第1話 神童?それとも災害児?
――俺の名前は藤堂ユウマ。日本のどこにでもいる平凡な高校生だった。
……そう、“だった”のだ。
春の午後、友達と帰っている途中に、でっかいトラックが信号無視して突っ込んできて。
ド派手に吹っ飛ばされて、気づけば空を見上げていた。
(あー、これ……俺、死んだな)
痛みとかは不思議とない。代わりに、頭の中に声が響いた。
≪汝に新たな生を与えよう。無限の魔力と、詠唱を超えし力を≫
(え? 何その中二っぽい特典。いや、俺死ぬんだよね? これ)
ツッコミを入れる暇もなく、意識は闇に沈んだ。
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……次に目を覚ましたとき。
俺は――赤ん坊だった。
「おぎゃああああ!」
(ぎゃあああ! マジで!? 俺の声ちっさ!!)
どうやらどこかの農村らしき家で、若い夫婦に抱かれているらしい。
母さんらしき女性は俺を抱いて微笑み、こう言った。
「カイル……今日からあなたは、私たちの宝物よ」
(……あ、名前決まった。俺、カイルか。よろしく異世界ライフ)
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そして数日後。
俺は自分の“特典”に気づいた。
なんかね、泣こうとすると火の玉が出るんだよ。
「ひっ!? か、火が……! 水! 水を持ってきて!」
「村長! 赤ん坊が燃えてる!」
(いやいや燃えてねぇから! 火の玉がポンって出ただけだから!!)
俺が泣くたびに火が出たり、水が溢れたり、風が吹き荒れたり。
父さんは必死で火を消すし、母さんは俺を必死に抱きしめる。
「この子は……神に選ばれたのだろうか……」
「いや、災害じゃないか……?」
(ちょっと待て!? 俺、生後三ヶ月で“災害児”扱いとか、異世界ハードすぎるだろ!!)
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そんな感じで、俺の異世界生活はドタバタのスタートを切った。
ただ、確かに“魔力が無限”っていうのは本当らしい。
赤ん坊のくせに、泣けば火が出るし、笑えば氷が出る。
(おいおい……これ、使いこなせたら最強じゃね?)
まあ、平和に生きたいんだけどな。
でも、どう見ても“平和”から一番遠い存在になってる気がする。
――神童か、災害か。
俺の異世界転生ライフ、始まっちまった。
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