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幽霊オタクレベル99〜俺には効かないぜ幽霊さん?〜【累計10000PV達成!】  作者: 兎深みどり
第一章:幽霊のいる日常編

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第3話『消えたお母さんの手紙』

2025年8月16日 加筆

 放課後・オカルト研究同好会部室。


「雨城君、今日って何か調査する予定ある?」


「いや、今日は“まったり活動日”です。

俺、怖い話まとめの新着チェックしますんで」


「じゃあ、私、部室の掃除でもしようかな〜」


「手伝いますよー。ノクス、そこどいて」


「にゃーん(頑張れよ人間共!)」


「ノクスがサボってる〜」


 愛菜がリュックに手を突っ込むと、中から抵抗するノクスの手(前脚)が飛び出てくる。

 ひっかき攻撃を受けつつ、愛菜は笑いながら応戦。

 その横で、結先輩は本棚の奥をガサガサと探っていた。


「……あれ? これって……」


 彼女が引き抜いたのは、古びて薄汚れた封筒だった。


「なんか、奥に落ちてたの……多分誰かの手紙かな?」


 修はそれを受け取ると、すぐに眉をひそめる。


「……先輩。これ、霊気こもってますよ」


「えっ!?」


「しかも、この霊気……すげぇ優しい。多分これ、“亡くなった誰かが、大事な人に宛てた手紙”です」


「……まさか……」


 先輩の手がかすかに震える。

 宛名はほとんど消えていたが――


「これ、“黒咲 結へ”って……書いてある」



 翌日・帰り道


「結局、中身は読めなかったね」


「紙も劣化してて、文字が滲んじゃってるんだもん……。でも、きっと――お母さんが書いたんだと思う」


 修は一瞬迷ったあと、静かに口を開く。


「……先輩。もし、嫌じゃなければ……お母さんのこと、教えてくれませんか」


 結先輩は歩みを緩め、少しだけ息を整えるように深呼吸した。


「……十五年前。私が五歳の時の事。家の近くの古い建物の前を、お母さんと手をつないで歩いてたの。その時――空が一瞬暗くなった気がして……」


 耳に、低くうなるような音が届いた。

 何かがきしみ、崩れる音。

 次の瞬間、瓦や木材が裂けるような轟音が空気を裂いた。


「お母さんは何も言わず、私を強く抱きしめた。凄く暖かくて……でも、息が苦しいくらいで。背中に何かがぶつかる鈍い音がして……世界が土と砂埃で真っ白になった」


 幼い結の視界に残ったのは、お母さんの胸元にあったペンダントの光と、耳元で微かに聞こえた声。


 ――大丈夫。怖くないよ。大丈夫、大丈夫だよ。


「気づいたら……私は無傷で立っていて、目の前にお母さんが倒れてた。何が起きたのか、頭では分かってたけど……その時は、ただ揺すって、泣いて、名前を呼び続けた」


 結先輩は歩道の端に立ち止まり、うつむいたまま唇をかむ。

 修は言葉を探したが、胸が詰まって声にならなかった。


 その時、ふわりと白い影が彼の視界に舞い降りた。

 結先輩の母親の霊だった。

 柔らかな笑みを浮かべ、風の中で娘を見つめている。


「……ずっと、そばにいたんですね」


「え?」


「――いや、独り言っす。先輩が怖がらないように言わなかったけど……お母さん、ずっと見守ってました。で、多分手紙も、“自分では渡せなかったから、俺らに見つけさせた”んですよ」


「……」


「安心してください。あなたの気持ち、ちゃんと届いてましたよ。“ずっと守ってた”って、そう言ってました」


「――そうなんだ」


 ぽつりと、それだけ呟き、結先輩は涙をこぼした。

 その涙は、十五年分の痛みと、ようやく届いた想いの温かさが混ざったものだった。



 数日後・部室


「はいこれ。印刷しておきました。スキャンして少し補正かけたら、手紙の文字、うっすら出てきたんすよ」


 修が差し出した紙には、ほんの数行だけ、読み取れる文字があった。


ーーーーーー


 結へ


 あなたが幸せであるように、祈っています。


 どんなときも、あなたの味方です。


 ずっと、そばにいるよ。


ーーーーーー


「……お母さん……」


 結先輩は、もう一度小さく微笑んだ。

 それは、これまでで一番――安心したような笑顔だった。


 ソファの上


「にゃあん(やっぱ霊ってのはよ、愛が深ぇと未練じゃなくなるんだな)」


「ノクス、詩的すぎない?」


「にゃん(うるせぇ、今感動してんだよ)」



 幽霊は怖くない。

 怖がらせる事が目的じゃない。

 伝えたい想いが、ただ、そこにある。

 次回予告!


 結先輩が、呪いの恋愛相談を受けたら

……幽霊より面倒な“生き霊系女子”がやってくる。


 第4話『結先輩と生き霊女子〜恋は呪いより厄介だ〜』


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