第41話『ばあちゃん式・地獄の霊力修行②:限界修行』
「いいか修、これは“修行”じゃなくて“地獄”じゃ。“霊力地獄”の始まりじゃぞい」
ばあちゃん——雨城柚月はニヤリと笑った。
この世のものとは思えないほどの笑顔だった。
「いや、名前のセンスはさておき……何この空間!?」
俺が立っていたのは、ばあちゃんが作り出した“霊力の間”。
四方を囲む黒い空間。
重たい霊圧が天井から滴るように降り注ぎ、まるで水中にいるように体が重い。
「動きにく……っ!」
「当たり前じゃ。ここはお前の“霊的体力”を限界まで削る訓練場。心と体と魂のスタミナが尽きた時、真の力が目覚めるのじゃよ」
「RPGかよ!」
「じゃあさっそく始めるぞ。まず基本鍛錬その一“呪詛反射走”じゃ」
「名前からして嫌な予感しかしない」
ばあちゃんの手がヒュッと振られると、空間の端から無数の紙人形が現れた。
それらはみるみるうちに黒煙を帯び、鋭く光る目を持った“呪詛人形”へと変わる。
「ほれ、こいつらが追ってくるから、逃げながら全部跳ね返せ!」
「おい無理だって!?!」
1体、2体……いや10体を超える呪詛人形が同時に突進してくる。
体にまとわりつく負のオーラに耐えながら、俺は身を翻し、気合いで紙札を投げる。
「“反返符・重ね”!」
シュバッと飛んだ札が、1体を燃やし尽くす。
けれど、すぐに別の奴が背中から突っ込んできた。
「うがッ!? ばあちゃん!これ無理だってば!」
「まだ“初級”じゃよ〜?」
「初級ぅ!?!?!?」
◆
一方その頃、訓練の様子を見学していた結先輩と愛菜は、空間の隅で固まっていた。
「……あ、雨城君、さっきから何度も吹っ飛ばされてます……」
「ボク達、見学で良かったね……」
「にゃう(むしろあっちに巻き込まれたら命がない)」
修行を終えたノクスは呑気に観戦モードだ。
◆
「よーし、じゃあ次は“霊力持久・地脈逆流編”いくぞい」
「何だそれ!言ってる事が毎回怖い!」
ばあちゃんの杖が空を裂くと、床に怪しい霊の紋様が浮かび上がる。
それは足元から“地脈の霊力”を吸い上げ、逆流させるというものだった。
「この紋様の上に立って、10分間、霊力の循環を止めずにいられたら合格じゃ。ただし——一度でも気を緩めたら、霊魂が肉体から“ポロリ”するからの〜」
「えぐいリスク説明しないで!? 命かかってるじゃん!?」
汗が噴き出る。
全身が震える。
心が折れそうになる度、ばあちゃんの檄が飛ぶ。
「お前は幽霊オタクレベル99なんじゃろ!?その自覚、見せてみぃ!」
「いや、俺それ趣味の話だから!ステータスじゃないからァ!」
10分後——
バタンッ!
俺は地面に倒れ込んだ。
ゼエゼエと息を吐き、視界がグルグル回る。
なのに、ばあちゃんは楽しそうに言った。
「よ〜し!ラストは“霊的筋肉反復横跳び”じゃな!」
「無限ループやめろおおおおお!」
次回予告
第42話『ばあちゃん式・地獄の霊力修行③:心眼覚醒』
限界を超えたその先に見えるのは、魂の奥に眠る“視えないもの”。
雨城修、ばあちゃん直伝の最終奥義に挑む!
果たしてその代償とは——!?
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