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幽霊オタクレベル99〜俺には効かないぜ幽霊さん?〜【累計10000PV達成!】  作者: 兎深みどり
第二章:七不思議編

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第35話『八つ目の不思議:封じられた教室』

「……おい、これ……」


 俺はスマホの画面を見つめていた。


 【“八つ目”が、開かれました。】


 意味が分からなかった。


 けれど、次の瞬間。


 背後の扉から――カチリ、と鍵が開く音が響いた。


 「う、うそ……今、勝手に開いた……!?」


 愛菜が振り返る。


 さっきまでびくともしなかったトイレの扉が、今は開いている。


 試しに押してみたが、まるで重りでもかけられたかのように微動だにしない。


 「しゅーくん、見て。これ……」


 愛菜が差し出したスマホには、七不思議マップが表示されていた。


 七つの✕印――踊る階段、深夜の放送、水のない水槽、消えた図書館のイス、体育館の笛、コンピューター室の“次はお前だ”、女子トイレの集会場。


 それらの印が淡く赤く点滅していた。


 ……だが、もう一つ。


 マップの中心点――今まで空白だった場所に、新たな✕印が浮かび上がっていた。


 「……ここって……このフロアの西端通路の突き当たり……?」


 結先輩が画面を指差す。


「資料にも載ってなかった……非常階段の奥。普段使われてないエリアだわ」


「じゃあ……そこが“八つ目”って事か……?」


 俺は深く息を吸い込む。


「……行ってみよう」


 誰も止めようとはしなかった。



 西端通路は暗く、床に薄く埃が積もっていた。


 突き当たりには、使われていないロッカーと掲示板。

 そして、その奥に――目立たぬ鉄扉が、ひっそりと存在していた。


「ここが……七不思議マップの中心点」


 俺の呟きに、ノクスが肩から飛び降りる。


 


「にゃう……(間違いない。ここが“第八”の場所だ)」


 


 俺は静かに扉に手をかけた。


 そして――押し開ける。


 


 その中は、“教室”のようで、“教室”ではなかった。


 机と椅子は並んでいるが、どれも古び、歪み、脚が欠けていた。


 壁はひび割れ、天井は異様に高く、窓は黒く塗り潰されている。


 黒板の上には、チョークではなく爪で削ったような文字が刻まれていた。


 《ここに在り、ここに非ず》


 最後列の右端の席――


 そこに、“何か”が座っていた。


 黒い制服。

 うつむいた姿勢。

 まるで彫像のように動かない。


 ……だが、確かに“気配”があった。


 


「――来たか」


 


 声が、脳の奥に直接響く。


 誰も口を開いていないのに、確かに全員が聞いた。


 


「……また、“若いの”が来るとはな。まったく……あの時のユヅキと、似ている……」


 


「――!」


 


 その名を聞いた瞬間、俺は目を見開いた。


 


「ばあちゃんの……名前……?」


 


 その姿がゆっくりと顔を上げる。


 目は深い闇のように沈んでいたが――一瞬だけ、“人間”の面影が残っていた。


 


「俺達は……止めたと思っていた。だが、封印は脆かった……“根源”の目は、閉じてなどいなかった……」


 


 彼がそう呟いた瞬間、黒板が――裂けた。


 


ギィィィ……


 


 黒い空間が開き、そこからにゅるりと這い出す黒い腕。



「にゃう……(この気配、大悪魔の類……いや、それ以上……)」



 机が倒れ、壁が波打ち、空気が歪んだ。


 


 


「Nom-Creva(ノム=クレヴァ)――悪意を喰らい、穢れた魂を喰らい、あらゆる“不浄”を喰らうもの。名は要らぬ。形は意味をなさぬ。ただ、在り続けるだけ――“根源”として。喜べ――私は、今、見ている」


 


黒い影が天井まで伸び、空気が凍りつく。


 


「くっ……!」


 


 俺は咄嗟にスマホのアプリを起動させた。


 


 ばあちゃんから教わった“霊力増幅と封印のサポート”アプリ。


 


 画面に指を走らせる。


 


「これで……抑えられれば……!」


 


 次々に術式のアイコンを選び、力を解放する。


 


 だが、Nom-Crevaは強大だった。


 


 “黒い腕”は俺の前に振り下ろされ、俺は耐えきれずに吹き飛ばされた。


 


「しゅ……くっ……!」


 


 倒れながらも立ち上がる。


 


「くっ……俺の力じゃ……ここまでは……」


 


 危険が愛菜達に及ぼそうとした瞬間――


 


「危ない、離れろ!」


 


 俺の叫びに、ノクスが低く唸りながら、その場から消えた。


 


 俺の視界の端で、黒い炎が蠢き始める。


 


「にゃう……(これは……やるしかないか……)」

 次回予告


 第36話『ノクスの咆哮』


 悪魔“Nom-Creva”の封印が解け、強大な力が暴れ出す。

修は必死に応戦するが、絶体絶命のピンチに――。


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