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第十六話 「クロノスとヒミロス③」

平穏な日々がしばらく続きましたが、冬になったため、木の実や魚が採れなくなり、保存食も残りわずかとなりました。


ある日のこと、隠れ家の前にトナカイの群れがいました。赤い鼻をした一頭が怪我をしている様子で群れはその場から離れませんでした。

クロノスは怪我したトナカイを殺して食べようとしましたが、ヒミロスは反対しトナカイを治療しました。

トナカイの群れはヒミロス達に懐いてしまい、ますます食糧問題が切迫しました。


町へ降りれば金貨がありますから、食糧を買うことが出来ますが、クロノスは町から追われていますし、ヒミロスは男性恐怖症です。


そこでクロノスはヒミロスに男性恐怖症を克服させようと思いました。

まず、町に慣れさせることから始めます。夜中に「クロノスが町の貧しい人達のために金貨を配る」という名目でヒミロスとともに町に行きます。実際のところクロノスは金持ちの家から金貨や食糧を盗みに行くのですが、なんとなくヒミロスにそれを知られたくないのでした。


クロノスは財宝室から空の袋に空気を入れて重そうに担ぎました。親切なヒミロスは自分が持つよう言いましたが、クロノスは当然断りました。


さて、町に着くとクロノスは大きな家の煙突から中に入り、しばらくしてから出て来ました。これを数軒繰り返したところでヒミロスは大きな家にしか入らないことに疑問を持ち、口にしました。

するとクロノスは怪しまれまいと盗んだ金貨のほんの一部を貧しそうな家に投げ入れました。

何故か来た時よりも荷物が重そうなので帰りはヒミロスもクロノスの後ろから袋を持ちました。クロノスはこれ以上怪しまれては困ると思い次の夜からはトナカイに艝を付け牽いてもらいました。


一週間ほどこういうことを続けて町に慣れたためヒミロスを町へ買い物に行かせることにしました。ヒミロスは最初嫌がりましたが、将来のことを考えると克服しなければならないことなので一大決心で町に向かいました。


クロノスが頑張って泥棒したおかげで金貨はたくさんあります。食糧の他に衣類等も揃えなくてはいけません。


町を歩くだけでヒミロスは好奇の目で見られました。異邦人なだけでなく美しい顔立ちで、しかも素肌に毛皮のコートという出で立ちです。

店に入ると店主から訝しげな目で見られましたが、ヒミロスが金貨を出すと態度が一変しました。お金の力は偉大です。

もともとヒミロスは美人でもありますし、片言で喋る姿も可愛かったので、すぐに町に受け入れられました。

こうして、大量の衣類と食糧を買い込み初めての買い物は終わりました。


続く

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