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第十四話 「クロノスとヒミロス①」

「オジイサマ ダイジョウブデスカ?」

片言ですが、上品なハープの音色のように心地よい声です。


目を開けると視界に胸の谷間が飛び込んで来ました。本能的にむしゃぶりつきたくなり、鷲掴みにしようと思いましたが、体が痛くて自由に動きません。顔上げると澄んだ大きな瞳の18歳くらいの綺麗な娘がいました。自分達とは顔立ちが違いますが、綺麗なことは間違いありません。

「ワタシはヒミロスデス。オジイサマは?」

状況はわかりませんが、自分の隠れ家のベッドに寝かされているようです。「オジイサマ」と呼ばれてますので、変装は解けてないようです。

「儂はクロノスじゃ。」

「クロース様?」

「クロノスじゃ。」

このようなやり取りが数回続きましたが、部屋の様子のほうが気になり、やり取りを打ち切りました。

見渡すとたくさんの子供達がいますし、財宝室に隠してあった絨毯や銀の食器などが使われています。よく見ると子供達は自分の服を着ていまし、ヒミロスの毛皮のコートも自分の物です。


自分の持ち物を好き勝手に使われて、はらわたが煮えくり返りそうでしたが、ヒミロスを見て考え直しました。

毛皮の下は何もつけていないようですし、胸元から見える谷間や裾から見える太ももがなんともセクシーです。子供達も健康そうなので、奴隷商人に売り払おうと思ったのでした。


しかし、自分は怪我で動けませんし、ヒミロス達に逃げられては困ります。油断させるために優しく、「この家が自分の物である」と説明しました。

するとヒミロスは誠心誠意謝り始め、ここで住まわせてもらえるよう懇願しました。

自分が遠い南の国の人間だということ。母国でクーデターが起きたこと。神様のおかげでこの地にたどり着いたこと。ここを追い出されたら行き場がないこと。

それらを一生懸命説明し懇願しました。


正直、ヒミロス達を奴隷として売り飛ばそうと考えているクロノスにとってはどうでもいいことでしたが、一点だけ気になることがありました。

「神様のおかげでこの地にたどり着いた」という件です。

「そういえば以前町の上空を変な物が飛んでいたことがある。」と思い出しました。

無神論者のクロノスは神の存在を全く信じないので、魔導師の所業であると思っていますが、南の国から物を飛ばす「飛」属性の魔力の強大さに少しだけ嫉妬しました。そして自分が「飛」の属性だったら同じことが出来るだろうかと考えました。


ともあれ、ヒミロスの申し出はクロノスにとっては願ったり叶ったりでした。


ということで、クロノスとヒミロス達はしばらく一緒に暮らすことになりました。


続く

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