表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幽霊オタクレベル99〜俺には効かないぜ幽霊さん?〜  作者: 兎深みどり
第一章:幽霊のいる日常編
18/139

第18話『夜明け』

 翌週、大学の一室で、俺たちは再び綾と顔を合わせていた。


 彼女は机の上に何枚かの調査報告書を並べてから、ゆっくりと口を開く。


「……“夜落ち”に関する異常反応、すべて消失しました」


 俺はそれを聞いて、思わず息を吐いた。


「本当に……終わったんだな」


 愛菜がほっとしたようにノクスを抱きしめる。


「ボク達、無事で良かった……」


 結先輩も静かに頷く。


「この数週間、不安定だった霊的反応も落ち着いてきたわ。夢見も、視界の歪みも……今はもう、何もない」


 


 綾はひとつ息をついて言った。


「正式な報告書には、“自然消滅”と記載されます。……ですが、本当の所は、私にもよく分かりません」


「そうか……」


 俺はノクスを一瞥する。


 彼は何も言わない。ただ静かに、窓の外を見つめていた。


「……まあ、何がどうあれ、消えてくれたならそれでいい」


 


 不穏な“夜”はもう、この空の下にはいない。


 ようやく、日常が戻ってきたのだ。


 


 部室に戻った俺達は、少し早めの夏休みの予定を立て始めた。

 お化け屋敷、怪談巡り、古書探し……普通の、けれどどこか楽しみな日々。


 


 ノクスが机の下で小さく伸びをした。


「にゃう(まったく……ようやく静かになるかと思えば、また別の騒ぎの予感がするんだが)」


 俺は吹き出しそうになったのをこらえながら言った。


「たまには休ませてくれよ……次の事件まではな」


 


 そして、俺たちは静かな日常へ戻っていった。


 “夜落ち”という異常は、影も残さず、確かに消え去った。


 ――ただし、それが本当に終わりだったかどうかは、誰にも分からない。


 


 けれど今は、それでいい。


 次回予告


 第19話『もう一つの旧部室、そして封印の先へ』


 その扉は、存在しないはずの空間にあった。

誰かの記憶から消され、誰にも語られなくなった場所。


けれど俺達は、踏み込む。

忘れられた真実を、この手で暴く為に。


 最後まで読んでいただきありがとうございます!

「面白い!」と少しでも思っていただけたら

良ければ、評価(★)やブックマークで応援していただけると嬉しいです。

続きの執筆の原動力になります!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ