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14話a-7
俺は、もうすぐ階段を昇りきるところだった
しかし、俺はそこで昇る事を止めた
無意味だと言う事を知っていたからだ
頭では理解していなかった
しかし、皮肉にも身体は理解していた
もしかしたら、身体は頭よりも合理的な思考があるのかも知れない
そんな風にして現実逃避していた
その、数秒後、璃乃の部屋から璃優は出て来た
「……琥烏」
驚いた声だった
まさか、俺がここまで昇ってくるなんて思わなかったのだろう
俺は焦点の定まらない目で、彼女を見た
ぼやけていた映像がやがて鮮明になっていく
彼女は真っ赤に染まっていた
服にも顔にも足にも
赤黒い何かが飛び散っていた
そして、もっともその色が濃いのは彼女の手だった
俺は"それ"の正体が何かわかって…でも、認めたくなくて…でも、逃れられる事は出来ずに…
俺は叫んだ
声になったかはわからない
様々な想いが駆け巡る
哀しみ、怒り、愛しさ、悔しさ、情けなさ、罪の意識………
そして、俺は階段から手を離した




