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幽霊オタクレベル99〜俺には効かないぜ幽霊さん?〜【累計10000PV達成!】  作者: 兎深みどり
第一章:幽霊のいる日常編

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第7話『先輩のスマホ、誰が取った?』

「……あれ? スマホが……ない……?」


 放課後の部室にて、掃除の疲れも抜けきらぬまま座り込んでいた結先輩が、ポケットや鞄の中を何度も確認していた。


「え? 落としたんですか?」


「ううん、さっきまではあったの。でも……帰ろうと思ったら、ないの。どこ探してもないの」


「それ、結構やばいパターンの奴では?」


 俺は軽く背筋が寒くなるのを感じた。

 スマホ紛失。

 現代人にとっての、軽く死活問題だ。


「さっき掃除したし、なんか変な呪符とか巻き込んだりしてないですよね……?」


「さっきノクスが、棚の奥で“カサカサ音がした”って……」


「にゃん!(怪しいにおいがした)」


 リュックからノクスがひょこっと顔を出してそう鳴いた。


「うーん……掃除の時に棚の裏とかいじった?」


「いじってないけど、棚の裏に“何か”あったって言われたら、確認せざるを得ないよな……」


 俺達は、掃除の際に動かさなかった書棚の奥へ手を伸ばし、慎重に動かしてみる。


 ゴンッ。


「おっと……ん? これ、スマホじゃない……」


 そこには――古い、折りたたみ式の携帯電話が落ちていた。


「え……これ、私のじゃないです……」


「平成初期……いや、それより前?何だこの骨董品……」


「にゃうう(不気味な波動……)」


 ノクスが一歩引いた。


 ボロボロの外装。埃だらけ。

 だが――液晶には、なぜか表示があった。


『コチラ……ミエマスカ』


「……なんか、表示されてる。これ……動いてる……?」


 電源コードもない。

 SIMも刺さってない。

 そもそも生きてるはずのない機械だった。


 俺は慎重に、液晶のボタンを押してみた。


『カエシテ……アノヒノオモイデ』


 次の瞬間、教室の空気がふっと冷たくなった。


「……ねえ、なんか寒くない?」


 結先輩が腕をさすりながら小声で言う。


「これ……マズいやつだな」


 ピリピリと霊気が肌を刺す。


 間違いない。

 この携帯――“誰かの思念”が籠もってる。


「愛菜、感じる?」


「うん。ボクでも分かる……これは、“届かない声”が、ずっと鳴り続けてた感じ……」


 ノクスが低く唸る。


「ニャニャ……ニャ(記憶の残響……この中にいる)」


 すると突然、携帯から――着信音が鳴った。


 レトロな電子音。だが、ひどく歪んでいる。


『ピ……ピッ……出テ……ヨ……』


「……出るの?これに?」


「出ないと逆に呪われそうな気がする……!」


 俺は意を決して、通話ボタンを押した。


『――アノコ……ヲ……サガシテ……』


 そして、そのままプツンと電源が落ちた。


「……“あの子”って……誰だよ」


 俺の呟きに、ノクスがひとつ鳴いた。


「ニャー(もう、始まってるぞ)」


 部室の窓が、ギィィ……と勝手に開いた。


 カーテンが揺れる風の中に、かすかに――少女の笑い声が、混じっていた。



 その夜、結先輩のスマホはなぜか、自宅の冷蔵庫の中から発見された。


 だが彼女は、冷蔵庫を一度も開けていないという――。


次回予告!


 不気味な携帯電話の正体は?

 「探して」と囁いた声の主は、一体誰なのか?


 次回、第8話『あの子はまだ、探してる』


 お楽しみに!


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