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幽霊オタクレベル99〜俺には効かないぜ幽霊さん?〜【累計10000PV達成!】  作者: 兎深みどり
第二章:七不思議編

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第20話『図書室の昼下がり』

新章突入です!


第二章:七不思議編!

 久しぶりに、何も起きない午後だった。


 大学の図書室。

 その隅にある閲覧席で、俺達は珍しく静かな時間を過ごしていた。


「ふあ〜……平和って、最高だね〜」


 愛菜が机に突っ伏し、その背中にノクスがどっかりと乗っている。


「にゃう(静かすぎて退屈すぎて脳がとける)」


「ノクスが退屈だって!それは贅沢ってやつだよー!」


 俺は苦笑しつつ、ポンジュースのストローをくわえた。


 隣では結先輩が、静かに本を読みながら、時折うとうととしている。


「事件が終わってから、まるで嵐の後の凪ね……」


「夜落ちも、もう観測されてないんでしょ?」


 愛菜がノクスの耳をもふりながら言った。


「ええ。綾さんが言ってたわ。『完全消失』って」


「……ま、うちの猫が秘密裏にぶった斬ったおかげだろうけどな」


「にゃぅ(おい、しゅー、それ口に出すな。ばれるだろ)」


「え? しゅーくん、何か言った?」


「いや、なんでも」


 ふと数日前に起きた事も思い出す愛菜。


「屍村での事も、何か夢見たような感じだよね」


「あんな濃厚過ぎる夢、二度と見たくねぇ」


「ふふ、確かにそうね」


「にゃう……(平和が一番……)」


 その時だった。


 図書室のカウンターに、ドサッと重そうな封筒が落ちた音が響いた。


 司書のおばさんが訝しげに首をかしげながら、封筒を持ち上げる。


「雨城修さん? これ、あなた宛てみたいよ」


「……俺?」


 


 封筒は黄ばんでいて、古い羊皮紙のような質感。

差出人不明。

 けれど、確かに俺の名前が書かれていた。


 俺が躊躇していると、愛菜が当然のように開封していた。


「ちょ、開けるなって」


「だって、こういうのって絶対ワクワクするやつだよ?」


 


 中には、二枚の紙が入っていた。

 一枚目は、奇妙な文体の手紙。

 二枚目は、手描きの地図のようなもの。


 


『七つ目が、視えてしまった者へ――』


 


「……七つ目?って事は……一から六もあるの?」


「つまり、そういう事よね……?」


「うわ、また面倒そうな話が始まったな」


「にゃう(やめとけって。これは明らかに“フラグ”ってヤツだ)」


 


 俺達は手紙の裏に書かれていたメッセージを見て、思わず息を飲む。


 


 ――“封印されし、失われた七つの記録”


 


 そして地図には、大学構内の見覚えのない場所に「×」印が7つ付いていた。

 ただのイタズラかも知れない。でも――直感が、違うと告げている。


「雨城君、これってまさか……“七不思議”ってやつじゃない?」


 結先輩がぽつりと呟く。


「そういや、昔からあったな。噂だけは」


「ボクの地元の学校にもあったよー! 『鏡の中の教室』とか、『深夜の音楽室』とか……!」


「……にゃう(おい、本格的に始まる気か?)」




「ん?封筒の中にもう一枚ある?」


 俺はそっと、封筒の底に残っていたもう一枚の紙を取り出した。

 そこには、こう書かれていた。


 


 ――“気をつけろ”


 


「……気をつけろ??」


 再び顔を見合わせる俺達。


 ノクスが尻尾をぴくりと動かした。


「にゃう(あーあ、せっかく平和だったのにな)」


 こうして、平和な午後は終わった。

 俺達は気付かないふりをしながらも、もう次の一歩を踏み出していたのかもしれない。

 次回予告


 第21話『七不思議①:踊る階段』


 誰もいないはずの階段に、聞こえる足音。

上っても、下っても、元の場所に戻ってくる――

それが最初の“噂”だった。


 次回!長編!七不思議編スタート!!

お楽しみに!


 最後まで読んでいただきありがとうございます!

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