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幽霊オタクレベル99〜俺には効かないぜ幽霊さん?〜【累計10000PV達成!】  作者: 兎深みどり
第四章:心スポ探訪編

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第89話『最終封印・ノクス激怒!』

 儀式室の空気は、重く、冷たく、そして異様なまでに静かだった。


 闇の奥に潜んでいた“影”は、形を持たぬまま、空間全体に広がっていた。


「……オマエたちには、ここで終わってもらう」


 影が低く囁くと同時に、部屋の灯りがすべて消えた。


 影が、最初に標的にしたのは愛菜だった。


「えっ……!?」


 突然、ノクスが大きく毛を逆立てて唸り声を上げた。


「にゃああああああっ!!!(やめろぉおおおおおおお!!)」


 その声は、これまでのどんな鳴き声とも違った。


 明らかに怒りと、本能的な防衛意識に満ちていた。


 


「ノクスが怒ってる……こんなに怒ってるの、初めて……!」


 愛菜が驚きと恐怖の混じった声を上げた。


 


 闇の中から、無数の黒い手のような影が現れ、まっすぐ愛菜に向かって伸びてくる。


「愛菜、下がれ!」


 修がとっさに前へ出て、腕を広げた。


 


 だが、影は肉体をすり抜ける。


 直接、精神を蝕もうとするような悪寒が、全員を包んだ。


 


 影の声が再び響く。


「恐れろ……怯えろ……そうすれば、オマエたちの心に入り込める……」


 


 その時――ノクスが修の肩から飛び上がり、真っ黒な影の核に飛びかかった。


「にゃあああああっっ!!!(この野郎……愛菜に近づくなぁぁぁっっ!!)」


 


 ノクスの目が、真っ赤に光る。


 小さな身体から放たれた眩い閃光が、影の形を暴き出した。


 


「うわっ、影の形が……見える!」


 浜野先生が叫ぶ。


 


 巨大な人影が、歪んだ仮面のような顔でこちらを睨んでいた。


「これが……“封印されていた存在”の正体!?」


 結が身体を震わせながらも、正面を見据える。


 


 影は苦しそうに身をよじらせながらも、なおも囁きをやめなかった。


「この地に、再び“欲望”を――力を求めよ――」


「断る!!」


 修が一喝し、影の仮面へとまっすぐに走る。


 


 同時に、浜野先生が準備していた結界の札を空中にばら撒く。


「“封印陣、起動!”」


 床に浮かび上がる光の模様――それは日記にあった“模様”と同じものだった。


 


 影が雄叫びを上げる。


 ノクスがそれに吠えるように、さらに強く鳴いた。


「にゃあああああああっっ!!!(愛菜を狙った罪は重てぇぞ!!!)」


 


 封印の光が影を飲み込んでいく。


 仮面が砕け、影が細かい靄となって消えていく。


 


「やった……?」


 


 部屋が静寂を取り戻し、空気が澄んでいくのを感じた。


 ランプに火が灯り、部屋の壁にかかっていた一枚の写真が落ちる。


 


 拾い上げたのは結だった。


「……これ、例の従業員達の集合写真だ」


 中央には、あの“新庄ひとみ”の姿。


 その背後には……うっすらと、黒い影が写っていた。


「長い間……ずっと、ここにいたんだね……」


 愛菜がそっと呟いた。


 


 ノクスは疲れたように愛菜の腕の中に飛び込み、小さく「にゃ……」と鳴いた。


 


 影は消えた。


 呪いは、終わった――


 


 ――はずだった。


 


 しかし、誰もまだ気づいていない。


 あの、砕けた“仮面”の欠片が、一つだけ――


 地面に残されたままだという事を。


 次回予告


 第90話『仮面の残響』


 封印されたはずの影。


 しかし、一つだけ残された“仮面の欠片”が、新たな気配を呼び覚ます。


 そして――ノクスが再び牙をむく!

闇は、まだ終わっていなかった……!


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