第二話 「ヒミロス姫の受難」
遠い昔、中東の現代のパキスタンあたりから今回のお話しは始まります。
まだ、魔法がそんなに珍しくない時代、ヒミロスという大変美しく聡明な姫がいました。
ヒミロスは名君と名高い王と王女の元、とても幸せに暮らしていました。
ヒミロスの父である王は国民からの支持も厚く臣下のほとんどは王に対して絶対的な忠誠を誓っていました。
しかし王には致命的な欠点がありました。何事にも寛容過ぎたのです。反乱分子に対し強固な取り締まりもせず、挙げ句捕らえた反乱分子も罰せず、すぐに釈放してしまうので、ついには内乱が起き、国を乗っ取られてしまいました。
反乱分子は基盤を確固たるものにすべく王族及び家臣の一族郎党を処刑しようと企てます。当然ヒミロスも例外ではありません。ヒミロスは抵抗虚しく家臣の子供達十数名と囚人達を収容する塔の最上階に囚われてしまいました。
牢の中はヒミロスと子供達が座れないくらいの狭さで、常に立っていなければなりませんでした。また、牢の外には見たこともない何に使うかわからない血まみれの椅子のような機具が数台あり、壁には刃物やノコギリ、大きなペンチが掛けられいました。時折、看守たちが下品な笑みを浮かべながらヒミロスを舐めまわすように見ています。
ヒミロスはこれから自分に起こることを想像し、心底恐ろしくなりました。しかし、自分の周りで泣いている子供達を見て覚悟を決めます。この子供達だけでも助かればと思い、看守達にこう言いました。
「私はどうなっても構いません。どんな仕打ちにも耐えてみせます。どうかこの子達だけは助けてください。」
看守達に子供を釈放する権限などあるはずもないのですが、美しいヒミロスを慰みものにしようと、汚い歯の生えた口から臭い息を吐き出しながらヒミロスに抱きつき、彼女を牢から出しました。
ヒミロスはこれから自分が受けるであろう仕打ちについて ただただ覚悟するしかありませんでした。
続く