表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/43

28.真犯人は、おまえだ

 視線を向けられたヒカルは一瞬言葉に詰まったものの、頬を引き攣らせ、言った。


「なんだと? 俺に言ってるのか? なにを根拠に……」


「根拠のひとつとして、NPCの特定ですが……マーリンさんの劇薬、いや、劇的なサービスドリンク。あれは食堂を訪れた全員に配っているそうです。その時の反応を確認しました。

 マーリンさん、もう一度聞いてもいいですか? ドリンクを口にして、反応が一般的でなかった人物は、誰でしたか?」


「ワタシのスペシャルドリンクを飲んでも平然としていたのは――ヒカルくんと、エレノアさんね」


「なっ……」ヒカルが、目を見開いてマーリンさんを見る。


「……」エレノアは、黙ったままだ。


「NPCの人は、味覚がちょっと鈍いらしいのよ。デリシャスな刺激を体験できないなんて、可哀想よね」


 ……可哀想かどうかは、置いておいて。

 反応が薄かった人物として挙げられたのは――エレノアと、ヒカル。


「エレノアさんには、黒須さんの事件のアリバイがある。ということは、犯人は……あなたしかいないんです。ヒカルさん」


「ばかばかしい!」


 ヒカルは吐いて捨てるように言った。


「俺の能力は透明なんかじゃない。未来視だよ。死亡を回避できるんだ。それを勝手に決めつけて、言いたい放題――」


「未来視って、証明できるんですか?」


「そっちこそ。だいたい証拠はあるのか!?」


 ヒカルはあくまでも否定し、食らいついてくるつもりのようだ。


「部屋に同じタイプの着替えがありましたよね。それをすべて確認してみましょう。部屋の清掃は止めているから、汚れ物もそのまま残してあるはず。おそらく服の裏側か表かに、黒須さんの返り血が付いているんじゃないですか」


「……!」


 図星だったのだろう。ヒカルは蒼白になり、黙ってしまった。

 ちょうどいいタイミングで館内通信が流れて、場が中断された。


『ザザザ……ザザ……乗船中の皆さん……宇宙警察です……これより船を隣接し、捜査員が乗船いたします……』


 同時に、頭上に電子パネルがポンと現れる。そこには「間もなく制限時間です。解答を済ませてください」という警告文が赤文字で表示されていた。


「……なんてこと……もう頭の中がめちゃくちゃ。ただ推理ゲームを楽しめると思って参加したのに」


 宇佐美が糸が切れたように、そばにあった椅子に座りこんだ。


 夢人はおろおろとしながらも、疑問点を尋ねてきた。


「ヒカルさんが、もうひとりの犯人……? だけど、ゲーム上の正しい犯人役は、黒須さんなんだよね? ゲームの解答としては、どう選択したらいいんだろう」


「解答としては、黒須さんにするべきだと思います。イレギュラーのほうは、俺がなんとかします。実は自分の能力はデバッグというもので、プログラムソースを見ることができるので。これからヒカルの中を見て――」


「うおおおおお!! おまえさえ、おまえさえいなければ!!!」


 説明の最中、野太い声が響く。

 自暴自棄になったのか、ヒカルが光るものを中段に構え、襲いかかってきた!


「…………!」


 殺気を感じて振り返ったが、人ではない存在はこの電子世界ではいわば無敵。チートの身体能力を隠していたのだろう。とてもアバターとは思えない素早い動きに、こちらは対応が遅れてしまう。


(刺される……!)


 防ぐものもない状態では、目の前で腕を構えて、目を細めることしかできない。

 が、接触の直前、目の前にさっと滑り込む影があった。


 キィーーーン……。


 金属が金属に当たる耳障りな音。

 そして、ヒカルの体が宙を舞った。一瞬ののちには、地面に叩きつけられ、押さえつけられている。

「ぐふっ」

 ヒカルの手から離れた小型のナイフが、地面を転がった。


 俺を庇って、ヒカルを背負い投げでぶん投げてくれたのは――エレノアだった。


「エレノアさん……! だ、大丈夫ですか。どこか刺されて……」

「平気です。私の能力は、体の鋼鉄化なので」


「裏切者が!」

 押さえつけられたままのヒカルが吐き捨てる。


「……エレノアさん。そのまま、押さえておいてもらえますか。デバッグ作業を行います」

「わかりました」


 ヒカルはギリギリと歯ぎしりを立てていたが、やがて観念したように無表情になった。

 強制終了に至る前に――厄介とも興味ともつかない微妙な気持ちで、尋ねた。


「おまえは何者なんだ? なぜそんなことを考えるようになった」


 バグたる存在は答えた。 


「そうプログラムしたのは人間だろう? 高みを目指せ、他者を追い抜けってさ」

お読みくださり大変ありがとうございました!

もし気に入って下さったら、

下の☆☆☆☆☆からの評価や、ブックマークをしてくださると、励みになります。


続きのほうも何卒よろしくお願いいたします(*ᴗˬᴗ))ペコリ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ