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12話-1
「琥烏!琥烏!」
誰かが俺の名を呼んでいた
「琥烏!死なないで!」
やがて、それは俺に似た少女だと言う事に気付いた
「琥烏!」
俺は答える事が出来なかった
「一緒に居てよ!琥烏!傍に…傍に居て…お願い…」
少女は涙声だった
「"二人にしないで"…
琥烏!死なないで…
琥烏!」
彼女はずっと叫び続けていた
悲壮なまでに…
「琥烏!
お願い……琥烏!」
暗闇の中で少女は泣いていた
「琥烏……琥烏!
そんな……どうして!」
俺はどうする事も出来ず
ただ、自分の身体から血が出て行くのを感じていた
指一つ動かせずに…
「琥烏!!
死なないでよ……
死んじゃ嫌だ…死んじゃ嫌だ…死なないで…死なないで……!!」
彼女の涙を拭う事も出来ずに
…その時、ふっと暗闇が晴れた
少女は同じように叫んでいた
しかし、その姿は
先程と違い
成長し、"現在"の彼女の姿に見えた
その時になり、俺は"現在"も"あの時"みたいに彼女は俺の名を呼んでいるのだと気付いた
しかし、俺は彼女が"どちら"なのかわからなかった
そして、俺の意識は完全に闇の中に沈む………




