第2話『ニャーニャー言ってる場合じゃねぇ!〜ノクス、学内の怪異を察知する〜』
本日2話目!
当面は朝8時と昼12時に投稿します!
感想とかよろしくお願いします!
放課後・オカルト研究同好会 部室
「結先輩、ポンジュース飲みます?」
「え、いいの? 雨城君ありがとう〜」
オカルト研究同好会、今日の活動内容:
・部室でポンジュース飲む
・ネットで“呪いの動画”を見ながらツッコミ入れる
・たまに怪異写真を見て、どれだけやらせかを検証する
……と、いう名のだらだら時間。
「ていうか雨城君、また怪談まとめサイト見てるの? 飽きないね〜」
「いや先輩、“飽きる怪談”と“噛めば噛むほど系怪談”があるんすよ。これは後者。熟成型です」
そのとき、バンッと音を立てて部室のドアが開いた。
「やばいやばいやばい! ノクスがずっと変な事言ってる!」
部のマスコットで副部長の、修より一つ下の学年の小柄な少女、君鳥 愛菜。
肩には猫の姿した、実は正体が妖怪な黒猫――ノクスが乗っている。
「にゃっ、にゃにゃーん(やべぇぞ!借り皮の臭いがする。久々の本物だ)」
「ノクスが言ってるの!
“この校舎に、何かが人間に化けて入り込んでる”って!」
「……ニャーニャー言ってるようにしか聞こえないけど……」
「本当に喋ってるんだってば! 人間の言葉で! 私にだけは聞こえるんだから!」
俺と結先輩には、「にゃあ〜」「ふにゃふにゃ〜」にしか聞こえてない。
それでも、愛菜が本気で焦ってる時は大体ガチ。
○○○○○
翌日・大学 校舎内
「で、今日は“化けた奴”を探すって事?」
「そう。ノクスが言うには“借り皮”。人間の姿を模倣してる妖怪」
「にゃー(だいたい地味な奴に紛れてる。リア充じゃない)」
「ノクス曰く“根暗系”らしいです」
「……偏見じゃん、それもう」
廊下を歩きながら、人間の“違和感”を探す三人。
「ほら、あの人! 制服、明らかに古くない?」
「ちょっと古い型だな。でもまあ、古着好きな人もいるしなぁ」
その瞬間、ノクスがシャッ!と尻尾を立てた。
「にゃにゃーっ!(あれだあれだあれだ!)」
「ノクス警報レベルMAXきました!あの人です、あの女子!」
修がすぐに呼び止める。
「ねぇ、君。それ、何年の制服?」
女子学生がピタリと立ち止まる。
「“何年”って、どういう意味ですか?」
振り向いたその顔は、笑っていた。
でも、目だけが全く動いてなかった。
「出たな。借り皮妖怪」
「……なんでバレたの?」
「俺、こういうの得意なんすよ。てか、表情と目線がズレてんのは基礎ミスでしょ。初心者妖怪かよ」
女子の体がぐにゃりと崩れ、制服の中から蛇のような触手が何本も現れる。
「にゃーう(衝撃のファースト・ブリット!)」
「ノクスが“殴れ”言ってます!」
「いや、無理無理無理無理無理!!」
愛菜が叫ぶ横で、俺はスマホを構えた。
「俺は殴るんじゃなくて、これ!“妖怪用浄化音波アプリ”。ばあちゃんが入れとけって言ってたんでね」
スマホからキィイイイイイイインン……という高音が鳴る。
「ギャアアアアアア!!!」
「うわ、効いてる効いてる。耳系に弱いタイプだな。
あとは“人間の心の声”で追い討ち――
『お前、もうちょいファッション研究した方がいいぞ』」
「ぐわあああああああぁぁぁああ!!!」
羞恥ダメージで爆散。霧のように消えた。
○○○○○
「……あれ、何だったんだ?妖怪?」
「ノクス曰く、“大学に昔住み着いてた図書室の怪異”が、最近の若者文化に憧れて復活しようとしたが、情報が10年古かったらしい」
「にゃっ(TwitterはもうXって言うんだぞ)」」
「……今の話、ノクスが?」
「うん。“時代に取り残された妖怪ほど哀れなものはない”って言ってる。」
「長くない??」
結先輩は笑って、愛菜はうんうんとうなずき、ノクスはリュックに潜って寝た。
「……てか、冷房つけたのになんで止まってる?霊障か?」
「ノクスが勝手にリモコン押してたよ」
「にゃー(だって冷えると関節痛むし)」
次回予告!
見えない守護霊。届かない想い。
第3話『消えたお母さんの手紙』
結先輩の“見えない母”に、雨城 修が近づいていく――
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