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【本編完結】『元五歳で魔法使いにはなれなくなった男だが、ヒヨコはまだ健在か?』  作者: 桜月りま
本編

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4番目の記憶

 時間を少し、遡る。

 俺は朝焼けの前、まだ森の中に居た。



「…………やめだ」

 魔獣の波は引かず、百体近く倒した辺りで、数を数えるのも飽きてきた。それからしばし……やっと辺りの群れが全部いなくなったのか、引いた所でやつらの牙を採集にかかった。

 だが数匹やって面倒になる。両手が使えないという事は、捌いて何とか取り出した牙を、刀の握りを変えるか、横に置いて拾う作業をしなければならない。

 この森のこの辺りがこいつらの縄張りでも、他の魔獣や獣がやって来ないとは限らない。刀を置く、又は握りを変える時は下を見て、警戒と素早い対応が出来ない状態を、百? 両牙ならニ百……それも刀がよく切れるとは言え、ちまちまちまちま採集……正気じゃない。

「やめ、やめ……」

 時間的に日が昇るのを空の色に感じた。人目に付くわけにはいかない。

 俺は解体済の数匹分と、五匹ほどいた群れのボス個体の牙だけに絞って採集、ポケットに入れた。

 そういえば最後に倒したグレーの個体牙は、黒真珠を思わせる銀色に輝いていた。きっと高く売れるだろう。そいつのは下牙も取った。上に比べると小ぶりだし売れないだろうが、これは自分のにしよう……何か得した気分だ。

 森の聖壁の辺りまで戻り、哨戒の兵の目を盗み潜り、赤刀をけして、果樹林に入り込む。

 農家の朝は早いが水場に人はなかったので、井戸から水をくみ上げる。片手がないので腕に巻きながら音がせぬようにやるのは大変だった。また腕から血が滲むが仕方ない。

 手や顔を洗い、水を飲み、目立つ血を流して。重量を下げる為に組み上げた桶半分の水は貴重だったが。

 俺は懐の泥玉を取り出した。直径二センチほどだろう、もう乾いているが目を瞑っているのか何がどこだかわからない。

 ザブリと水に突っ込むと、ぱち、と、目が開いた。

「おま、こわっ」

 今回は二つ、赤い瞳が目に入った。だがそれも一瞬で、水が泥に変わって見えなくなり、苦しいのか手の中でモジョモジョ、モガいている。

「やばぃ……」

 汲み桶を泥だらけにするのはよくなかった……きっと二度と使う機会はない場所だが、洗うにはまた水を……そう思った時、人の気配を感じた。

 水に突っ込んでいたブツを手拭き用に置いていた布と共にまた懐に突っ込み、その場を立ち去る。

 片手でやるから、いちいち手間だ。まぁすぐ慣れるだろう。

 農家の奥方や手伝いの子供達が大声で今日の朝収穫についてやら、学校の事やら話している。桶が汚く使われていた事に言及する声が上がり、直前に使ったらしい子供が叱られ始める。

 そんな一団に見つからぬように倉庫の影にかくれる。

「俺っ! ぜってィ片付けたしっ」

「でもちゃんと位置を戻さず、それも汲み桶に泥を入れる大人なんていないんだよ! 途中で野菜を洗って食べに行った時にやりっぱなしにしてたんじゃないのかい?」

「何で信じてくれないのさ……ちぇっ……謝ればいいんだろぉ~」

「またそんな言い方っ」

「これからはちゃんとするよぅ……でも今日はほんとーに俺じゃないのに」

「うん、にーちゃ、ちゃんとしてた。ぼくの手、ながしてくれたあと、かたづけたよ?」

「おや、まぁ……風でも吹いて落ちたかねぇ?」

「昨夜は獣の鳴き声が凄かったから、ネズミとかうさぎとかが落ち着かずに走っていって倒したのかもね」

「ああ、この頃、この子はよくやってるよ? 良いお兄ちゃんしてるしねぇ」

「……なんか、すまなかったねぇ。アンタのせいにして」

「ん、いいよ。これからぜってい俺、ちゃんとするから」

「ぜってい、じゃなくって。ぜったいだよ、にーちゃ」

 澄んだ空気に響く大人と子供達の笑い声、大人の絶対の庇護のもとに育つ幸せの匂い。

 声を出さぬように自分の口を塞ごうとして、いまだ血の滲む腕を見た。逆の手にはいつのまにか取り出した赤刀。あれだけ人を切り、獣を屠って尚、刃こぼれ一つ、曇り一つない。

『なんで?』

 そんな質問は忘れていた。遥か昔に。

 他人の日常を羨ましそうに眺める『表』に、仕方ないのさ、俺達に縁がないのだと言って聞かせる……その相手が居ない事がきっと寂しいだけだ。

 無用な感傷に頭の奥が目の前が滲みそうになるのをこらえて、誰にも気付かれぬよう刀を戻し、足早に果樹林を出た。






 そうして俺はちゃっかり拝借した果物を建物の隙間で食べた。甘いわけでも美味しいわけでもない、どちらかと言うととても不味い。本当に言うなら死ぬほど不味い。それでも取って来た三つ、全部食べられるほどお腹がすいていた。最後の一つだけ残してカバンに詰め、そこで寄りかかって立ったまま寝た。

 スラム街に入りたかったが、新参者は目につきやすい。

 それも今、着ている服は奪った物だから体にフィットはしていないが、品がよい。身体も綺麗に洗われた翌日だから、フケやほこりがついてない。まあ、新品ではないのだが。新古品くらいは名乗れる程度に、今は奴隷や浮浪児に見えない風体を保っている。

 これでスラムは危険だし、だが小金はあっても宿屋は無理だ。今は朝、皆が出て行く時間だ。何より神印のない子供が一人で宿に泊まる事はできない。

 茨のない両手があれば他国の子が神印の代わりのブレスレット不携帯であると通報、片手がないなら問答無用で通報。大人なら娼婦を買えばいいが、この幼い姿でそれはない。

 早く神殿に行きたいが、途中で捕まらないよう、もう少し人が道に溢れる頃がイイ。何より、疲れた。

 昨日は通常の仕事も済ませた後、気を失って寝られたのは一時間くらいで……疲れを感じたせいか、体のどこもかしこも痛くなる。

 街の明るい喧騒が、人の気配が余計に堪えるが。いつの間にかウトウトとしながら、イロイロ考えていた。

 さっき話に聞いた事のある『冒険者ギルド』の建物を見た。ギリシャ文字の『Φ』に似た模様の看板。剣と盾を表すそこは、ちゃんとした身分がありさえすれば……己の生死をかけたゲームではあるが、なり上がりだって可能なシステムがこの世界にはあった。

 ただこの国で奴隷ではそのスタートにも立てない。自分の有用性を示し、どれだけ功績を積んでも、基本は飼い主に搾取される。奴隷は一生奴隷、奴隷なりの幸せを追求するしかない。

 容姿が良ければ妾やペットとなり、体格がよく腕が立つなら用心棒や国の奴隷歩兵に引き上げられれば、そこそこの人生を送れると聞いた。いい冒険者に買われれば、準仲間として幸せになる事もあるのだと。

 俺が思い出したのが刀と使い方だけなら、さっさと手あたり次第壊して、自分も突き刺して果てる所だった。『表』が居れば上手く仕えるべき主を見定め、こんな冒険はしなかったかもしれない。

「俺は絶対、会いに行く」

 だけどラスタを思い出して、それも『居る』という確定的な匂いが俺をどうしてか突き動かしていた。

 ただ奴隷などと言うみっともない茨を引きずって、どうやって彼女に会えようか。

 記憶を掘れば、彼女は日本、いや地球産ではないハイエルフという生き物だった。何で居たのかはイルという赤薔薇の小悪魔の従者だったから。彼は俺の認識では情報屋だったが、だいたい彼自体が何者かは良く知らない。ただ遊び相手として俺は気に入られていたのだろう。

 イルに引き合わされたハイエルフ、名前はラスタ。

 ヴラスタリ・トゥルバ。その名は〈大地の芽〉という意味らしい。俺には分からんが、そう言う事らしい。その名前が最初よく聞き取れておらず、俺は勝手に彼女をラスタと呼びならした。

 金色の髪に綺麗な瞳の女。青から緑に変わる不思議な色合いのそれ、そして長い耳。たまに男になったり、耳を短くして人間になったりしたのが不思議だったが、この世界には魔法がある。あれはきっと魔法だ……イルも魔法使いだ。あいつは明らかにイロイロおかしかった。

 ゲームなどと同じならハイエルフとは希少性があって、気位の高い生き物だ。奴隷に獣人やドワーフはそこそこ見たが、前に一人エルフの高級娼婦が居たと聞いた程度で実際見かけた事はない。

 あの時は『300歳の乙女ひよこ』だったからか、それなりに会う事があったからか、気安い感じで接していた。だが初めは取り澄ましていた彼女を覚えているし、基本的にイイ所のお嬢さん的な雰囲気で、敬語が常だった。

 そのラスタが慌てると語彙力が下がって、残念な生き物になるのが面白くて、その姿に随分と和んだものだ。

 だが、きっと、この世界ではあんなに砕けて普通に会える存在ではないのだろうと察した。だからこそ茨を引きずっていてはならない、残している事自体が不利益になる。


 アイタイ。無性二。


 右手の茨の黒墨は想いに勢いがあるうちに切り落とした。もしこれで病気に倒れるならそれまでだ。悔いはない。自分の行きたい場所に行けない身分など、かりそめの安寧などクソくらえだ。

「そろそろ……ああ、まずいか?」

 ウトウトしつつ彼女を思い返していたら、町は活気が出てきて、子供一人紛れても大丈夫そうだった。

 ただ休んだ事でちょっとした興奮状態のボーナスがなくなったのか、休む前より余計にフラフラしている。傷口が熱を持っている気がした。片手でまともに治療も出来ず、動き回って血も流し過ぎた。

「神殿まで、だ。……耐えろ」

 日本の町中で深くフードを被るとあやしい人だが、この町の昼間は日差しが強いので、道すがらに帽子やケープを被っている者は多い。

 おかげで神殿まで何事もなく向かえた。

 神殿の場所は概ね知っている。穴へ向かう馬車に詰め込まれた、その板の隙間から覗いた事もあった。何よりこの町の中心で、一番高い白亜の建物だ。

 隣町の聖都にある神殿に比べれば劣ると言われるが、とても立派な建物である。

 天を突くような高い塔をいただいた建物を中心に、それより低い尖塔がいくつも立ち並ぶ。中央は大きな階段で、途中で息切れ必死なほどの高さもある。

 階段といくつかの踊り場を通り、登り切って、大きな広場を横切る。そうすると豪華な彫刻が施された大きな門に迎えられる。それを潜って中に入れば美しい中庭の向こうに、高い塔をいただいた建物にやっと入れる。

 建物の入り口は今の時間は開いており、敬虔な信者が続々と吸い込まれ、入れ替わりに出てくる。ざっくり左通行となっているが、迷惑をかけない程度でその限りではないようだ。

「これ、のぼるのか」

 熱のせいか悪寒がする。そのせいか、おかしいのだ。

「白い筈なのに、どうしてあんなに黒く見えるんだ?」

 本日晴天なり。

 雲が殆どないからりとした空気に、白亜の建物は眩しいほどに光っている。遠目にも美しいステンドグラス。中に入ればきっと煌めいて幻想的な光景を見ることができるだろう。

 奴隷には縁のない建物。この国で奴隷から解放される唯一の場所。これは栄光の階段……胸躍らせつつ登っていきたい。

 だが、足が重い。

 熱や体調不良のせいだけではない。何故ならその白い壁が煤けて見え、暗雲のような影が尖塔から黙々と吹き出して見えて恐ろしいのだ。その雲は薄く伸びてゆっくりとこの町を包み込んでおり、今まで普通に感じていた町さえ煙って見えた。

 立っている人間一人一人を見れば、淡い光のベールに包まれている。殆どが薄い白かグレー……ごく稀に色付だったりするが、アレは何だ???

「これは……見た事ある」

 日本で『表』の最愛だった女はちょっと変わっていた。どこがと言えばイロイロふわふわした緩い奴だった。そいつは絵描きで、ある絵を見せながらこういった。

「生き物なら大抵何か色を纏って見えるんです。人間は特になのですが、こんな感じに……」

 彼女にはそれが一人一人違う色に見えるらしかった。

 見えるハズも無いソレを、どの様に見えるか描いてもらった……その絵に似たような揺らぎが人間や建物にまで今、俺の目に見えている。あの女が描いたように、カラフルではない、ほぼ無彩色だが。白い筈の神殿は……黒い……どうみても。

「ははっ」

 カラ笑いしつつも登らねばと自分を叱咤する。

 俺は人波に遅れつつもゆっくり階段を上っていく。救いを求めて向かっているのだろう。体の具合が悪い者や、老人も居るので、ソレに紛れて歩けば特に目立たないのがありがたい。

 何とか階段を上りきり、冷汗をどっと出しながら大きな広場を横切る。

 豪華な彫刻が施された大きな門も、入り口が見えにくくなる程暗い。昨夜の森の方がまだマシだった。そこを席巻する黒い何かが怖いのに、皆、誰も疑問を抱かず門を潜っていく。

「行かないと」

 早く。中庭に。

 この門の向こうまで入れば、もう連れ出される事はない。そう聞いた。だから必死に足を踏み出す。

 中の庭は美しいと聞いていた。

 暗い牢屋の生活。奴隷と奴隷の間で物語の様に語られる『自由』。

 奴隷の身分から国民になれる『隻腕』の話。

 国民になれずとも、裕福な商人の妾になった話。

 勇者や騎士を支え続けた奴隷が、幸せになった話。

 ……そんな奴隷と会った事もないのに、どうして俺はそれを信じている?

 でも再び捕まって犯罪奴隷に堕とされる前に、今は神印をもらうしかない。それは……わかっているが、かりそめの自由なのに、何故そんな道が整備されているのか、理由を俺は知らない。

「おや、どうしたのかな?」

 中庭の半ば、建物は目の前のはずなのに、躊躇しているのを不審に思ったか。俺に話しかけてくる男性。

 真っ白な服に、整えられた髪。奴隷やその管理者達には感じられない気品と品性が漂う。口調は穏やかで、唇に湛えられた笑みは穏やかで。

 助かった。

 本当ならそう思う筈だ。

 遠目に見ては奴隷たちが噂していた、神官服を着た人間。俺は穴仕事で神殿に縁はなかったが、綺麗目の女子奴隷が不浄場清掃などに向かって見聞きした話。それで零れ聞いた、普通の人間とは一線を画するデザインの白い衣をまとった者。

「君?」

 ぼんやりしているように見えたのか、その男性の手が俺のコートに触れる。本来、そこにあるのは腕を曲げてでもなければ、俺の手があるだろう場所。だがそれは『ない』から、そして俺が後ずさりして身を引いたのもあって、彼の手は宙を掻く。

「もしかして……」

 わっっ……と、中庭の空気が揺らいだ。参拝の人間達が二つに割れる様に道を作った。

「辿り付いたぞっ、しっかりしろ! おい神官、神官はいないのか!」

 そこには支えあう様に立つ二人の男が居た。一人はぐったりとして意識がなさそうに見え、もう一人は焦ったように吠えていた。

「神印を! 俺達に自由を!」

 彼らに道を譲った者達は、『奴隷なの?』『なに、あれ』『もしかして儀式を?』などと口にする。騒ぎを聞きつけてか、建物から白服の者達が走り出てきた。

「神官長様! お願いします。隻腕の儀式を」

 二人を支えた神官が、俺に先ほど声をかけてきた人物に話を振る。俺は彼の意識がそっちに向いた瞬間、回れ右をして神殿の門を走り出た。

 俺は焦りながら、うまく動かなくなってきた体を必死に動かした。

 せっかく入った神殿から出てしまった。俺も神印が欲しいと叫びたかったのに、喉が詰まって出てこない。それより一刻も早くここから離れたかった。どちらかと言うと突っ込んで攻めるタイプなのにコレは違うと逃げ出した。

 あの神官長と呼ばれた男は、得体の知れない真っ黒な塊にしか見えなかったから。それなのに、あの二人を見た僅かな一瞬、眉が不快に寄ったのが印象的だった。


 例えるなら、マグマが滾る噴火口に突き落とされ、体が焦げながら溶け落ちる寸前の。


 例えるなら、湖に沈められて最後に吸った息を吐きだして、肺が完全に水で満たされる瞬間の。


 何度も繰り返す生と死の繰り返しで味わう、最後の感覚。

『絶望感』。

 これに捕まったら最後。


『死……』


 俺は本能の叫びに従って、出来るだけ早く、出来るだけ自然に、出来るだけココから遠くにと望んだ。

 あの二人の登場のお陰で、やじ馬が急いで登ってくるが、降りる為に左の隅をひたすらキープする事で、町に戻って人波に紛れる事に成功した。

 ココは危険だ。

 もはやこの町に俺の安全はない。

 ……見つかれば犯罪奴隷。あれだけ殺ったなら処刑の可能性しかない。

 ……町を出たくとも三方は壁、検問では神印確認がある。

 ……他国から入って来た者専用の、神印代わりのブレスレットを奪う? あれも個人調整されているから誤魔化しは難しい。

 ……夜を待って壁を超える? 聖都に近いこの町は重要施設として、上空は魔法壁がある。

 ……いつも奴隷を採掘場に送る馬車に紛れるにも、奴隷にマントは纏えない。腕がないのはすぐバレてしまう。

「この町自体……牢獄じゃないか」

 平然と住まされていたこの町が、どれだけ奴隷管理を徹底していたかわかってしまう。

「つまり『隻腕』は、奴隷を逃がさないって事か」

 腕を落として死んでくれてもいいし、神印欲しさに自分からのこのこ戻って来るし、とても都合がイイ。

 遠目に『冒険者ギルド』の看板を眺める。

 神印をもらい、国民としてあの敷居をまたいで、登録して、功績を上げて……ラスタを訪ねて旅をしよう! ……そんな未来を夢見ていた数時間前が空しく感じた。

 奪った小銭を使って買いたい物もあった。狩って来た牙を売りたかったし、病院にも行きたい。やりたい事は多々あったが、欲はすべて捨てて俺は北の森に戻った。

 ここで誘惑に負けると死ぬ。まぁ、いろんな人生の教訓を踏んでも死ぬ時は死ぬが……

 今日は穴に運ばれていく時、馬車の隙間から見ていた町中より、いくぶんか警備が薄く、森は聖壁で何かあったのか哨戒も一部に偏っていた。それはとても運がよかったと思う。そうでなければ、ひたひたと歩き回る五歳児は流石に目立ったハズだ。

 ともかく体力も気力も限界が近い。とにかく人気がなく、獣や魔獣に襲われなさそうな場所を目指して、とぼとぼと暗い森を進んでいった。

お読み頂き感謝です。


ブクマと↓の☆☆☆☆☆から評価頂けましたら幸いです。



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