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幽霊オタクレベル99〜俺には効かないぜ幽霊さん?〜【累計10000PV達成!】  作者: 兎深みどり
第二章:七不思議編

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第30話『七不思議⑥:次はお前だ(後編)』

 パソコンの起動音が止んだ。


 教室に並ぶ古びたモニターの一つが、カタカタと震えながら起動を始める。

 その光だけが、暗闇の中にぼんやり浮かび上がっていた。


「何か……嫌な音したよね、今」


 愛菜が俺の腕を掴む。

 ビビりすぎて爪立ってる。

 痛い。


 画面に、文字が浮かんだ。


『選定中……』


「にゃう(選ばれるぞ)」


 ノクスの声に、愛菜の肩が跳ねた。


「だから何がぁ!?」


「にゃう(この“場”にいる誰かを、“主”が気に入れば、そいつを次に指名する)」


 愛菜が訳す前に、俺はノクスのリュックに目を向けた。


「……いや、なんとなく嫌な予感はしてたけどな」


 モニターが、一瞬ちらついて止まった。

 そして──


『キミドリ・アイナ』


「――えっ!?ちょ、なんでボク!?」


「名字で呼ばれるの珍しいな」


「そっち!? なんか他人行儀で逆に怖いよ!」


「にゃう(反応した。恐怖を感知したようだ)」


 愛菜がノクスの言葉を訳す。


「ボク悪目立ちしたの!?え、やだっ、なんかやだよこの展開っ!」


 その瞬間、コンピューター室の扉がガンッ!と揺れた。


 俺達は反射的にそちらを向いた。


「開かないって言ったのに……動いてる?」


 結先輩が、警戒するように一歩前に出る。


 再びガンッ!


 ドアの隙間から、何かが覗いた。


 白い指先が、ギリギリと扉の隙間を押し広げていく。


「……うわ、完全にホラーじゃん」


「にゃう(“連れていこう”としている)」


「誰を!?……やっぱボクかあああっ!?」


 その時だった。


 ――ブチッ!


 モニターのケーブルが、突然何かに引きちぎられた。

 画面が消える。


 同時に、教室内のモニターたちが一斉にバチバチとショートを起こし、火花を散らす。


 次の瞬間、バァン!と扉が大きく開き――


 そこには、誰もいなかった。


「……え?」


 静寂が戻る。


「な、何これ……今の、怪異が……止まった?」


「にゃう(外部からの干渉だ。別の“力”が働いた)」


 愛菜が通訳した。


「だってさ。なんか外から、助け舟が来たみたいな?」


 俺はノクスのリュックを軽く小突いた。


「……お前な、そういう大事な事をもっと早く言えよ。殴るぞ」


「にゃう(やれる時にやるのが美学だ)」


「……ノクス、うざっ!」


 愛菜が安堵のあまり、へたり込む。


「ボク……次って呼ばれて……絶対連れてかれるって思ったのに……! やだもうっ……明日は甘いもん食べ放題にする……」


「勝手に宣言してろ」


 俺はふと、今は暗くなったモニターの一つに近づいた。

 画面は真っ黒だ。だがその中に、確かに見えた。


 一瞬だけ、映った“何か”。

 顔のない教師のようなものが、教壇の後ろに立っていた。


「……“あれ”、まだいるな」


「にゃう(去った訳じゃない。“次の名前”を、探してるだけだ)」


 それが、誰になるのか。

俺か、結先輩か、ノクスか――いや、無いな。


 今度“選ばれる”時は、逃がしてもらえない気がする。

 次回予告


 第31話『七不思議⑦:小休止と大富豪』


 七不思議巡りもいよいよ佳境。

疲れた俺達は部室でちょっと一休み。

トランプで大富豪を楽しみながら、

次に挑む七つ目の不思議の話が自然と出てくる。

ほんの少しの休息が、また新たな決意を呼び覚ます――。


 最後まで読んでいただきありがとうございます!

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