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螺旋の心臓  作者: 古の狼
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 1章 運命の輪 

「不安や違和感を考える大学生・篝が、哲学の授業で歴史と運命に触れられる言葉、不思議な世界へ導かれる物語」

 「篝?」ハッとした気持ちで小百合の顔をみた。

 小百合はこちらを心配そうな顔で見ている。

  「急に何も反応しなくなったから心配したよー」

 ああそうだったと思い返し「大丈夫、ちょっと昔のことを思いだしていただけ」

 そう小百合に言って帰す。気が付けば、今は選択授業の哲学の授業だ。

 先輩に「この授業は楽に単位が取れる」といわれるままに選択した講義であった

 教授は私など見えていないのか「であるからして」などと授業を続けている。

 いくらかの時間がたっていただろうか、私が少し気を失っていたことに気付いた。 

 「教授何かいってた?」小百合にレポートの提出など、連絡案件がなかったか、確認する。

「ううん、なにも。それよりも本当に大丈夫?顔色悪いよ」

「本当は昨日寝不足で」笑って帰す。まあ嘘だけど。

昨日はぐっすり寝た、というよりいつも寝てる。何なら寝てる間が一番幸せだ。

だけどこの状況、2年間、手入れを惜しまず伸ばしたロングヘアで隠れてはいるが、首筋に書いた汗は隠せなかった。

いやな夢だったな。最近はそうした夢を見ることが増えた。何か後ろめたいことでもしただろうか。

そんなつもりはないのだが。

 そんなことを考えていると教授が興味深い話をし始めた。

「有史以来、いや以前からといっていいだろうか。人はなぜ誤った歴史を何度も繰り返すのだと思う?」 そんなことは簡単だ。人間は馬鹿で愚かな生き物であるからだ。一国に賢人とは何人いるであろうか。大多数の愚者に対し一人の賢人の意見は押しつぶされる。民主主義の弊害である。

そしてこれまで試みられてきた、様々な国家制度も長く続くことは少ない。そのため現在のような国家とはひとりをさすものではなく共同体としての存続を試みている制度に落ち着いたのであろう。極端なことを言えば現在では国そのものがなくなる可能性は極めて低いのである。

「こんな言葉がある、「愚者は経験から学び、賢者は歴史から学ぶ」意味の分かるものはいるかな?」

たしかオットー・フォン・ビスマルクの言葉だったか、なんだかよく間違えられているが、本来の意味は

「人が間違えたことをわざわざ自分が間違える必要はないよね、といった同僚たちを見て感じた言葉だそうだ」

 同じことを思った。ふと教授と目が合う。微笑んだ教授は「ご存じの方もいるようですが歴史とは我々の考える教科書の歴史とは違うのです、そもとして、教科書が正しいことを言っているとは必ずしも言えません、立場が違えば本当のことも悪く書かれてしましまいます」

「間違えることは必ずしも悪いこととは限りません。失敗を恐れずチャレンジする姿勢、などというと高尚かもしれませんが、実際には、人生は一度しかないのですから、取返しのつかない失敗以外はチャレンジしたほうがお得です。」

 確かにそうだと思う。私は20そこいらの齢だけどまともに動ける時間で言ったらあと60年動けないな、

 25%はもう人生で充足できる時間は過ぎたんだなと思う。言い方が少し悪いか。

「光陰矢のごとしとも言いますが、人生とはあっという間に過ぎていく早いものですから、振り返って後悔はしたくないですね、では本日の授業はここまでとします」

「ところで皆さん、世の中には不思議なものってありますよね。何か見たことあるなとか、見たことないもの、記憶なのに

 といった具合に。私はそういう感覚が好きであの路地裏の階段を上がった先にある骨董品店が好きなんです、郷愁にふけるというか、そんな時間も素敵です。余談でしたそれでは」


「あなたは歴史から学びますか? 当面の経験から学びますか?」私は…愚者でしょうか

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