながら俺の顔を覗き込んで笑った。
なんだか胸がドキッとする。
(……やばい。これ、ラブコメの始まりってやつじゃ……?)
こうして俺は、無限魔力を持つ問題児として、幼なじみの保護者(?)に監視されながら成長していくのだった。
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