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幽霊オタクレベル99〜俺には効かないぜ幽霊さん?〜【累計10000PV達成!】  作者: 兎深みどり
第二章:七不思議編

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第28話『七不思議⑤:体育館に鳴り響く笛の音(後編)』

 ピーーーッ


 けたたましい笛の音が、体育館に響き渡った。


 その瞬間、体育館の照明がバンッと点灯し、誰もいなかったはずのコート上に――人影が次々と浮かび上がった。


「な、なにあれ……!」


 愛菜が俺の腕にしがみつく。


 制服、体操着、部活のジャージ。

 様々な年代の“幽霊達”が、コートの上に整列している。


 ――全員、無表情。

どこか人形のように無機質な動きで、ストレッチを始めていた。


「にゃう(部員達だ。すべて、練習中に選ばれ、帰れなくなった者達……)」


「選ばれたって、選手じゃん……エントリーいらねぇのかよ……」


 体育館の隅、スピーカーの辺りから、がしゃり、と何かが落ちる音がした。


 見ると、真っ白なビブスが入った箱がひとりでに開き、その中からビブスがふわりと浮かび上がる。


「しゅ、しゅーくん!なんか……ボクの方来てるんだけど……!」


 浮かぶビブスが、愛菜にぴたりと張り付いた。


「きゃああああああ!?何でボクだけ!?どうしてボクだけええええ!!?」


「にゃう(選ばれたな)」


「ボクまだ準備運動してないんだけどぉ!?」


「俺、マネージャーって事で。体力的に無理だから」


「マネージャーって逃げ道じゃないからねぇぇぇ!!」


 その時、コーチが笛を吹いた。


 ピー!


 同時に、整列していた“部員”達が、一斉にランニングを始める。


 足音だけが、がらんとした体育館に反響した。

 まるで、かつての部活動の記憶が繰り返されているかのように。


「にゃう(従うしかない。拒否すれば、“ペナルティ”だ)」


 コーチが、ピクリとこちらを向いた。


 いや、“顔”はない。ただ、あの真っ黒な穴が、こちらを向いた気がした。


 次の瞬間――


「ピーーーー!」


 高く、怒気を帯びた笛の音。


 それに合わせて、コートの隅から黒い影のような何かがズズ……ッと這い出してきた。


「な、なにあれ!? 影!? ボクの方来てるよ!?」


「にゃう(ペナルティゾーンだ。命を削ってくる)」


「体育館で命削るとか、ブラック過ぎんだろこの部活!?」


 愛菜が必死にランニングの列に合流する。

 “部員達”の中に混じって走り出す姿は、涙目ながらも健気だった。


「うう……絶対この後、替え玉ラーメン奢ってもらうからね……!」


 影は、列から外れた“部員”を追いかけ、飲み込むようにして消していく。


「うわ、消された!? 除籍!? 怖すぎるだろこの体育授業!」


 俺はそっと体育館の壁際を移動し、出口を確認する。

 だが――どの扉も、何かにロックされていた。


「にゃう(出口はひとつ。“練習”を終えた者だけに開かれる)」


「それ、何をもって“終わり”と判断するんだよ……」


 その時、体育館中央。

 コーチが両手を叩き、何かを指し示した。


 そこには――一枚のバスケットボール。


 そして、ポツンと立っていた“ゴール”があった。


 部員達がその場に移動し、次々にシュートを放つ。

 だが、どのボールもリングに届く事はなく、地面に転がる度、コーチの穴がピィッと鳴る。


「……まさか、ノルマ達成系?」


「にゃう(選ばれた者が、一本でもシュートを決めれば“練習”は終了する)」


「選ばれた者って……」


「え、ボク!? ねぇ、やっぱりボクなの!?」


 愛菜が絶望の目でボールを拾う。


「バスケ……やった事ないんだけどぉおお!!」


「大丈夫だ。大事なのはフォームじゃない、根性だ!」


「そんな精神論、今いらないからああああ!!」


 ふらふらとゴールに向かう愛菜。

 “部員”達が静かに見守る中、彼女は震える手でボールを構えた。


「……い、いきます……!」


 ぐっと目をつぶって、腕を振る。


 ボフッ


 ボールは、コツンとリングに当たり、跳ね返ってゴールに入った。


「……え?えええええええええ!?入ったああああああ!!?」


「おお……決まった!?これ、卒業出来る!?」


 その瞬間、笛の音が静かに止まり――


 “部員”達が、次々と姿を消していく。


 最後に、コーチが笛を口元に当て、こちらを向いた。


「にゃう(……“練習”は終わった。だが、また来るぞ)」


 ピィ――。


 最後の音が響いたとき、体育館の扉が、ギィ……と音を立てて開いた。


 


 俺達は、夜の大学構内へと、這々の体(ほうほうのてい)で転がり出た。


「……あのさ」


「な、なに……?」


「……やっぱ、ラーメン行こう。替え玉、奢る」


「……うん」


「にゃう(おい、おれの煮卵は……?)」

 次回予告


 第29話『七不思議⑥:次はお前だ(前編)』


 閉ざされたコンピューター室。

扉を開けるには、室内に隠された謎を解かねばならない。

七不思議の秘密を握る“封印”のヒントとは――?

怪異が迫る中、緊迫の謎解きが始まる。


 最後まで読んでいただきありがとうございます!

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