第十三話 「クロノスの失敗」
腕を極められたままの状態でテーブルに顔を押し付けられながらクロノスは考えました。
「何故こいつは時が止まった世界で動けるんだ?」
痛みでだいぶ酔いも醒めてきています。
そうです。1日1回しか使えない魔法を忘れて使ってしまったからです。
「時を止める魔法」を1日2回使ったらどうなるか?廃人になったり、二度と魔法が使えなくなったりはしませんが、2回目以降は効力がありません。ちょうど弾の切れた拳銃のトリガーを引くような状態です。「トリガーは引けるが弾は出ない」という状態です。
さて、そのことにクロノスが気づいたかどうかは分かりませんが、クロノスは袋叩きに遇いました。
本来、イカサマが発覚した場合は指を全部折られたり、腕を切り落とされたりするのですが、老人の変装をしているため多少手加減されました。
しこたま殴られた後は、路地裏に捨てられ町から出て行くよう言われました。
町の宿屋には戻れませんので、北にある隠れ家に帰ることにしました。
日が落ちて月明かりしかない夜道を足を引きずりながら少しずつ進んで行きます。
森を抜けて広い草原に出たところ一直線に道が出来ているように感じましたが、隠れ家が近くなると、何かにつまづき何度も転びました。
ようやく隠れ家の入口にたどり着いたところ扉から明かりが漏れています。
富豪の手下に先回りされたのかとも思いましたが、心身ともに限界に達しています。
とりあえず扉を開けたところでクロノスは意識を失い倒れてしまいました。
続く




