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幽霊オタクレベル99〜俺には効かないぜ幽霊さん?〜【累計10000PV達成!】  作者: 兎深みどり
第二章:七不思議編

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第42話『ばあちゃん式・地獄の霊力修行③:心眼覚醒』

「……うう、全身がバラバラになりそう……」


 俺は地面に倒れ込んでいた。

 汗も霊力も出し尽くし、もう立ち上がる気力すらなかった。


 だが、ばあちゃんはそんな俺をニッコリと見下ろして言った。


「さあ、仕上げといこうかのう。最後は“心眼”じゃ。お前の魂に眠る“視る力”を、いよいよ目覚めさせる時じゃよ」


「ちょっと待ってばあちゃん……この流れ、どうせ穏やかじゃ済まないだろ……?」


「ふっふっふ、ようやく察しがよくなったのぅ」


 ばあちゃんは懐から取り出したのは、真っ黒な盃だった。

 中には赤黒い液体がたぷたぷと揺れている。


「……それ、もしかして“飲む系”?」


「“魂の目覚め”じゃ。“見るなかれの霊薬”。飲んだ者は、自らの内に棲む“真実”を視る。幻か現か、正気か狂気か、それを見極める力を得るのじゃ」


「もうその説明が狂気なんだよ!!」


 それでも——逃げる訳にはいかなかった。

 俺は震える手で盃を受け取り、ぐいと一気に飲み干す。


「……ッ!」


 口の中に、土と鉄と苦みが広がる。

 瞬間、意識が裏返り——視界が、真っ白になった。


 


 ——気づけば、俺はどこかの“原風景”に立っていた。

 懐かしくも見知らぬ風景。

 静まり返った草原の中心に、ひとりの少年が立っていた。


 ……いや、あれは——俺だ。


「なんだ、これ……?」


 過去の記憶か?

 それとも、魂の奥底にあるイメージなのか。


 少年の俺は何かに怯えている。

 目の前には、ぼんやりと立つ“幽霊”の影達。

 怖がりながらも、目を逸らさずにじっと見つめていた。


「視るのが……怖い。でも、逃げたら——負けだよな」


 その言葉が、胸の奥に刺さる。

 気づけば、俺の額に淡く光る紋様が浮かんでいた。


 視えないものを視る。

 視たくないものも視る。

 けれど、それを受け止める覚悟が“心眼”なのだ——


 


 ――パチン。


 次の瞬間、俺は“霊力の間”に戻ってきていた。


 そして——


「見える……見えるぞ……!」


 まるで目を閉じたままでも霊の“位置”が感知出来る。

 更に——微かな“感情”すら読み取れる。


「よくやったのお、修。ようやく“視る者”としての一歩を踏み出したようじゃな」


「ばあちゃん……ありがとう」


「ふふふ、その代わり、これからは見たくないモノも全部視えるぞい?」


「その発言、今凄く重たいんだけど!?」


「にゃう……(ようやく見えたか。お前も“本物”になったな、しゅー)」




 こうして俺は、ばあちゃん式・地獄の霊力修行を乗り越え、

 ついに——“心眼”という新たな力を手に入れた。


 だが、この力が“何を招くか”までは、まだ知る由もなかった。

 次回予告


 第43話『対話と咆哮ほうこう


 言葉が牙を持つ時、

牙が心を穿つ時――


 修とノクス、初の“本気”の手合わせ。

その眼が覗いたのは、闇の奥に揺れる“過去の記憶”。


 そして夜が深まる時、

“彼”は静かに、その姿を変える。


「……やれやれ、本気を出す羽目になるとは、にゃう」


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