第十七話「遊び人のミズ」
すっかり町に溶け込んだヒミロス達でしたが、予想以上にヒミロスは人気物になりました。
しかし、男性恐怖症は完全には治っておらず、若い男性から声をかけられたら逃げ出すほどでした。
ミズという今でいう遊び人がいました。自分に口説けない女はいないと思っている自信家で、ある日町の中心の広場でヒミロスを口説こうとしました。けれどもヒミロスはミズが近寄るやいなやトナカイの艝に乗っ取り逃げて行きました。その様子を見ていた町の人々から大笑いされ、ミズは赤っ恥をかいてしまい、ヒミロスを逆恨みするようになりました。
それからというものヒミロスの後を付けたり、行動を盗みみたりしていました。幸い隠れ家まではトナカイの群れから威嚇されたどり着きませんでしたが、ヒミロスが子供達と遊んだり、決まった時間に火に向かって祈りを捧げているのを見られてしまいました。
ミズは軽い嫌がらせのつもりで、「ヒミロスは火を拝む魔女だ」と言いふらしました。最初、町の人達は相手にしませんでしたが、ちょうど村で疫病が流行りだし、町の雰囲気も悪くなっていました。自分達で解決出来ない物は異質な何かのせいにしてしまおうと思うことは今も昔も変わりません。さらに間の悪いことに、森から何体もの焼死体が発見されました。ヒミロス達がこの地に降りた時にどこかに飛ばされた看守達の死体です。木の上に引っかかっていたものが、雪の重みで落ちたのでした。
町の人達はヒミロスが魔法で疫病を流行らせ、生け贄として人を焼き殺したのではないかと思い、次第にヒミロスを魔女だと疑うようになりました。
そして、ついに町の人達はヒミロスを魔女として火炙りにしようと企てました。
ヒミロスの家はわかりませんが、ミズの話を元に北にある草原に何十人もの松明や武器を持った町民が押し寄せました。
続く




