表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幽霊オタクレベル99〜俺には効かないぜ幽霊さん?〜【累計10000PV達成!】  作者: 兎深みどり
第二章:七不思議編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/185

第26話『七不思議④:消えた学生の足跡』

 床に残された――たった一つの足跡に、全員が言葉を失う。


「ここ……今日、ワックスがけされたばっかりだよね?」


 愛菜が低く呟く。


 光を反射する床には、他に何の痕跡もない。

 それなのに、その足跡だけは不自然なほどくっきりと残っていた。


「沈み込んでる……体重をかけて、しばらく“立ってた”跡だわ」


 結先輩がしゃがみ込み、床を指先でなぞる。

 確かに、そこだけ時間が止まっているような錯覚を覚える。


「……藤田さん、戻ってきかけたのか?」


 俺がそう呟いたとき、ふと視界が揺れた。


 時間が、ぐにゃりと“曲がる”ような感覚。


 まぶたを開けた瞬間――誰もいない図書室が広がっていた。


「……あれ?」


 さっきまで隣にいたはずの愛菜も結先輩も、姿が見えない。


 気配が、音が、空気が――全部“どこか”にズレている。


「にゃう(悪いな、これは……切り離されたぞ)」


 ノクスの声が何を話しているのか、その意味が分かる……


「……どういう事だよ」


「にゃう(同じ空間に見えて、“ずれた世界”に入りかけてる。あの足跡が、境界だったんだ)」


 俺は思わず足元を見た。

 ――さっきの足跡の、真上に立っていた。


「ふざけんな……俺も連れてかれかけてんのか?」


 急いで一歩、後ろへ下がる。


 瞬間――


「しゅーくん!? どこ行ってたの!?」


 愛菜の声が響き、視界が“元に戻る”。


 俺は息を呑んだ。


 たった数秒。

 いや、もしかすると“数時間”が経っていたのかもしれない。

 だが俺には、それがまったく分からなかった。


「さっき……俺、一瞬、誰もいない場所にいた気がする」


 愛菜と結が、顔を見合わせる。


「ボクらには見えてなかったけど……一歩、足跡に踏み込んだ時、しゅーくん、ピタッと動かなくなってた」


「まるで、そこだけ時間が凍ってたみたいだった」


 まさかと思いつつ、もう一度足跡を見下ろす。


 すると、その中心に――小さな“紙片”が落ちていた。

 床と同じ色に擬態するような白い紙に、細いペンの文字が書かれていた。


 


 『こちらへ来てはいけない、逃げろ』


 


 「……何だ、これ」


 俺は無意識に背筋を伸ばした。


 何かが、見えない形で、そこにいる。

 あの椅子に“座った者”の記憶が、まだこの場所に滲んでいる。


「にゃう(気配が無くなった、次に行った方がいいぞ?)」


 “こちら”ではノクスが何を話しているのかは分からないが、かなりのイケオジボイスだったな……中◯譲治さんみたいな……

 次回予告


 第27話『七不思議⑤:体育館に鳴り響く笛の音』


 放課後の体育館に響く、笛の音。

誰も吹いていないはずの笛は、何かを呼んでいる。

一歩踏み入れれば――そこには、姿なき“コーチ”が待っていた。


 最後まで読んでいただきありがとうございます!

評価(★★★★★)やブックマークで応援していただけると嬉しいです。

続きの執筆の原動力になります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ