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第5話「没落令嬢、助手に立候補」

~新しい朝の始まり~


シルフィーの一件から一週間後。よろず解決事務所は、いつも通りの朝を迎えていた。


いや、正確には「いつも通り」ではなかった。なぜなら、今朝のミミは妙にそわそわしていたからだ。


『ゆうさん、きょうは、たいせつなひとがくる』


朝起きてすぐ、ミミが神妙な顔で告げた。青い瞳が、いつもより真剣な光を宿している。


「大切な人?」


『うん。とても、たいせつなであい』


ミミの予感は、これまで一度も外れたことがない。悠は身を引き締めた。


朝食の席で、その話をすると、皆も興味深そうな顔をした。


「ミミちゃんの予感なら、きっと当たるね」


ミリアが、ミミの頭を優しく撫でる。


「どんな人が来るのかしら」


イザベラも、いつもより入念に事務所の掃除を始めた。大切な来客となれば、きちんともてなさなければ。


リックは、特別にお茶菓子を用意することにした。マルタのパン屋で、少し高級なクッキーを買ってくる。


「みんな、張り切ってるな」


悠が苦笑すると、ミミが膝の上で鳴いた。


『だって、たいせつなひとだもん』


その「大切な人」が現れたのは、午後2時過ぎのことだった。


~エリザベートの来訪~


控えめなノックの音が、静かな午後の事務所に響いた。


悠が扉を開けると、そこには一人の若い女性が立っていた。


金色の髪を質素な髪飾りでまとめ、上品だが明らかに何度も仕立て直した形跡のあるドレスを着ている。背筋を真っ直ぐに伸ばした立ち姿は、良家の教育を受けた者特有のものだった。


しかし、その表情には不安の色が濃い。青い瞳は心配で曇り、白い手は小さく震えていた。


【エリザベート・フォン・ローゼンベルク】

【没落貴族の令嬢・レベル8】

【年齢:18歳】

【特技:錬金術(初級)】

【現在の心情:必死に平静を装っているが、内心は不安でいっぱい】

【特記:父の形見の懐中時計を紛失】


悠の「真実の瞳」が、来訪者の情報を映し出した。


「あの……探偵さん、でしょうか?」


声も、わずかに震えている。きっと、勇気を振り絞って訪ねてきたのだろう。


「はい、霧島悠です。どうぞ、中へ」


悠は優しく微笑み、彼女を応接スペースへ案内した。


エリザベートは、部屋に入ると少し驚いたような表情を見せた。


「思っていたより……温かい雰囲気なんですね」


確かに、「探偵事務所」と聞けば、もっと殺風景で事務的な場所を想像するかもしれない。しかし、ここは違う。


リックとミリアの笑い声が聞こえ、イザベラが優雅にお茶を用意し、ミミが好奇心いっぱいに新しい来客を観察している。まるで、大きな家族のような雰囲気だった。


「お茶をどうぞ」


イザベラが、ティーカップを差し出した。元貴族らしい優雅な仕草に、エリザベートは少し目を見張った。


「ありがとうございます」


エリザベートは、カップを受け取ると、ほっとしたような表情を浮かべた。温かいお茶が、緊張をほぐしてくれたようだ。


『このひと、かなしい』


ミミが、悠にだけ聞こえるように念話を送ってきた。


『でも、つよい。がんばってる』


ミミの観察は、いつも的確だった。


「それで、どのようなご用件でしょうか?」


悠が優しく尋ねると、エリザベートは深呼吸をして話し始めた。


~失われた形見~


「私、エリザベート・フォン・ローゼンベルクと申します」


改めて名乗ったエリザベートの声には、かつての誇りと現在の苦境が入り混じっていた。


「実は……父の形見の懐中時計が盗まれてしまって……」


そう言って、彼女は震える手で小さなハンカチを取り出した。涙を堪えているのが分かる。


「お父様は?」


「3年前に……病で亡くなりました」


エリザベートの声が、さらに小さくなった。


悠の能力が、より詳細な情報を捉えていく。


【ローゼンベルク家の没落】

【原因:父の死後、親戚に財産を騙し取られる】

【現状:母と二人、小さな借家で生活】

【エリザベートの仕事:薬草店での調合助手】

【月収:銀貨30枚(ギリギリの生活)】


「懐中時計は、父が私に残してくれた唯一の形見なんです」


エリザベートは、ハンカチで目元を押さえた。


「父は言っていました。『これは、ローゼンベルク家の誇りだ。どんなに苦しくても、これだけは手放すな』と」


その言葉の重みが、悠には理解できた。形見とは、単なる物ではない。故人との思い出、愛情、そして生きる支えそのものだ。


「いつ、なくなったことに気づきましたか?」


「昨日の朝です。いつも枕元に置いているのに……」


エリザベートは、その時の状況を詳しく説明した。


薬草店で働いているため、朝は早い。昨日も、いつも通り5時に起きた。しかし、枕元にあるはずの懐中時計がなかった。


「最初は、寝ぼけて別の場所に置いたのかと思いました。でも、家中探してもない……」


小さな借家だ。隠れる場所などほとんどない。


「お母様は?」


「母は……最近、体調を崩していて。このことは、まだ話していません」


エリザベートの表情が、さらに曇った。


「心配をかけたくなくて……でも、一人では探しきれなくて……」


だから、勇気を出して探偵事務所を訪ねてきたのだ。


『かわいそう』


ミミが、エリザベートの膝に前足をちょんと乗せた。慰めているつもりらしい。


「まあ、可愛い猫ちゃん」


エリザベートが、初めて小さな笑みを浮かべた。


「この子は、ミミです。うちの大切な仲間です」


『よろしく!』


ミミの念話は、悠を通じてエリザベートにも伝わった。


「え? 今、声が……」


「ミミは特別な猫なんです。でも、悪い子じゃありません」


エリザベートは、驚きながらもミミの頭を優しく撫でた。


「不思議……でも、温かい」


~現場検証~


「エリザベートさん、よければお宅を見せていただけますか?」


「え、でも……みすぼらしい家で」


エリザベートが躊躇する。没落貴族の現実を見られることへの羞恥があるのだろう。


「気にしないでください。大切なのは、懐中時計を見つけることです」


悠の言葉に、エリザベートは頷いた。


「リック、ミミ、一緒に来てくれ」


「はい!」


リックが元気よく返事をする。


事務所を出て、エリザベートの案内で街を歩く。次第に、建物は質素になり、道も狭くなっていく。


貴族街から庶民街へ、そしてその外れへ。ローゼンベルク家の転落の軌跡を辿るような道のりだった。


「ここです」


エリザベートが立ち止まったのは、本当に小さな家の前だった。


二階建てだが、各階は一部屋ずつしかない。壁には所々ひびが入り、屋根瓦も一部欠けている。かつて豪邸に住んでいた貴族の住まいとしては、あまりにも……。


「どうぞ」


エリザベートが、鍵を開けた。軋む音を立てて、扉が開く。


中は、意外なほど清潔に保たれていた。


家具は最小限。古いテーブルと椅子、小さな本棚。しかし、どれも丁寧に磨かれている。貧しくとも、誇りを失っていない証拠だった。


「母は、二階で休んでいます」


エリザベートが、心配そうに天井を見上げた。


悠は、一階の部屋を観察し始めた。「真実の瞳」が、様々な情報を拾っていく。


【部屋の状況】

【侵入の形跡:なし】

【窓の鍵:全て施錠】

【不審な点:特になし】


「ミミ、何か分かるか?」


ミミは、部屋中を嗅ぎ回った。小さな鼻をひくひくさせながら、丁寧に調べていく。


『へんだな』


「変?」


『ここには、エリザベートとおかあさんのにおいしかない』


つまり、他人が侵入した形跡はない。


「でも、それじゃあ……」


リックが首を傾げる。


悠は、エリザベートの寝室を見せてもらった。


本当に狭い部屋だった。ベッドと小さな机だけで、ほぼいっぱい。しかし、ここも整然としている。


枕元を確認する。確かに、ここに懐中時計を置く習慣があったようだ。


『あれ?』


ミミが、ベッドの下に潜り込んだ。


『なにかある』


ミミが引きずり出してきたのは……


「あ!」


エリザベートが声を上げた。


それは、探していた懐中時計だった。少し埃をかぶっているが、間違いない。


「でも、どうして……」


エリザベートは、信じられないという表情で懐中時計を手に取った。


悠は、ベッドの位置と懐中時計が見つかった場所を確認した。そして、ある可能性に思い至った。


「エリザベートさん、最近、寝相が悪くなったりしていませんか?」


「え?」


「あるいは、悪い夢を見たり」


エリザベートは、はっとした表情を見せた。


「そういえば……最近、父の夢をよく見ます。父が、何か言いたそうにしている夢を」


なるほど、と悠は頷いた。


~真相~


「恐らく、寝ている間に無意識に懐中時計を触って、ベッドから落としてしまったんでしょう」


悠の推理に、エリザベートは考え込んだ。


「でも、なぜ今まで気づかなかったんでしょう?」


「ベッドの下は、普段見ない場所ですから。それに……」


悠は、優しく続けた。


「エリザベートさんは、最近、心身ともに疲れているようです。注意力が散漫になっても仕方ありません」


その言葉に、エリザベートの目に涙が浮かんだ。


「本当に……私、どうかしていました。父の形見をなくすなんて」


「なくしたわけじゃありません。ちゃんと、ここにあった」


悠は、エリザベートの手にある懐中時計を指差した。


「それに、お父様の夢を見るということは、お父様を大切に思っている証拠です」


エリザベートは、懐中時計を胸に抱きしめた。


「父は……きっと、心配しているんでしょうね。こんな生活をしている私たちを」


銀色の懐中時計。蓋を開けると、優しそうな男性の肖像画が入っている。


「立派なお父様だったんですね」


「はい……学者で、とても優しい人でした」


エリザベートの声に、深い愛情と喪失感が滲んでいた。


『エリザベート、がんばってる』


ミミが、エリザベートの足元に寄り添った。


『おとうさんも、きっとそうおもってる』


ミミの言葉に、エリザベートは涙をこぼした。しかし、それは悲しみだけでなく、安堵の涙でもあった。


~予想外の展開~


懐中時計が見つかり、一件落着かと思われた。しかし、エリザベートは帰ろうとしなかった。


「あの……少し、お話ししてもいいですか?」


「もちろんです」


三人(二人と一匹)は、エリザベートの家の小さなテーブルを囲んだ。


エリザベートが、震える手でお茶を淹れてくれた。安い茶葉だが、心がこもっている。


「実は……ずっと迷っていたんです」


エリザベートが、ぽつりと話し始めた。


「父が亡くなって、財産を失って……私たちは、ただ生きるだけで精一杯でした」


薬草店での仕事は、朝から晩まで。それでも、収入はわずか。母の薬代を払えば、ほとんど残らない。


「でも、今日……」


エリザベートは、悠を真っ直ぐ見つめた。


「霧島さんの推理を見て、感動しました。ただ物を探すだけでなく、人の心まで見抜いて、優しく包んでくれる」


その瞳に、強い決意が宿っていた。


「私も、誰かの役に立ちたい。困っている人を助けたい」


そして、エリザベートは深呼吸をして言った。


「もし、よろしければ……私を、助手として雇っていただけませんか?」


~突然の申し出~


悠は、突然の申し出に驚いた。


リックも目を丸くしている。ミミだけは、なぜか満足そうな表情をしていた。


「助手、ですか?」


「はい。給料は……正直、今の仕事より少なくても構いません。ただ、霧島さんの下で働きたいんです」


エリザベートの真剣な眼差しに、嘘はない。しかし……


「でも、今の仕事は?」


「実は……」


エリザベートは、苦笑した。


「来月で、クビになることが決まっているんです」


「え?」


「店主の甥が働くことになって……私は、もう必要ないと」


なんという理不尽。しかし、この世界では珍しくないことだ。コネと身分がものを言う社会。


「だから、どうせなら……」


エリザベートは、懐中時計を見つめた。


「父が生きていたら、きっと応援してくれると思うんです。人の役に立つ仕事をすることを」


悠は、エリザベートの能力を改めて確認した。


【特技:錬金術(初級)】

【知識:薬草学、貴族の礼儀作法】

【性格:真面目、責任感が強い、優しい】


確かに、事務所にとって有益な人材だ。薬草の知識は、悠の能力を補完できる。貴族の作法は、上流階級の依頼に対応する際に役立つ。


何より、彼女の真摯な人柄がいい。


「リック、どう思う?」


「僕は賛成です!」


リックは即答した。


「エリザベートさんなら、きっといい仲間になります」


『わたしも、さんせい!』


ミミも、尻尾を振って同意を示した。


『エリザベート、いいにおいがする。やさしいにおい』


悠は、少し考えてから口を開いた。


「分かりました。でも、条件があります」


「はい、何でも」


「まず、給料は最低でも銀貨25枚。これ以下では、お母様の薬代が払えないでしょう」


エリザベートは、その配慮に驚いた。


「でも、それでは……」


「それから、勤務時間は相談して決めましょう。お母様の看病もありますから」


「霧島さん……」


「最後に、これが一番大切なことですが」


悠は、真剣な表情でエリザベートを見つめた。


「うちは『よろず解決事務所』です。時には危険なこともあるし、変わった依頼も来ます。それでも、大丈夫ですか?」


エリザベートは、迷いなく頷いた。


「はい。覚悟はできています」


「では、ようこそ。よろず解決事務所へ」


悠が手を差し出すと、エリザベートは涙を浮かべながら、その手を握った。


「ありがとうございます! 一生懸命働きます!」


~新しい仲間~


その日の夕方、エリザベートを連れて事務所に戻ると、イザベラとミリアが驚きの声を上げた。


「新しい仲間?」


「わぁ、お姉さん、綺麗!」


ミリアの無邪気な褒め言葉に、エリザベートは照れたように微笑んだ。


「エリザベート・フォン・ローゼンベルクです。今日から、お世話になります」


「まあ、ローゼンベルク家の」


イザベラが、少し驚いた様子を見せた。同じ没落貴族として、その名前は知っているらしい。


「はい。でも、今はただのエリザベートです」


「私も、元はランカスター伯爵家のイザベラでした。今は、ただのイザベラです」


二人は、理解し合うような眼差しを交わした。同じ境遇を経験した者同士の、言葉にならない共感があった。


「じゃあ、歓迎会をしなきゃ!」


リックが張り切って言う。


「ささやかだけど、皆で夕食を」


その夜、事務所は小さな歓迎会で賑わった。


マルタから差し入れてもらったパン、リックが作った野菜スープ、イザベラが用意したサラダ。質素だが、心のこもった食事。


「美味しい……」


エリザベートが、スープを飲んで呟いた。


「こんなに温かい食事は、久しぶりです」


その言葉に、皆の表情が優しくなった。


「これから毎日、一緒に食べましょう」


イザベラの提案に、エリザベートは嬉しそうに頷いた。


食事の後、悠は事務所の仕事について説明した。


依頼の受付、調査の手順、報告書の作成。エリザベートは、真剣にメモを取りながら聞いていた。


「質問があれば、何でも聞いてください」


「あの……一つ、いいですか?」


「どうぞ」


「ミミちゃんは、本当に竜なんですか?」


皆が、ミミを見た。ミミは、ちょっと得意げに胸を張った。


『そうだよ! こだいりゅうの、まつえい!』


「すごい……」


エリザベートの目が、子供のように輝いた。


「錬金術の文献で読んだことがあります。古代竜は、最も高貴で強大な存在だと」


『えへへ、それほどでも』


ミミが照れる。その様子に、皆が笑った。


~三人の生活~


エリザベートが加わってから、事務所の雰囲気は少しずつ変わっていった。


まず、彼女の薬草の知識が、大いに役立った。


「これは、エナジーハーブですね。疲労回復に効果があります」


エリザベートが、薬草を調合する。その手つきは、初級とは思えないほど熟練している。


「霧島さん、これを飲んでください。真実の瞳の負担を和らげるはずです」


実際、エリザベートの薬を飲むようになってから、悠の頭痛はかなり軽減された。


また、彼女の貴族としての教養も、予想以上に役立った。


「この紋章は、北方のウィンディア公爵家のものですね」


ある日届いた手紙を見て、エリザベートが言った。


「公爵家?」


「はい。かなり格式の高い家です。恐らく、重要な依頼かと」


その通り、手紙は公爵家からの極秘調査の依頼だった。エリザベートがいなければ、その重要性に気づかなかったかもしれない。


そして何より、彼女の優しく穏やかな性格が、事務所に新しい風を吹き込んだ。


「ミミちゃん、毛並みが綺麗ね」


エリザベートは、暇を見つけてはミミをブラッシングしていた。


『きもちいい~』


ミミは、すっかりエリザベートに懐いていた。


リックも、エリザベートを姉のように慕った。


「エリザベートさん、これ、どう読むんですか?」


「これは古代文字ね。こう読むのよ」


エリザベートは、優しくリックに勉強を教えた。彼女の教え方は分かりやすく、リックの読み書き能力は急速に向上していった。


~母との出会い~


エリザベートが働き始めて一週間後、悠は彼女の母親に挨拶に行くことにした。


「本当に、いいんですか?」


エリザベートは恐縮していたが、悠は雇い主として当然のことだと考えていた。


小さな借家の二階。階段を上る音に、中から弱々しい声がした。


「エリザベート?」


「はい、お母様。お客様をお連れしました」


部屋に入ると、ベッドに横たわる初老の女性がいた。


【マーガレット・フォン・ローゼンベルク】

【元伯爵夫人・レベル15】

【健康状態:心労による衰弱】

【性格:誇り高いが優しい】


やつれてはいるが、気品のある顔立ち。エリザベートは、母親に良く似ていた。


「お母様、こちらが霧島様。私を雇ってくださった方です」


「まあ……」


マーガレットは、力を振り絞って上体を起こそうとした。


「どうぞ、そのままで」


悠は慌てて止めた。


「娘が、お世話になります」


マーガレットの声は弱々しいが、感謝の気持ちがこもっていた。


「いえ、エリザベートさんには、大変助けられています」


悠は、エリザベートの仕事ぶりを説明した。薬草の知識、貴族の教養、そして何より彼女の人柄が、事務所にとって貴重だということを。


話を聞きながら、マーガレットの目に涙が浮かんだ。


「エリザベートは、本当に良い子です。でも、私のせいで苦労ばかりかけて……」


「お母様、そんな」


エリザベートが、母の手を握った。


「私は、お母様と一緒にいられて幸せです」


親子の絆を見て、悠は胸が熱くなった。


そして、あることを決意した。


「マーガレット様、もしよろしければ、うちの顧問医に診ていただくのはどうでしょう?」


「顧問医?」


実は、悠には心当たりがあった。以前ミリアを診てくれた薬草売りの老婆、メアリーだ。


「薬草のことなら、あの人が一番詳しい。きっと、良い薬を調合してくれるはずです」


マーガレットは、遠慮がちに首を振った。


「でも、お金が……」


「エリザベートさんの給料から天引きということで。もちろん、無理のない金額で」


その提案に、エリザベート母子は感激した。


「霧島様……なんとお礼を言ったらいいか……」


「お礼なら、エリザベートさんの仕事ぶりで十分いただいています」


悠の言葉は、本心だった。


~新たな依頼~


事務所に戻ると、新しい依頼が舞い込んでいた。


「商人ギルドからの依頼です」


イザベラが、書状を手渡した。


内容は、最近頻発している商品のすり替え事件の調査。高級品が粗悪品にすり替えられ、被害額は相当なものになっているという。


「これは大きな案件ね」


エリザベートが、真剣な表情で書状を読む。


「商人ギルドが動くということは、かなり深刻な事態ですね」


エリザベートの指摘は的確だった。商人ギルドは、個々の商人では手に負えない問題に対処する時だけ動く。


「報酬も、金貨100枚」


リックが目を丸くした。


「そんなに!?」


「その分、危険も大きいということだ」


悠は慎重に書状を読み返した。


『ゆうさん、だいじょうぶ?』


ミミが心配そうに見上げる。


「ああ。でも、皆で力を合わせて慎重に進めよう」


「私も、お役に立てるよう頑張ります」


エリザベートが、決意を新たにした。まだ助手になって一週間だが、既に重要な戦力となっている。


「じゃあ、まずは情報収集から始めよう」


悠の言葉に、皆が頷いた。


よろず解決事務所の新しい体制での、初めての大きな依頼。それは、エリザベートにとっても大きな試練となるだろう。


しかし、彼女の瞳に恐れはない。むしろ、人の役に立てることへの喜びが輝いていた。


~夜の準備~


その夜、エリザベートは事務所に残って、明日からの調査の準備をしていた。


商人ギルドの資料を読み込み、被害状況を整理し、調査ルートを検討する。その真剣な横顔を、悠は感心しながら見ていた。


「無理はしないでください」


「大丈夫です。これくらい、薬草店での仕事に比べれば」


エリザベートは微笑んだ。


「それに、楽しいんです。誰かの役に立てることが」


その言葉に、悠は自分が異世界に来た当初を思い出した。


過労死寸前まで働いて、何のために生きているか分からなくなっていた日々。それが今では、仲間と共に人助けをする充実した毎日。


エリザベートも、きっと同じような思いなのだろう。


「エリザベートさん」


「はい?」


「うちに来てくれて、ありがとう」


突然の感謝の言葉に、エリザベートは驚いた。


「こちらこそ、雇っていただいて……」


「いや、そうじゃなくて」


悠は、うまく言葉にできない思いを伝えようとした。


「エリザベートさんが来てから、事務所がより温かくなった気がするんです」


「そんな……私は、まだ何も」


「薬を作ってくれて、リックに勉強を教えてくれて、ミミの世話をしてくれて。それだけで、十分すぎるくらいです」


エリザベートの頬が、ほんのり赤くなった。


「私の方こそ……」


彼女は、懐中時計を取り出した。


「父の形見を見つけていただいて、仕事まで与えていただいて。それに、皆さんがとても優しくて」


エリザベートの目が潤んだ。


「没落してから、初めて……人として扱ってもらえた気がします」


その言葉が、悠の胸を打った。


この世界の身分制度の厳しさ。没落貴族への世間の冷たさ。エリザベートは、どれほど辛い思いをしてきたのだろう。


「ここでは、身分なんて関係ありません」


悠は力を込めて言った。


「大切なのは、その人自身です。エリザベートさんは、素晴らしい人です。それだけで十分です」


エリザベートは、涙をこぼした。


「ありがとうございます……本当に……」


『エリザベート、なかないで』


いつの間にか起きていたミミが、エリザベートの膝に飛び乗った。


『みんな、エリザベートがだいすきだよ』


小さな慰めに、エリザベートは泣き笑いの表情を浮かべた。


「ミミちゃん……ありがとう」


~新しい朝へ~


翌朝、エリザベートは母の薬を取りに、メアリーの元を訪れた。


「おや、あんたがエリザベートちゃんかい」


メアリーは、優しい笑顔で迎えてくれた。


「母の薬、できていますか?」


「ああ、ばっちりさ」


メアリーが差し出した薬包みを受け取りながら、エリザベートは驚いた。


「こんなにたくさん……でも、お代が」


「悠さんから、もう貰ってるよ」


「え?」


「あの子ったら、『エリザベートさんには内緒で』なんて言ってね」


メアリーは、いたずらっぽく笑った。


「でも、あたしゃ、本当のことを言う主義でね」


エリザベートは、薬包みを抱きしめた。


悠は、自分の給料から天引きすると言っていた。しかし実際は、悠が全額負担していたのだ。


「いい人に出会えたね」


メアリーの言葉に、エリザベートは深く頷いた。


「はい……本当に」


事務所に戻ると、皆が朝食の準備をしていた。


「おはよう、エリザベート」


「今日から、大仕事だね!」


「一緒に頑張ろう」


温かい声に迎えられ、エリザベートは心から思った。


ここが、私の居場所。


「おはようございます、皆さん!」


元気な声で挨拶すると、ミミが嬉しそうに鳴いた。


『エリザベート、げんき!』


「うん、元気よ。ミミちゃんのおかげ」


新しい一日が始まる。


三人と一匹の、新しい冒険が。


~商人ギルドでの会議~


朝食後、一行は商人ギルドへ向かった。


エリザベートは、少し緊張した面持ちで歩いている。初めての大きな仕事。失敗したらどうしよう、という不安があるのだろう。


「大丈夫ですよ」


悠が優しく声をかけると、エリザベートは恥ずかしそうに微笑んだ。


「顔に出ていましたか?」


「少しね。でも、緊張するのは当然です」


『エリザベート、がんばって!』


ミミも、悠の肩から声援を送る。


商人ギルドは、商業区の中心にある立派な建物だった。


大理石の柱、金で装飾された扉、そして威圧的な守衛。ここが、王都の商業を取り仕切る中枢だ。


「よろず解決事務所の方々ですね」


受付で名乗ると、すぐに奥の会議室へ通された。


そこには、恰幅の良い商人たちが集まっていた。皆、高級な服を着て、指には宝石の指輪を光らせている。


「ようこそ、霧島殿」


ギルド長のバルトロメオが、重々しく挨拶した。


【バルトロメオ・商人ギルド長・レベル32】

【性格:狡猾だが公正】

【現在の心情:事件の深刻さに頭を悩ませている】


「早速ですが、状況を説明させていただきます」


バルトロメオの説明によると、被害は予想以上に深刻だった。


高級絹がくず糸に、上等なワインが安酒に、宝石が色付きガラスに。すり替えは巧妙で、開封するまで分からないという。


「被害総額は、既に金貨1000枚を超えています」


その金額に、リックが息を呑んだ。


「犯人の手がかりは?」


「それが、全くないのです」


バルトロメオは、悔しそうに首を振った。


「被害に遭った商人に共通点もなく、時期もバラバラ。まるで幽霊の仕業のようです」


その時、エリザベートが遠慮がちに手を挙げた。


「あの、一つ質問してもいいですか?」


「どうぞ」


「すり替えられた商品は、どこで発見されるんですか?」


「客に渡った後です。苦情が来て、初めて気づくのです」


「ということは……」


エリザベートは、考え込むような表情を見せた。


「犯人は、商品が客に渡るまでの間に、すり替えているということですね」


「その通りです」


エリザベートの観察力に、商人たちも感心した様子だった。


会議の後、悠たちは調査を開始することになった。


~エリザベートの推理~


ギルドを出て、悠たちは作戦会議を開いた。


「まず、どこから手をつけるべきか」


悠が皆に意見を求めると、エリザベートが控えめに口を開いた。


「私の考えですが……」


「遠慮なく言ってください」


悠に促され、エリザベートは自分の推理を述べ始めた。


「犯人は、商品の流通経路を熟知している人物だと思います」


「どうして?」


「だって、いつ、どこで商品をすり替えるか、正確に把握していないとできません」


確かに、その通りだった。


「それに、本物と偽物を用意する必要があります。これは、相当な準備が必要です」


エリザベートの分析は、論理的で的確だった。


「つまり、犯人は商人ギルドの内部、あるいは近い人物である可能性が高い」


その推理に、悠も頷いた。


「素晴らしい推理です。では、その線で調査しましょう」


エリザベートは、褒められて頬を赤らめた。


「いえ、当たり前のことを言っただけです」


「その当たり前のことに気づくのが、大切なんです」


『エリザベート、すごい!』


ミミも、尻尾を振って褒め称える。


リックも、尊敬の眼差しでエリザベートを見ていた。


「僕も、もっと勉強しなきゃ」


新しい仲間の活躍に、皆が刺激を受けていた。


~調査開始~


調査は、被害に遭った商人たちへの聞き取りから始まった。


エリザベートの貴族としての礼儀作法が、ここで大いに役立った。


「失礼いたします。よろず解決事務所のエリザベートと申します」


上品な物腰と言葉遣いに、商人たちも気を許す。


「ああ、ローゼンベルク家のお嬢様でしたか」


没落したとはいえ、貴族の名前にはまだ力があった。


商人たちは、エリザベートには素直に情報を提供した。悠だけでは聞き出せなかったであろう、細かい情報まで。


「実は、最近、倉庫の鍵を新しくしたんです」


「ほう、それはなぜ?」


「なんとなく、誰かに見られているような気がして」


こうした小さな情報を、エリザベートは丁寧にメモしていく。


一方、ミミは別の方法で調査していた。


『ねこたちに、きいてくる!』


ミミは、街の猫たちから情報を集めた。猫の情報網は、人間が思っている以上に広い。


『みなみのそうこで、よる、へんなひとをみたって』


「変な人?」


『くろいマントで、かおがみえなかったって』


少しずつ、パズルのピースが集まってきた。


~夜の張り込み~


情報を総合した結果、南倉庫街が怪しいということになった。


その夜、悠たちは倉庫街で張り込みをすることにした。


「エリザベートさんは、危険だから事務所で」


悠が言いかけると、エリザベートは首を振った。


「いいえ、私も行きます」


「でも」


「これも、仕事のうちです。それに……」


エリザベートは、懐中時計を握りしめた。


「父なら、きっと最後まで責任を持てと言うはずです」


その決意に、悠は頷いた。


「分かりました。でも、無理は禁物です」


夜の倉庫街は、不気味なほど静かだった。


月明かりが、建物の影を長く伸ばしている。時折、ネズミが走る音が聞こえるだけ。


一行は、物陰に身を潜めて待った。


1時間、2時間。何も起こらない。


リックが、あくびを噛み殺している。エリザベートも、少し疲れた様子だ。


その時、ミミが反応した。


『くる!』


果たして、黒いマントの人影が現れた。


人影は、周囲を警戒しながら、一つの倉庫に近づいていく。そして、鍵を開けて中に入った。


「行こう」


悠たちは、慎重に倉庫に近づいた。


中からは、かすかに物音が聞こえる。


扉の隙間から覗くと……


~意外な犯人~


倉庫の中では、黒マントの人物が商品の箱を開けていた。


そして、中身を別の物とすり替えている。手際が良く、明らかに慣れている。


「今だ」


悠の合図で、一行は倉庫に踏み込んだ。


「動くな!」


黒マントの人物は、驚いて振り返った。


そして、フードが落ちて素顔が露わになる。


「あなたは……」


エリザベートが、驚きの声を上げた。


そこにいたのは、若い女性だった。しかも、エリザベートが見覚えのある顔。


【ソフィア・元子爵令嬢・レベル12】

【年齢:20歳】

【現状:実家の没落により困窮】

【動機:病気の弟の治療費】


「ソフィア様……どうして」


エリザベートの問いかけに、ソフィアは泣き崩れた。


「エリザベート……ごめんなさい……でも、他に方法がなかったの」


話を聞くと、ソフィアの家も最近没落し、病気の弟の治療費が払えなくなったという。


「医者は、金貨50枚ないと薬を出さないって……」


追い詰められたソフィアは、昔の使用人に教わった倉庫の合鍵を使い、商品のすり替えを始めた。本物を売って、治療費に充てていたのだ。


「許されないことだとは分かっています。でも、弟を見殺しにはできなくて……」


ソフィアの涙に、エリザベートも目頭を押さえた。


同じ没落貴族として、その苦しみは痛いほど分かる。プライドと現実の狭間で、どれほど苦しんだことか。


しかし……


「でも、これは犯罪です」


悠の言葉は厳しかった。


「あなたのせいで、多くの商人が被害を受けました」


「分かっています……」


ソフィアは、観念したように頷いた。


「罰は受けます。でも、せめて弟だけは……」


~エリザベートの提案~


重い沈黙が流れる中、エリザベートが口を開いた。


「霧島さん、提案があります」


「なんですか?」


「ソフィア様を、商人ギルドに突き出す前に、別の解決方法を探してみませんか?」


悠は、エリザベートの真剣な眼差しを見つめた。


「どんな方法です?」


「まず、ソフィア様に全てを償ってもらいます。盗んだ商品の代金を、働いて返済する」


「でも、それだけでは」


「はい。だから、私からも提案があります」


エリザベートは、ソフィアに向き直った。


「ソフィア様、錬金術の心得はありますか?」


「え? 少しなら……」


「では、私と一緒に薬を作りませんか? 正当な方法で、弟さんの治療費を稼ぎましょう」


その提案に、ソフィアは目を見開いた。


「でも、私なんかが……」


「没落貴族でも、生きていく方法はあります」


エリザベートは、優しく微笑んだ。


「私が、証明です」


エリザベートの言葉に、悠も心を動かされた。


確かに、ただ罰するだけでは何も解決しない。ソフィアの弟は治療を受けられず、ソフィアは前科者となり、さらに追い詰められるだけだ。


「分かりました」


悠は決断した。


「エリザベートさんの提案を採用しましょう。ただし、条件があります」


悠は、ソフィアを真っ直ぐ見つめた。


「まず、盗んだ物は全て返却すること。そして、被害者全員に謝罪すること。その上で、償いのために働くこと」


「はい……はい! 何でもします!」


ソフィアは、必死に頷いた。


『やさしいかいけつ』


ミミが、満足そうに呟いた。


~新たな始まり~


翌日、ソフィアは悠たちと共に、被害者の元を回った。


土下座して謝罪し、返済を約束する。商人たちは当初怒っていたが、事情を聞くと表情を和らげた。


「弟さんの病気か……」


「うちにも、病気の家族がいるから分かるよ」


商人たちは、分割での返済を認めてくれた。


そして、エリザベートの紹介で、ソフィアは薬草店で働き始めることになった。


「給料は安いですが、真面目に働けば、弟さんの治療費くらいは稼げます」


「ありがとうございます……本当に……」


ソフィアは、エリザベートの手を握って泣いた。


商人ギルドには、事件の真相と解決策を報告した。


「なるほど、犯人を更生させる道を選んだか」


バルトロメオは、感心した様子で頷いた。


「これなら、被害も回復するし、犯人も立ち直れる。良い解決だ」


約束の報酬、金貨100枚が支払われた。


事務所に帰る道すがら、リックがエリザベートに言った。


「エリザベートさん、すごかったです」


「そんな……私は、ただ……」


「いいえ」


悠も、エリザベートを称賛した。


「エリザベートさんの優しさと、同じ境遇の者への理解があったからこそ、この解決ができました」


『エリザベート、やさしい!』


ミミも、エリザベートに飛びついた。


エリザベートは、照れながらも嬉しそうに微笑んだ。


「皆さんのおかげです。一人では、何もできませんでした」


~三人の絆~


その夜、事務所では祝賀会が開かれた。


初めての大型案件の成功。それも、誰も傷つけない形での解決。皆、心から喜んでいた。


「エリザベートさんに乾杯!」


リックの音頭で、皆がカップを掲げる。


「ありがとうございます。でも、まだまだ未熟で……」


「謙遜することないよ」


イザベラが、優しく言った。


「あなたの提案がなければ、ソフィアさんは破滅していたわ」


「本当に、良い解決でした」


悠も、心から思っていた。


エリザベートが加わってから、事務所の問題解決能力は確実に上がっている。彼女の知識、教養、そして何より優しい心が、新しい可能性を開いてくれた。


宴もたけなわの頃、エリザベートがぽつりと呟いた。


「父が生きていたら、きっと褒めてくれたかな」


その言葉に、皆が優しい眼差しを向けた。


「絶対に褒めてくれますよ」


悠の言葉に、エリザベートは涙ぐんだ。


「こんなに充実した日々は、父が亡くなってから初めてです」


懐中時計を胸に抱き、エリザベートは続けた。


「皆さんに出会えて、本当に良かった」


『わたしも、エリザベートにあえて、うれしい!』


ミミが、エリザベートの涙を舐めた。


「ミミちゃん、くすぐったい」


笑い声が、夜の事務所に響いた。


~未来への誓い~


宴の後、悠は一人、事務所の外に出た。


二つの月が、静かに夜空に浮かんでいる。


「良い夜だ」


「霧島さん」


振り返ると、エリザベートが立っていた。


「眠れないんですか?」


「いえ、ちょっと夜風に当たりたくて」


二人は、並んで月を見上げた。


「改めて、ありがとうございます」


エリザベートが、深々と頭を下げた。


「私を信じて、雇ってくださって」


「こちらこそ、来てくれてありがとう」


悠は、素直な気持ちを口にした。


「エリザベートさんがいなければ、今日の解決はありませんでした」


「そんな……」


「本当です。これからも、よろしくお願いします」


悠が手を差し出すと、エリザベートは微笑んで握手を交わした。


「はい。精一杯、頑張ります」


その時、窓からミミが顔を出した。


『なにしてるの? さむくない?』


「ミミちゃん」


『いっしょに、はいろう!』


ミミの無邪気な誘いに、二人は顔を見合わせて笑った。


「そうだね、入ろうか」


三人で事務所に戻る。


そこには、温かい仲間たちが待っていた。


エリザベート・フォン・ローゼンベルク。


没落貴族の令嬢は、新しい人生を歩み始めた。


誇りと優しさを胸に、仲間と共に。


よろず解決事務所の物語は、新しい章を迎えていた。

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