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幽霊オタクレベル99〜俺には効かないぜ幽霊さん?〜【累計10000PV達成!】  作者: 兎深みどり
第二章:七不思議編

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第39話『ばあちゃん式・地獄の霊力修行』

 薄暗い和室に、ぴんと張り詰めた空気が漂っていた。


 正座する俺とノクスの前に、ばあちゃんがドカッと腰を下ろしている。


「ふむ……ようやく腹を括ったようじゃな。では、始めようかの」


 ばあちゃんが静かに立ち上がる。

 その目は、いつもの穏やかな祖母ではなく、一人の祓い師としての鋭さを帯びていた。


「修、お前には霊力の基礎から叩き込む。術式の再構築、精神統一、そして霊的耐性の強化……甘えは許さんぞ」


「やっぱりそうなるよね……」


「そしてノクス」


 ばあちゃんは目を細め、ノクスを見下ろす。


「“喰ったもの”の力を制御するには、自分自身の霊圧を安定させねばならん。でなければ、いずれその力に呑まれる」


「にゃう(あーもー、やるよ!やるってば……)」


 ばあちゃんはその猫語に、当然のようにうなずいた。


「なぁばあちゃん、ノクスの言葉ってさ、ばあちゃんみたいにもっと霊力があれば分かるようになるのかな?」


「いや、こいつの言葉は霊力等は関係ない、妖かしを感知する特異な能力が必要だ、あの場にいた小柄な少女のようにな」


「愛菜の事か」


「にゃう……(愛菜は……色々あるんだよ、色々……)」


 ノクスを少し悲しげな表情で見つめるばあちゃん。



「二人とも、別々の場所で行う。それぞれに合わせた“部屋”を用意してある。……ついてこい」


 俺とノクスは顔を見合わせる。


「……やるぞ、ノクス」


「にゃう(まかせろ)」


 ばあちゃんは襖を開き、俺を奥の一室に導いた。


 そこは、まるで古びた神社の本殿のような空間だった。

 四方に封印札が貼られ、中央には円形の術式が刻まれた畳が敷かれている。


「修、ここがお前の修行部屋じゃ。最初は、“流し込み”から始める」


「……流し込み?」


「霊力を自分の中心に集め、写経で吐き出す。精神と霊を一直線に結ぶ基礎訓練じゃ」


 ばあちゃんは、墨と筆、そして真っ白な巻物を俺の前に置いた。


「式神や札術のベースとなる“術式文字”をなぞる。雑念があれば、すぐに力が乱れて頭痛が走るぞ。……では、始め」

 

 カッと灯された蝋燭の光の中、俺は筆を握る。


 一画一画、慎重に筆を走らせる。


 だがすぐに、肩に重みがのしかかってくるような感覚が襲ってきた。

 視界がぼやけ、呼吸も浅くなる。


「っく……まだ、三行目……!」


 呼吸を整える。目を閉じて、もう一度墨を含ませた筆を握る。



 ――逃げるなよ。



 脳裏に、結先輩の姿が浮かぶ。


 あの七不思議の夜、俺は無力だった。

 ばあちゃんの術式がなければ、全員が巻き込まれていたかも知れない。


「……俺の力で、守りたい」


 俺は顔を上げ、筆を持ち直した。


「お願いします、ばあちゃん。――やります」


 ばあちゃんは目を細めて微笑んだ。だがその笑みには、容赦の色は一切なかった。


「よし、ならば次は術式を描きながら霊圧を安定させてもらうぞ。集中せんと爆発するからの」


「え、爆発!?」


「心配するな。小規模じゃ」


「小規模って言っても――!」


 俺の叫びが、封印結界の中に反響した。


 

 


 その頃、別の部屋では――ノクスが静かに目を閉じていた。


 彼に与えられたのは、自らの内に喰らった“根源”と向き合う為の場。


 そこに待っていたのは、血の記憶。

 そして、遠い昔の“約束”だった。


 次回予告


 第40話『ノクス、血の記憶に触れる』


 根源の力を喰らった代償は、ノクスの内に眠る“記憶”を呼び覚ます。

顕現される真祖の力と、封じられた過去。

猫は、かつて“人”だったのか――。

それは、哀しき選択の物語。


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