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幽霊オタクレベル99〜俺には効かないぜ幽霊さん?〜  作者: 兎深みどり
第一章:幽霊のいる日常編
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第5話『ノクス、誘拐される〜地獄の一夜〜』

 放課後・オカルト研究同好会 部室


「愛菜〜、今日ノクスの姿見ないけど……?」


「えっ? ええっ!? ノクスいないの!?」


 リュックの中を覗く愛菜。


「……いない。いないいないいないいな……ニャアアアア!!?」


「落ち着け! ってか重さで気付かなかったのか!?ノクスはリュック以外の場所にいる時ってどこにいる?」


「……ゴミ箱の中……天井の梁……あと、お菓子棚の裏……」


「妖怪なのに、行動がほぼ猫」


「でも、勝手に外出るような子じゃないもん! 絶対誰かに連れてかれたんだよ〜!!」


 その瞬間、ノクスの“気配”を感じ取った修が、ふと遠くを見る。


「……ヤベ。これ、霊的にやばい奴が怒ってる時の波長だ……。これノクスの怒気じゃ……?」


○○○○○


「にゃーう!!(殺すぞ!!)」


 声にならないほど遠くで聞こえる、ガチの殺意に近い「ニャー」。


○○○○○


 その頃・とあるアパートの一室


「へっへ〜、やっべー可愛い猫拾っちまった! SNSバズりまくり確定だわ〜」


 自称“ペット系配信者”の大学生・笹山。

今日、ゴミ捨て場から出てきた黒い猫を「野良猫」と思って誘拐した男。


 だが――


「……なんで俺のスマホ圏外なんだ?」


 ノクスがソファの上で香箱座りしている。


「にゃあ(電波系統に干渉して麻痺らせた、てめぇが逃げられないようにな)」


「……え、今喋った? え? なんで人の言葉に聞こえる!?これはいいぞ!配信開始!!」


「にゃっ、にゃにゃっ(お前、よりにもよって、このおれをさらったんだぞ。どうなっても知らねぇからな)」


 そしてその直後――


 部屋の明かりが消えた。


 そして、壁一面が文字で埋め尽くされていく。

《返せ》《返せ》《返せ》《返せ》《返せ》《返せ》《返せ》《返せ》《返せ》《返せ》


「ひいいいいいいいいい!!??」


○○○○○


 部室・愛菜、大暴走


「もう警察行く! 飼い猫がさらわれたら警察行くしかないの!!」


「いや、ノクスは“猫型妖怪”だから……うーん、扱いが微妙……」


「でも大事な家族なんだよぉぉぉ!!」


 怒りながら涙を流す愛菜。


 そのとき、スマホに通知が届く。


《“謎の猫、喋ってる?!”って動画がSNSで話題に》


 動画に映っているのは、ノクス。

だが、音声は「ニャー、ニャニャーン」しか入っていない。


「バカだな……言葉は録音に乗らないんだよ、アイツのは……」


 修がため息をつき、スマホを閉じた。


「見つけた。行こうぜ、愛菜。拾い主に“地獄”を見せてやろう」


○○○○○


 その夜・アパートの地獄


 ドアを開けた修たちが見たのは――

部屋中に走る黒い影、裂けた壁紙、壊れた照明。


 そして部屋の中央には、半泣きで正座している笹山。

その前で、ノクスが仁王立ちしていた。


「にゃあああああああ!!(二度と猫さらいなんかすんなよこのボケがぁぁ!!)」


「す、すみませんでしたああああ!! もう二度とやりませんんん!!」


「……バケモノ……バケモノだった……猫じゃない……猫じゃないぃぃ……」


 修が部屋の結界を解除する。

ノクスは愛菜の足元に飛び込むと――リュックにスポッと入った。


「ノクスぅぅぅ〜!! よかった〜!!」


「にゃーん(やっぱ、こいつのリュックが一番落ち着くわ)」


○○○○○


 帰り道


「……まぁ、誘拐されてもあそこまでやる妖怪も珍しいっすね」


「うちの子、やられたら倍返しだからね。妖怪だけど義理堅いの、あと半沢直樹にハマってるの」


「にゃ〜ん(今回は警告で済ませたが、次は……)」


「ノクス、もうちょい優しくなろ?」


「にゃー(あ?)」


「ひぃっ!」


 怖い怖い……ノクスはこう見えて実は

かなり高位の妖怪らしい……

本人はそれを語らないらしいが


 愛菜との出会いやノクスの過去は

また機会があったら……

 “ただの猫”だと思ったら地獄だった。

人の善意に化けて忍び寄る本当の悪意とは――


 第6話『部室大掃除!』


 掃除しないとね!部室も人の心も……


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